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布多天神社

(ふだてん じんしゃ)

布多天神社は、東京都調布市調布ケ丘に位置する歴史的な神社で、式内社に指定されており、旧社格は郷社です。この神社は、調布市の布田五宿の総鎮守として「五宿天神」の別名でも知られています。

祭神とその歴史

祭神

布多天神社の祭神は、創建当初は少彦名神(すくなひこなのみこと)であったとされています。しかし、後に現在の場所に遷座された際に、学問の神として知られる菅原道真公(すがわらのみちざねこう)が合祀されました。このことから、菅原道真公を祀る神社としての側面も持つようになりました。

創建の歴史

布多天神社の創建年代は定かではありませんが、伝承では約1940年前、垂仁天皇の御代に創建されたとされています。また、平安時代初頭に編纂された『延喜式神名帳』に武蔵国多磨郡の式内社として記載があり、古くから存在することがわかります。

もともとは現在の布田5丁目に社殿がありましたが、文明年間(15世紀後半)に多摩川が大氾濫を起こしたことをきっかけに、文明9年(1477年)に現在の場所に遷座されました。その際に菅原道真公が合祀され、現在の姿となりました。

布多天神社の文化財と境内

指定文化財

布多天神社には、調布市指定の文化財が複数存在します。特に有名なのは、本殿(附 棟札1枚)で、1998年12月25日に指定されました。また、布多天神社の狛犬(1対)も1969年に有形民俗文化財として指定されています。さらに、豊臣秀吉が小田原攻めの際に出した「太閤の制札」も、1971年に指定文化財となっています。

境内の見どころ

布多天神社の境内には、歴史的な本殿覆屋や神楽殿、そして文化財として指定された狛犬があります。これらの狛犬は「阿」と「吽」という2体があり、調布市の指定文化財として保存されています。また、鳥居も立派なもので、参拝者を迎え入れます。

古天神公園と発掘調査

かつての布多天神社の社殿地は、現在「古天神公園」として整備されています。この公園は、昭和55年の発掘調査で約1万年前の旧石器時代から約4~5千年前の縄文時代、さらに約1,500年前の古墳時代の生活跡や墓などが発見された、歴史的価値の高い場所です。

布多天神社と布田五宿

布多天神社は、布田五宿(布田小島分村、上石原村、下石原村、上布田村、下布田村、国領宿)の総鎮守として、これらの村々の信仰の中心であり続けました。明治22年(1889年)には、これらの村々が合併して調布町が成立し、布多天神社は調布町の総鎮守となりました。

骨董市と布多天神社

布多天神社では、毎月第2日曜日に骨董市が開催されています。この市では、20~30店舗ほどの露店が立ち並び、骨董品を求める多くの人々で賑わいます。また、この骨董市は、つげ義春の『無能の人』シリーズ「カメラを売る」にも描かれ、布多天神社を後にする主人公の助川親子のシーンが印象的に描かれています。

布多天神社が登場する作品

水木しげる作品

布多天神社は、水木しげるの『墓場の鬼太郎』や『ゲゲゲの鬼太郎』でも登場します。これらの作品では、本殿の裏の森に鬼太郎が住んでいるという設定で描かれています。水木しげるが調布市に住んでいた際、この神社の森を作品のインスピレーションの一つとしていたといわれています。

テレビドラマでの使用

布多天神社は、テレビドラマのロケ地としても知られています。1997年に放送された『青い鳥』や、2019年の『あなたの番です』、2023年の『VIVANT』では、神社がロケーション撮影に使用され、ドラマの重要なシーンが撮影されました。

天神通り商店街と町おこし

旧甲州街道から布多天神社へ続く参道は、「天神通り商店街」として多くの商店が立ち並びます。この通りでは、町おこしの一環として『ゲゲゲの鬼太郎』に登場する妖怪キャラクターの像が設置され、訪れる人々に親しまれています。

布多天神社は、長い歴史と共に地元の人々の信仰の中心であり続け、文化財や自然に囲まれた魅力的な場所です。また、作品やテレビドラマの舞台としても広く知られ、地域の文化と結びついています。

Information

名称
布多天神社
(ふだてん じんしゃ)

府中・調布

東京都