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小平市 平櫛田中彫刻美術館

(こだいらし ひらくし でんちゅう ちょうこく びじゅつかん)

小平市 平櫛田中彫刻美術館は、東京都小平市に位置する公立美術館です。この美術館は、日本の近代彫刻界を代表する巨匠、平櫛田中(ひらくしでんちゅう)の作品を中心に展示しており、彼の晩年の邸宅が公開されています。美術館は、田中の遺族から寄贈された数々の作品を所蔵しており、その中には田中の代表作や貴重な資料が含まれています。

美術館の歴史と沿革

開館の経緯

美術館の歴史は1984年10月25日、日本の近代彫刻界の巨匠である平櫛田中が晩年を過ごした邸宅を一般公開する形で「小平市平櫛田中館」として開館したことに始まります。その後、1994年2月18日には、田中の作品を展示・保存するための展示館が新たに開館し、展示館開館記念展も開催されました。

特別展の開催

美術館は定期的に特別展を開催しており、1995年には「橋本平八と平櫛田中」、1996年には「大内青圃と平櫛田中」、1997年には「辻晉堂と平櫛田中」など、様々な彫刻家との関連性をテーマにした展示が行われています。また、2009年には開館25周年を記念し、田中の没後30年を迎えたこともあり、「平櫛田中 次世代に遺した珠玉の彫刻」が特別展として開催されました。

展示館の設立

1993年2月、田中の没後、作品を展示・保存するために記念館の隣接地に「展示館」が新設されました。この展示館は、田中の息子である大江新が設計を担当し、地上2階、地下1階の規模を持つRC造の建物で、延床面積は781.02平方メートルです。

施設概要と展示内容

記念館について

美術館の記念館は、田中が生前生活していた邸宅を保存・公開する施設です。この邸宅は、大屋根の方形造りを特徴とする書院造りで、昭和44年に田中が98歳のときに建てられたため、別名「九十八叟院(そういん)」とも呼ばれています。設計は国立能楽堂の設計で知られる建築家の大江宏が手掛けました。記念館には、田中が百歳のときに20年後の制作を見越して取り寄せた彫刻用の原木も展示されています。

庭園

記念館には枯山水庭園の中庭と南庭があり、四季折々の風情を楽しむことができます。南庭は玉川上水の木々を借景として造られ、中庭は岩城亘太郎、南庭は柴又帝釈天邃渓園を手がけた永井楽山の作で、その後、伊藤邦衛により改修が行われました。特に、1月から2月にかけて見頃となる梅の花は見事で、多くの訪問者に親しまれています。

展示館

展示館は、1993年に竣工し、田中の息子である大江新が設計しました。この展示館では

田中の没後、その作品を展示・保存するために記念館の隣接地に展示館が新設されました。この展示館の設計は、大江宏の次男である大江新が担当し、父の意匠を引き継いだデザインが特徴です。展示館では、、田中の代表作である「鏡獅子(かがみじし)」、「尋牛(じんぎゅう)」、「気楽坊(きらくぼう)」など、多くの作品が常設展示されています。2年に1度、偶数年には特別展示が行われ、田中の生涯やその作品について深く学ぶことができます。

平櫛田中の生涯と業績

平櫛田中(ひらくしでんちゅう、1872年2月23日 - 1979年12月30日)は、日本の彫刻家であり、本名は平櫛倬太郎(ひらくしたくたろう)といいます。田中は、写実的な作風で知られ、高村光雲や荻原碌山、朝倉文夫などと並び、近代日本を代表する彫刻家の一人です。岡山県井原市出身であり、広島県福山市や東京都小平市でも名誉市民として称えられています。

田中は岡山県後月郡西江原村(現・井原市西江原町)に生まれ、1882年に広島県沼隈郡今津村(現・福山市今津町)の平櫛家の養子となりました。1893年、大阪の人形師・中谷省古に弟子入りし、木彫を修業しました。その後、田中は東京美術学校(現・東京藝術大学)の教授に招聘され、多くの後進を育てました。

帝国美術院と日本芸術院

1935年、帝国美術院の改革が行われ、田中は会員に選出されましたが、翌年に提案された平生改革案に反対し、横山大観らとともに会員を辞任しました。しかし、1937年に帝国美術院が帝国芸術院に改組されると、再び芸術院会員となりました。その後も田中は東京美術学校で教壇に立ち、教育活動に尽力しました。

代表作と受賞歴

田中の代表作である彩色木彫『鏡獅子』は、戦中のブランクを経て、20年をかけて完成されました。この作品は国立劇場のロビーに展示されており、多くの人々に親しまれています。また、1962年には文化勲章を受章し、その受賞者記者会見では「貰うのは棺桶に入ってからだと思っていました」と述べ、周囲を笑わせました。

晩年と遺産

田中は100歳を超える長命であり、死の直前まで創作を続けました。彼のアトリエには、30年以上続けて制作できるだけの彫刻用の材木が残されていました。1979年、田中は小平市の自宅で満107歳(享年108)で亡くなりましたが、その遺産は次世代の彫刻家たちに大きな影響を与え続けています。

利用案内

開館時間と休館日

美術館は、午前10時から午後4時まで開館しており、火曜日(祝日に当たる場合は翌日)、年末年始、展示替えの期間が休館日となります。常設展の観覧料は、大人300円(団体20人以上の場合は220円)、中学生150円(団体20人以上の場合は110円)、小学生も150円(団体20人以上の場合は110円)です。特別展の観覧料は、その都度設定されます。

交通アクセス

美術館へのアクセスは、西武多摩湖線「一橋学園」駅南口より徒歩10分、JR武蔵野線「新小平」駅からタクシーで5分、またはJR・西武線「国分寺」駅からタクシーで5分です。

Information

名称
小平市 平櫛田中彫刻美術館
(こだいらし ひらくし でんちゅう ちょうこく びじゅつかん)

東村山・小平

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