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南沢獅子舞

(みなみさわ ししまい)

南沢獅子舞は、東京都東久留米市に伝わる郷土芸能です。この獅子舞は江戸時代初期から旧南沢村で受け継がれており、かつては村の長男のみに伝承されていました。伝承によると、延宝年間(1673-1681)に伊勢から伝わったと言われており、舞う際の歌にも「此の獅子は伊勢で生れて江戸そだち」と歌われています。五穀豊穣や悪疫退散を祈願するため、豊作だった年に行われていましたが、戦時中に一度途切れたものの、戦後に復活しました。現在では4年に1度開催され、市の無形民俗文化財に指定されています。

歴史

獅子舞の起源は江戸時代初期の延宝年間(1673~1680)にまで遡ります。獅子舞の歌には「此の獅子は伊勢で生れて江戸そだち」とあり、伊勢から伝わって来たとされますが、正確な伝播経路を確認できる史料はありません。舞台用の獅子頭の裏には「文化九年壬申年四月彩色」との墨書があり、文化9年(1812年)にはすでに行われていたことが示されています。

かつては豊年の年の秋祭りとして不定期に行われていましたが、明治時代には毎年行われる時期もありました。しかし近年では、社会の変化や参加者の減少、さらには昭和天皇の体調を考慮した自粛などの理由で、5年間途絶えることもありました。それでも2000年以降は4年に一度の頻度で開催されています。

演目次第

南沢獅子舞は、昼間に氷川神社で、夜間には多聞寺で演じられ、それぞれの会場で若干異なる演目が披露されます。以下に、主な演目の順番を紹介します。

1. 行列と踊り込み

山の神と獅子舞が氷川神社まで行列をなして向かいます。出発は多聞寺からで、笛や太鼓のお囃子に合わせて幟やほら貝などとともに進みます。神社に到着するとお祓いを受け、鳥居前から山の神が先導して踊ります。

2. 太刀

この演目では、太刀つかいとも呼ばれる棒を持った2人が、掛け声とともに力強く打ち合います。その後、太刀での打ち合いも行われ、迫力ある演技が披露されます。

3. 世流布

世流布(せいりふ)は、「しばらく、しばらく」という掛け声とともに登場します。世流布の口上は、氷川神社と多聞寺それぞれで異なる部分があり、演じる内容が少しずつ異なります。

4. 神楽

神楽の演目では、おかめとひょっとこが登場し、笛の音に合わせて向かい合いながら踊ります。2人が退場した後、山の神が現れ、再び神楽が繰り広げられます。

5. 獅子舞

獅子舞は一人立ちの三頭で演じられます。赤の衣装が雌獅子、紺の衣装が中獅子と大獅子で、腹に太鼓を付けて舞います。氷川神社と多聞寺ではそれぞれ異なる獅子舞の歌が歌われ、氷川神社では「千早振る神の井垣に松を植えて~」、多聞寺では「朝日さす夕日輝くこの寺は~」と歌われます。

6. 萬歳

萬歳(まんざい)は多聞寺のみで行われる演目です。太夫と才蔵の2人がコミカルな掛け合いを繰り広げ、観客を楽しませます。

Information

名称
南沢獅子舞
(みなみさわ ししまい)

東村山・小平

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