東京都葛飾区白鳥三丁目に位置する「葛飾区郷土と天文の博物館」は、1991年7月に開館した、地域の歴史と天文学に焦点を当てた博物館です。葛飾区が運営しており、歴史学、民俗学、考古学、埋蔵文化財、文化財、天文学の6部門に分かれた展示が特徴です。
この博物館は、地域の歴史や文化を深く学べる場として、地域史フォーラムを主催したり、郷土史に関する書籍を執筆・出版したりと、幅広い活動を行っています。また、展示のテーマに応じた専門家を招き、地域の歴史や文化について深く知る機会も提供しています。
「郷土展示室」では、葛飾区の歴史や文化に関連するさまざまな展示が行われています。例えば、「水とかつしか」という展示では、東京低地の成り立ちや農業のための灌漑、河川交通、染色工業、そしてカスリーン台風など、地域の自然と人々の生活の関わりについて学ぶことができます。
「かつしかのあゆみ」コーナーでは、養老五年(721年)の下総国葛飾郡大嶋郷戸籍や、柴又八幡神社古墳からの出土品、葛西城に関連する展示が行われています。これにより、葛飾区の歴史的な背景や、時代ごとの生活の変遷を垣間見ることができます。
「かつしかのくらし」では、昭和30年代のボルト・ナット製造工場とその当時の住居が復元されており、当時の生活や産業の様子をリアルに感じることができます。また、ダイハツ・ミゼットといった当時の工業製品も展示されており、昭和の暮らしを具体的にイメージすることができます。
「天文展示室」では、太陽望遠鏡がとらえた太陽面やスペクトル、隕石、そしてティコ・ブラーエの観測装置など、天文学に関するさまざまな展示が行われています。これらの展示を通じて、宇宙や天体に対する理解を深めることができます。
直径18メートルの傾斜型ドームを持つプラネタリウムでは、145席の座席が設置されており、光学式プラネタリウム「インフィニウムΣ」とデジタル式プラネタリウム「スカイマックスDS2R2」を組み合わせたコニカミノルタプラネタリウム製「ジェミニスターΣ KATSUSHIKA」が導入されています。
このプラネタリウムでは、すべての番組が博物館で制作されており、解説員による生の解説が行われるのが特徴です。また、各客席には3つの回答ボタンが設置されており、クイズやアンケートなど、参加型の番組も楽しめます。
天体観測室には、ニコン製の口径25cmEDクーデ式屈折望遠鏡が設置されており、毎週金曜日と土曜日の夜(祝日を除く)には観望会が開かれ、一般の方々にも公開されています。
屋上には、ニコン製の口径30cmグレゴリークーデ式太陽望遠鏡が設置されており、晴れた日中には天文展示室で太陽面を観察することができます。この望遠鏡を通じて、太陽の活動や構造についての理解を深めることができます。
博物館内には、分光器室やカリフォルニア科学アカデミー製のフーコーの振り子も展示されており、物理学や天文学に関する知識を学べる貴重な場所となっています。
「特別企画展示室」では、年間を通じて数回、特別展や企画展、収蔵資料展が開催されており、常設展示とは異なる視点で葛飾区の歴史や文化、天文学に関する新たな知見を得ることができます。
体験学習室では、かつての葛飾区教育資料館に展示・収蔵されていた教科書や教育資料が展示されています。さらに、この場所はイベントなどの会場としても利用され、さまざまな教育的体験が可能です。
葛飾区郷土と天文の博物館へは、以下の交通手段でアクセスできます。