有名なご当地ラムネ
現在でも東京の下町では、昔ながらの瓶入りラムネが販売されています。柴又ラムネ、吾妻ラムネ、三ノ輪ラムネなどが代表的で、それぞれの地域で購入することが可能です。
ラムネ
下町の子供たちに親しまれた元祖炭酸飲料
ラムネの歴史
名前の由来と日本への伝来
「ラムネ」という名前は、イギリスの「レモネード」が訛って生まれたとされています。この飲料とともに独特なガラス瓶の形状も日本へ伝わり、明治初期には神戸の旧居留地にあったシム商会が日本初の製造・販売を行いました。
「ラムネの日」と日本ラムネ協会
明治5年5月4日(1872年6月9日)、日本人によるラムネ製造が公式に許可され、この日が後に「ラムネの日」として定められました。1995年には日本ラムネ協会も設立され、現在でもイベントなどを通じてラムネ文化の普及が続けられています。
特徴的なラムネの容器
コッドネックボトルの仕組み
ラムネ瓶の原型は、1872年にイギリスのハイラム・コッドが特許を取得した「コッドネックボトル」です。日本では「玉詰め瓶」や「ラムネ瓶」とも呼ばれています。この瓶には上部にくびれがあり、そこにビー玉(ラムネ玉)を用いて炭酸ガスの内圧によって密閉する仕組みになっています。
再利用可能なリターナブル容器
この仕組みは栓を含めてリサイクルが可能で、瓶は平均して約25回再使用されると言われています。ただし、子供たちがビー玉を取り出すために瓶を破壊してしまうことや、瓶内部の洗浄の難しさから製造や再使用には課題もあります。
瓶の開け方と工夫
瓶を開けるには、口部を密封しているビー玉を押し下げて内圧を逃がします。かつては木製の「玉押し」が使用されていましたが、現在はプラスチック製の専用開栓器が添付されています。開栓の際には瓶を少し傾けて開けると泡が噴き出すのを防ぐことができます。
瓶のくぼみと飲みやすさ
飲む際には、押し下げられたビー玉が口を塞いでしまうことがありますが、瓶には玉を引っ掛けるためのくぼみが設けられており、それによってスムーズな飲用が可能になります。
注意点と製造工程
取り扱いの悪さによって、ラムネ玉が開栓前に瓶の中に落ちてしまうこともあります。このような商品は内容の変質や漏れの恐れがあるため、製造元へ返送するよう案内されることがあります。瓶の製造は、広口瓶にビー玉を入れた後、口部を加熱して狭めるという工程がとられています。
ラムネの進化
新しい容器の登場
2000年代には、口部をプラスチック製にしたラムネ瓶も登場し、口部を右回りに回すとキャップが外せる構造になりました。また、誤飲防止のため飲み終わってからキャップを外すよう注意表示がされています。
PET容器のラムネ
使い捨てのPET容器を使用したラムネも販売されるようになりました。これらの容器も、ビー玉が取り出しやすい構造が採用されており、環境に配慮した設計がなされています。
まとめ
ラムネは、清涼な風味と独特の瓶のデザインで長く日本人に愛されてきた飲料です。特に夏の風物詩として親しまれてきた歴史や文化が今もなお残っており、下町を中心にその味わいと懐かしさを感じることができます。