水元公園は、東京都葛飾区に位置する都立公園で、東京23区内で最大規模を誇る広大な公園です。その広さは水域面積が大きい水郷公園として知られており、都会の喧騒から離れ、自然と触れ合うことができる場所として多くの人々に親しまれています。
水元公園は、その名の通り、水域を中心に広がる公園です。公園の名称にもなっている「水元」は、かつてこの地域が古利根川の河川敷であったことに由来しています。この公園は、小合溜という準用河川を中心に整備されており、対岸には埼玉県三郷市が広がり、埼玉県立みさと公園とも隣接しています。
園内には四季折々の花々が咲き誇り、特に桜の季節やハナショウブが見ごろを迎える初夏には、多くの花見客や観光客で賑わいます。公園西側の道路、通称「桜堤」は、特に美しい景観を楽しむことができるスポットとして知られています。また、季節を問わず週末には多くの家族連れや友人同士が訪れ、バーベキューやキャンプなどのアウトドア活動を楽しむことができます。
この地域は江戸時代、徳川家光の江戸川改修事業により、かつての古利根川の河川敷が埋め立てられ、小合村(後に水元村、さらに葛飾区に合併)として耕作地として利用されてきました。1940年には紀元2600年記念事業の一環として、水元緑地としての整備が始まりましたが、太平洋戦争の影響で中断を余儀なくされました。戦後、都市計画の改訂により、1957年に水元公園として再発足し、1965年4月1日に正式に開園しました。
1968年には明治百年記念事業の一環として、水元公園は明治百年記念公園に指定されました。これに伴い、記念広場や「メタセコイアの森」などの整備が進められ、現在のような広大で魅力的な公園へと発展しました。また、1981年には住居表示の実施により、町名としての「水元公園」が正式に成立し、地域住民にも親しまれる存在となりました。
2000年には、東京都公園審議会が整備の遅れていた水産試験場跡地や旧天王免地区、東金町8丁目地区の整備計画を発表しました。これらの地域は、加用水を中心に「水の軸」とした景観を創出することを目指しており、水元公園の自然環境と調和した新たなエリアとして期待されています。
しかし、整備にはいくつかの課題も存在します。特に、三郷市が加用水を下水の排水路として利用していることが問題となっており、公園としての整備が進まない状況が続いていました。この問題を解決するため、東京都は三郷市に対して対応を要請し、三郷市は2016年度までに地下調整池を建設するなどの対策を講じました。
水元公園は、開園当初から多くの訪問者に親しまれており、その広さは96.3ヘクタールにも及びます。園内には約19,100本の高木が植えられており、豊かな自然環境を提供しています。また、野外ステージやキャンプ広場、バーベキュー広場など、さまざまなレクリエーション施設も整備されており、家族連れやグループでの利用がしやすい環境が整っています。
水元公園は、東京都地域防災計画における防災公園の一つとしても位置付けられており、大規模救出救助活動拠点としての機能を持っています。園内にはヘリポートや災害対応トイレ、防災パーゴラ、かまどベンチなどが設置され、災害時にも活用できる設備が整っています。
水元公園へのアクセスは、徒歩や公共交通機関、マイカーなど、さまざまな手段が利用可能です。最寄りの駅は、JR東日本常磐緩行線の「金町駅」および京成金町線の「京成金町駅」で、徒歩約20分(1.4km)で到着します。また、京成バスや東武バスなどのバス路線も充実しており、バス停から公園までのアクセスも良好です。車での訪問も可能で、園内には1,170台分の駐車スペースがあり、24時間利用可能です。