夢の島熱帯植物館は、東京都江東区にある都立夢の島公園内に位置する植物園です。1988年に開設され、主に熱帯植物を展示しています。社会科見学や観光スポットとして親しまれています。
概要
夢の島熱帯植物館は、東京都が管理する夢の島公園内に位置し、新江東清掃工場の余熱を利用して温室内の気温を調整しています。2006年からは「日比谷アメニス夢の島グループ」により管理されています。
主な施設と展示
映像ホール
熱帯に関する15分の映画を2本立てで自動上映しており、熱帯地域の文化や植物についての知識を深めることができます。
大温室
夢の島熱帯植物館の中心的な施設で、3つのドームが特徴です。新江東清掃工場から供給される高温水で温度が維持され、様々な熱帯植物が育成されています。
Aドーム:「木生シダと水辺の景観」
木生シダや湿地に生息する植物が展示され、熱帯雨林の水辺の環境を再現しています。滝の音が響く池には熱帯性スイレンが咲き、マングローブ植物が茂る風景が広がります。
展示植物例:
- フウリンブッソウゲ:ハイビスカスの一種で、風鈴のように垂れ下がる花が特徴。
- ゾウタケ:世界最大のタケで、東南アジアなどで建材や食用として利用されています。
- サガリバナ:湿地に生息する植物で、夜に咲き翌朝には落下する花が特徴。
Bドーム:「ヤシと人里の景観」
ヤシ類を中心に、人と植物が共生する環境が表現されています。熱帯地域の農村風景をイメージした展示が見どころです。
展示植物例:
- リョウリバナナ:青い状態で収穫し、焼いたり揚げたりして食べられるバナナの一種。
- カカオ:チョコレートやココアの原料となる植物。幹に直接花をつける。
- ヒスイカズラ:フィリピンのルソン島原産のつる植物で、宝石のヒスイを思わせる花が咲きます。
Cドーム:「小笠原の植物とオウギバショウ」
小笠原諸島に自生する固有種の植物や、熱帯地域に生息するオウギバショウなどが展示されています。
展示植物例:
- オウギバショウ:マダガスカル原産で、観賞用として各地で栽培されています。
- タコノキ:小笠原の岩場から林の中に広く分布し、タコの足のような気根が特徴です。
- シクンシ:つる性の花木で、夜に咲き独特の香りを放つ花が特徴です。
食虫植物温室
多様な食虫植物が展示されている温室で、虫を捕らえて栄養を補う植物の独特な生態を観察することができます。ウツボカズラやハエトリグサなどが展示され、虫を捕らえる仕組みについても学べます。
情報ギャラリー
植物や環境に関する情報が展示され、訪問者が学びを深められるようになっています。
ゆめのへや
2008年にオープンした「ゆめのへや」は、フランス生まれの積み木型知育玩具「カプラ」で遊べるスペースで、子どもから大人まで楽しめる場所です。
イベントホール
各種イベントやワークショップが開催されるスペースで、植物に関する講座や地域イベントなど多岐にわたる内容が行われています。
喫茶室
トロピカルフルーツのジュースやアジア料理のナシゴレンなどが楽しめる喫茶室で、温室の景観を楽しみながらの食事が魅力です。
ハーブ園
ラベンダーやミントなど、様々なハーブが栽培されているエリアです。ハーブの利用方法について学ぶことができ、夏にはジャガランダの紫色の花が見られます。
芝生広場
デイゴやブーゲンビレアなど、熱帯植物が栽培されている広場で、春にはブラシノキが赤く染まり、夏には熱帯性スイレンが見頃を迎えます。カナリーヤシの木陰でピクニックも楽しめます。
オーストラリア庭園
日本の南に位置するオーストラリアの植物を展示しています。ユニークな形状を持つバンクシアやカリステモンなど、在来植物を楽しめる庭園です。
ショップ
夢の島熱帯植物館の特徴を活かした商品が揃うショップでは、大温室ドームをモチーフにしたキーホルダーや小笠原諸島の植物をデザインしたグッズなど、記念品が購入できます。
マスコットキャラクター
夢の島熱帯植物館には「このはちゃん」というマスコットキャラクターがいます。館内イベントに登場することもあり、子どもたちに大人気です。
施設の魅力と見どころ
熱帯の世界で癒しを体験
夢の島熱帯植物館は、熱帯多雨林の豊かな環境の中で進化した植物が多数展示されています。緑豊かな空間や鮮やかな花々、差し込む光が訪れる人々に癒しを提供します。
東京で体験するジャングル
ドームに入ると、そこはまるで本物の熱帯多雨林のような世界です。冒険のような非日常を気軽に体験できる場所です。
熱帯多雨林のカフェ
温室内には「ボタニカルカフェ」があり、滝の音や植物に囲まれながらリラックスできる空間が広がっています。熱帯フルーツのアイスやドリンクも楽しめます。
小笠原諸島の植物を楽しむ
夢の島熱帯植物館には、小笠原諸島の植物も展示されています。タコノキやムニンノボタンなどの固有種を楽しむことができ、訪れる人々に約1,000km南の太平洋の真ん中にある小笠原諸島に旅する気分を提供します。
楽しく学べるワクワク体験
「熱帯植物と人間生活とのかかわり」をテーマに、様々な企画展やイベント、映像ホールで熱帯の文化や植物について学ぶことができます。
エコフレンドリーな温室
温室の暖房には新江東清掃工場から送られてくる高温水が利用されており、30年以上前からエネルギーを無駄なく活用しています。ゴミ処理の熱を利用した持続可能な施設です。
年間開花カレンダー
夢の島熱帯植物館では、四季折々の花々を楽しむことができます。以下に、各季節に見られる代表的な植物を紹介します。
春の見どころ
春は新芽が芽吹き、多くの植物が花を咲かせる時期です。以下の植物が見られます:
- バニラ - 香り豊かな白い花が咲きます。
- ハスノハギリ - 美しい葉と共に咲く小さな花が特徴です。
- コエビソウ - 赤い花が特徴的で、エビの形に似た花序が可愛らしいです。
- ヘリコニアリッチモンドレッド - 鮮やかな赤い花が垂れ下がるように咲きます。
- シマギョクシンカ - 白い花と深緑の葉が印象的です。
- ムユウジュ - オレンジ色の小花が特徴の熱帯樹木です。
- テンニンカ - ピンク色の小花が枝先に咲きます。
- ポポー - 食用としても知られる果実をつける木です。
- キバナイペー - 黄色のトランペット状の花が咲き誇ります。
- ゲットウ - 白い花と芳香が特徴の熱帯植物です。
- ラベンダー - 紫の花と心地よい香りが楽しめます。
- ブラシノキ - 赤い花がブラシのような形をしており、観賞価値が高いです。
- サラセニア - 肉食植物としても知られ、ユニークな姿を楽しめます。
- メディニラ・マグニフィカ - ピンクの大きな花房が美しい植物です。
- ニオイバンマツリ - 日毎に色が変わる花が咲き、香りも楽しめます。
夏の見どころ
夏は熱帯性の植物が多く開花し、色鮮やかな花々が楽しめる季節です。以下の植物が見られます:
- アカンサス - 大きな葉と紫色の花が特徴の多年草です。
- ジャカランダ - 青紫色の美しい花が咲く樹木です。
- アーティチョーク - 花と食用としても知られる植物です。
- レンブ - 白やピンク色の花を咲かせる果樹です。
- マルバデイゴ - 赤い花が咲き、夏の庭を彩ります。
- ナンバンサイカチ - 黄色い花がシャワーのように咲き誇ります。
- トーチジンジャー - 赤い花が特徴的な熱帯植物です。
- サガリバナ - 夜間に開花する珍しい花で、甘い香りが漂います。
- ムニンヒメツバキ - 小さな白い花が咲きます。
- ヘリコニア・ロストラータ - 鮮やかな赤と黄色の花が垂れ下がります。
- リョウリバナナ - 食用バナナとは異なり、花も観賞価値があります。
- 熱帯性スイレン - 鮮やかな色の花が水面に咲きます。
- モンステラ・デリキオサ - 大きな葉と共に白い花が咲きます。
- ステノカルプス・シヌアツス - 赤い花が木全体に咲き誇ります。
- シクンシ - ピンクや白の小花が集まって咲く美しい植物です。
秋の見どころ
秋は実りの季節で、果実をつける植物や色づいた葉が楽しめます。以下の植物が見られます:
- パンパスグラス - 大きなススキのような穂が風に揺れます。
- ゾウタケ - 巨大な竹の一種で、タケノコが特徴的です。
- グロッバ - オレンジ色の花がユニークな熱帯植物です。
- シロバナマンジュシャゲ - 白い彼岸花が秋の庭を彩ります。
- オウギバショウ - 扇形の大きな葉が特徴的な植物です。
- ディコリサンドラ・ティルシフロラ - 青紫色の花が咲く植物です。
- オウゴチョウ - 鮮やかな黄色と赤の花が咲き誇ります。
- イビセラ・ルテア - ユニークな形の実をつける植物です。
- サルビア・レウカンサ - 紫の花が咲き、晩秋まで楽しめます。
- オドントネマ・ストリクツム - 鮮やかな赤い花が咲きます。
- ギンバイカ - 秋には実をつけ、白い花も楽しめます。
- クレロデンドルム・ウガンデンセ - 青い蝶のような花が咲きます。
- サフラン - 紫の花が秋の訪れを告げます。
- ムニンアオガンピ - 緑の葉が美しい秋の植物です。
- ゴレンシ - 星型の果実をつける熱帯植物です。
冬の見どころ
冬でも色とりどりの花が楽しめるのが夢の島熱帯植物館の魅力です。以下の植物が見られます:
- キダチアロエ - 赤い花が冬の寒さの中でも咲きます。
- バンクシア - オーストラリア原産の植物で、ユニークな花を咲かせます。
- エパクリス・ロンギフロラ - ピンクの小さな花が咲きます。
- セネシオ・スティプルカケイタス - 冬でも咲き誇る黄色い花が特徴です。
- イポメア・フィストゥローサ - 白い花が咲く熱帯性の植物です。
- ハイビスカス - 鮮やかな色の花が冬でも咲きます。
- ストレリチア - 「極楽鳥花」とも呼ばれ、鮮やかな色が目を引きます。
- カリアンドラ・ハエマトケファラ - 赤い花がクリスマスの雰囲気を演出します。
- ビワ - 黄色の実をつける果樹です。
- ナンテン - 赤い実が冬の庭を彩ります。
- イチゴノキ - 白い花と赤い実が同時に楽しめます。
- クンシラン - 冬の寒さの中でも咲き続けるオレンジ色の花です。
- エリカ・ヒエマリス - ピンクの小花が冬に彩りを添えます。
- キフゲットウ - 冬でも美しい白い花を咲かせます。
- ヒヤシンス - 冬に咲く香り豊かな花です。
その他の見どころ
夢の島熱帯植物館は、植物の展示以外にもさまざまな見どころがあります。温室内の滝や池、熱帯の環境を再現したエリアなど、まるでジャングルに迷い込んだような気分が味わえます。また、季節ごとにテーマを変えて行われる展示やイベントも見逃せません。
利用案内
営業時間
午前9時30分~午後5時(入館は午後4時まで)
休館日
毎週月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始(12月29日~1月3日)
入場料
- 大人:250円
- 中学生:100円
- 65歳以上:120円
年間パスポート(1000円)もあります。
アクセス
東京メトロ有楽町線、JR京葉線、りんかい線「新木場駅」下車、徒歩15分。
車でのアクセスも可能で、隣接する夢の島公園の駐車場が利用できます(1時間200円、以降30分ごとに100円)。