実相院は、東京都世田谷区弦巻にある曹洞宗の寺院です。正式な名称は「鶴松山 実相院」で、世田谷吉良氏との関係が深いことで知られています。開基は吉良氏朝とされ、その法号「実相院」と氏朝の夫人の法号である「鶴松院」から寺号が付けられました。吉良氏の菩提寺である勝光院の末寺としても知られています。
実相院の境内は静寂に包まれ、「弦巻實相院界わい」として『せたがや百景』に指定されています。境内には歴史的な建物や樹木があり、世田谷区の歴史的遺産として大切にされています。
実相院は天永琳達大和尚によって創建され、開基は吉良氏朝またはその子の頼久とされています。1590年(天正18年)、主家である小田原北条氏の滅亡により吉良家は下総に逃れましたが、徳川家康の江戸入府後、吉良氏朝は世田谷に戻り、実相院で隠居生活を送ったと伝えられています。寺名は氏朝の法名「実相院殿前従四位下学翁参玄大居士」から、山号は夫人の法名「鶴松院快窓寿慶大姉」から取られています。
1648年(慶安元年)、徳川家光より10石の朱印状を拝領しましたが、1868年(慶応4年)、檀家の減少(12軒)のため朱印地を返上しました。明治初期には勝光院との合併の話も持ち上がり、廃寺の危機に瀕しましたが、住職と檀家の努力によって維持されることとなりました。
明治40年代には、実相院の住職であった佐々木義宣によって旧荏原郡西部の中学卒業者を中心に「四三会」が結成されました。1957年(昭和32年)には本堂が改築され、さらに地域の人々に親しまれる寺院として成長しました。
現在の山門は1993年(平成5年)に造られたものです。
本堂は1957年(昭和32年)に改築され、6間×6間半の大きさとなっています。
多宝塔は2011年(平成23年)に着工され、2012年(平成24年)に完成しました。
本堂の本尊で、吉良氏朝の御内仏との伝承があります。一木造の江戸時代の作で、日光菩薩立像・月光菩薩立像の両脇侍と十二神将立像と共に安置されています。
木心乾漆造で、1945年(昭和20年)に永井如雲によって寄贈されました。
東急世田谷線「上町駅」下車、徒歩7分
東急バス「弦巻営業所」下車、徒歩3分