多摩川花火大会は、東京都世田谷区と神奈川県川崎市で行われる花火大会で、正式には「世田谷区たまがわ花火大会(せたがやく たまがわ はなびたいかい)」と「川崎市制記念多摩川花火大会(かわさきしせいきねん たまがわ はなびたいかい)」の2つの大会を指します。これらの花火大会は、二子橋付近(東急田園都市線二子玉川駅・二子新地駅周辺)の多摩川河川敷で開催され、地域住民から親しまれています。
「世田谷区たまがわ花火大会」は、世田谷区玉川・鎌田地域の多摩川左岸で開催されます。2004年から2006年までは野川の河川改修工事のために中止されましたが、2007年に再開されました。花火大会の会場が広いため、尺玉(10号)サイズの大きな花火の打ち上げも可能です。
「川崎市制記念多摩川花火大会」は、川崎市高津区諏訪地域の多摩川右岸で開催されます。1929年に始まり、80年以上の歴史を持つ伝統的な花火大会です。過去には、六郷橋や多摩川大橋付近で開催されましたが、1975年より現在の二子橋付近で行われるようになりました。花火会場は狭く、住宅地に近いため、尺玉の打ち上げはできませんが、ノンストップでの打ち上げや音楽に合わせた演出が特徴です。
世田谷区側の花火大会では、広い河川敷を活かして、大玉の打ち上げが行われます。2012年の大会のテーマは「希望」であり、観客に感動を届ける演出が施されました。また、2011年の大会は、東日本大震災の影響を受けて中止されましたが、2012年には復活し、多くの来場者を迎えました。
川崎市側の花火大会では、尺玉の打ち上げは行えませんが、ノンストップでの打ち上げスタイルや「ハナビリュージョン」と呼ばれるコンピュータ制御による音楽と連動した演目が行われます。これにより、観客に新しい花火の楽しみ方を提供しています。
川崎市制記念多摩川花火大会は1929年に第1回が開催され、戦後も再開されて続けられてきました。1972年には政令指定都市昇格前夜祭としても実施され、その後は現在の開催地である二子橋付近で行われています。歴史と伝統を持つこの花火大会は、地域社会に深く根付いたイベントとなっています。
両大会とも、地域の商店や企業からの寄付、自治体からの支援、ボランティア活動など、多くの人々の協力によって支えられています。夏の風物詩として、多くの人々に親しまれており、毎年多くの観客を魅了しています。
この花火大会は、以前は8月第3土曜日に開催されていましたが、2017年に発生した落雷事故を受けて、2018年からは気候が安定しやすい10月に変更されています。開催地は、東京都世田谷区と神奈川県川崎市の境界である多摩川河川敷で、国道246号二子橋および東急田園都市線多摩川鉄橋付近が中心です。
毎年、東急田園都市線沿線に展開するケーブルテレビ局「イッツ・コミュニケーションズ」によって花火大会の生中継が行われています。2014年には、世田谷区側と川崎市側から同時中継が行われました。また、J:COMやFM世田谷でも中継が行われ、多くの人々にリアルタイムで楽しんでもらうための取り組みがされています。
花火大会へのアクセスは、鉄道が便利です。世田谷区側の最寄り駅は東急田園都市線・大井町線の二子玉川駅および上野毛駅、川崎市側の最寄り駅は二子新地駅です。ただし、大会当日は非常に混雑するため、入場制限が行われることもあります。その他、各駅には誘導係員が配置され、会場への安全な誘導が行われます。
大会当日は東急田園都市線や大井町線、東京メトロ半蔵門線で臨時ダイヤが設定され、増発が行われます。また、二子玉川駅を発着する路線バスについても運行形態が変更され、一部の路線は運休や区間運休となります。
花火大会開催時には、会場周辺の道路で大幅な交通規制が行われます。多摩川両岸の道路は自動車通行禁止となり、駐車場もないため、公共交通機関の利用が推奨されます。自転車や歩行者の通行も規制されるため、会場へ向かう際には注意が必要です。