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世田谷美術館

(せたがや びじゅつかん)

世田谷美術館は、東京都世田谷区の緑豊かな砧公園内に位置する美術館です。1986年に開館し、地域との密接なつながりを持ちながら、芸術の魅力を広く伝えています。

開館の経緯と特徴

世田谷美術館は、1986年3月30日に開館しました。開館以来、素朴芸術やアウトサイダー・アートと呼ばれる、正規の美術教育を受けていない非専門家による作品を収集・展示してきました。これらの作品は、地域に根ざした美術館として、住民に親しまれる芸術を提供することを目指したものです。美術館の設計は、内井昭蔵が手がけ、恵まれた自然環境を生かした建築デザインが特徴です。

環境に優しい設計

世田谷美術館は、隣接する世田谷清掃工場のゴミ処理の余熱を館内の熱供給に再利用するなど、環境に配慮した設計が施されています。また、建物内にはレストランやカフェも併設されており、訪れる人々に快適な時間を提供しています。

世田谷美術館の活動とプログラム

多彩な展覧会とプログラム

世田谷美術館は、開館以来、さまざまな展覧会やイベントを通じて、日常生活と芸術をつなぐ場を提供してきました。美術館は、世田谷区内に多くの芸術家が在住しているという地域の特性を生かし、在住作家の作品調査や収集活動を行い、その成果を展覧会で紹介しています。また、国内外の美術館や博物館と連携し、先史美術から現代美術まで、幅広い分野の芸術を紹介しています。

幅広い年齢層に対応したプログラム

世田谷美術館では、幅広い年齢層を対象にしたプログラムも充実しています。音楽や映像、創作実技の講座、ワークショップなど、芸術と多角的に触れ合える機会を提供し、地域の人々にアートとの関わりを深める場を提供しています。

世田谷美術館のコレクション

素朴派とアウトサイダー・アート

世田谷美術館は、近現代の作品を中心に約18,000点の美術作品を収集してきました。特に素朴派と呼ばれる作家たちの作品は、美術館のコレクションの柱となっています。素朴派の代表的な作家であるアンリ・ルソーの作品や、イタリアの靴職人オルネオーレ・メテッリなど、正規の美術教育を受けていない作家たちが生み出した独自の表現世界がコレクションに加えられています。

国内外の近現代美術作品

世田谷美術館のコレクションには、国内外の近現代美術作品も数多く含まれています。1980年代にニュ―・ペインティングの旗手として登場したジャン=ミシェル・バスキアや横尾忠則の作品、さらに20世紀美術に大きな影響を与えたアウトサイダー・アーティストの作品などが収蔵されています。これらの作品は、「美術」の意味を問い直し、創作の喜びを再発見させる魅力に満ちています。

世田谷区ゆかりの作家たち

関東大震災以降、世田谷区には多くの文化人や美術家が移り住みました。これにより、世田谷区は芸術的な風土を持つ地域として発展しました。現在も世田谷区には多くの美術家が居を構えており、美術館では向井潤吉、宮本三郎、清川泰次など、世田谷区ゆかりの作家たちの作品を収集・展示しています。これにより、地域と美術との強い結びつきを示しています。

特色あるコレクション

世田谷美術館は、北大路魯山人の作品を含む「塩田コレクション」や、資生堂名誉会長・福原義春氏が収集した駒井哲郎の版画作品など、特色あるコレクションを有しています。これらのコレクションは、美術館の歴史と活動を象徴するものとして大切にされています。

建築と施設の特徴

建築の概要

世田谷美術館は、1985年に竣工し、1986年に開館しました。鉄筋コンクリート造の建物は、延床面積8,223m²、建築面積4,882m²に及び、地下1階・地上2階の構造です。美術館の設計は、建築家・内井昭蔵によるもので、その独特なデザインが評価されています。建物は、公園内の背の高い木々に調和するように設計され、自然環境と一体化した建築が特徴です。

主な設備

世田谷美術館には、収蔵品展示室や企画展示室、区民ギャラリー、創作室、講堂、ミュージアムショップ、レストラン「ル・ジャルダン」、カフェ「セタビカフェ」など、さまざまな施設が充実しています。これらの設備は、訪れる人々に多様な芸術体験を提供しています。

世田谷美術館の分館

向井潤吉アトリエ館

向井潤吉アトリエ館は、世田谷区弦巻にあり、洋画家・向井潤吉(1901-1995)が愛用したアトリエ兼住居を改装して美術館としたものです。1993年に世田谷美術館の分館として開館し、向井の自作の油彩画やデッサンなど約660点を展示しています。

清川泰次記念ギャラリー

清川泰次記念ギャラリーは、世田谷区成城に位置し、抽象画の世界を探求した清川泰次(1919-2000)のアトリエ兼住居を改築して開館しました。2003年に世田谷美術館の分館として開館し、収蔵品展や区民ギャラリーとしての機能を備えています。

宮本三郎記念美術館

宮本三郎記念美術館は、世田谷区奥沢にあり、洋画家・宮本三郎(1905-1974)が制作の拠点とした場所に建設された美術館です。2004年に世田谷美術館の分館として開館し、宮本三郎の画業を紹介する展示やワークショップ、講演会などを開催しています。

まとめ

世田谷美術館は、地域との密接な関係を持ち、多様な芸術作品を収集・展示することで、日常生活と芸術をつなぐ役割を果たしています。美術館の建物や庭園、分館などを通じて、訪れる人々に豊かな文化体験を提供しています。世田谷美術館は、アートを楽しむ場として、また、地域と芸術を結びつける重要な拠点として、今後もその活動を続けていくでしょう。

Information

名称
世田谷美術館
(せたがや びじゅつかん)

下北沢・三軒茶屋

東京都