氷川神社は、東京都港区赤坂六丁目に位置する歴史ある神社です。この神社は、同じく港区内にある白金氷川神社や麻布氷川神社と区別するために、赤坂氷川神社とも呼ばれています。氷川神社は東京十社の一つに数えられており、旧社格は府社です。
概要
祭神
氷川神社の主祭神は、以下の三柱です:
- 素盞嗚尊(すさのおのみこと)
- 奇稲田姫命(くしいなだひめのみこと)
- 大己貴命 (おおなむぢのみこと)
由緒
氷川神社は、天暦5年(951年)に東国を遊行していた蓮林僧正が霊夢を見て、一ツ木村(現在の赤坂四丁目付近)に奉斎したことに始まると伝えられています。その後、享保15年(1730年)4月には江戸幕府第8代将軍徳川吉宗の命により、現在の場所に遷座されました。現在の社殿はこの時に造営されたもので、東京都の有形文化財に指定されています。また、遷座直後には吉宗公が参拝し、その後14代将軍家茂公まで歴代の将軍から朱印状が下付されるなど、幕府からの信仰が厚かったとされています。氷川神社は麻布氷川神社、渋谷氷川神社、簸川神社などとともに「江戸七氷川」に数えられ、その筆頭とされています。
境内
氷川神社の境内には、多くの歴史的建造物や文化財が点在しています。
額堂と石燈籠
氷川神社の参道には三の鳥居があり、その手前にある額堂や石燈籠が訪れる人々を迎えます。
浅野土佐守邸跡
境内の一部には、浅野長矩の夫人である瑤泉院の実家である浅野土佐守邸跡も存在します。この場所は、三次藩が廃藩となった際に幕府に収公され、更地となった歴史があります。
大イチョウ
氷川神社の境内には、港区の天然記念物に指定されている大イチョウもあります。秋にはその鮮やかな黄色の葉が訪れる人々を魅了します。
包丁塚
氷川神社には包丁塚もあり、古くから料理に携わる人々の信仰を集めています。
摂末社
氷川神社の境内には、以下の摂末社も祀られています:
- 四合稲荷神(しあわせいなり):明治31年(1898年)に古呂故稲荷、地頭稲荷、本氷川稲荷、玉川稲荷の4社を合祀した神社で、勝海舟が命名しました。さらに、大正14年(1925年)には鈴降稲荷と縁起稲荷が、昭和9年(1934年)には明徳稲荷が合祀されました。
- 西行稲荷神(さいぎょういなり):別名「火伏の稲荷」とも呼ばれ、火災除けのご利益があるとされています。
- 山口稲荷(やまぐちいなり)
- 桶新稲荷(おけしんいなり):主祭神は宇迦之御魂(うかのみたまのかみ)です。
- 九神社(くじんじゃ):天祖神社、春日神社、鹿島神社、八幡神社、諏訪神社、秋葉神社、厳島神社、金刀比羅神社、塞神社の9社を合祀しています。
文化財
氷川神社には、東京都および港区に指定された文化財が多数あります。
- 氷川神社社殿(東京都指定有形文化財 建造物)
- 月岡芳年筆 『ま』組火消し絵馬(東京都港区指定有形文化財 絵画)
- 徳川将軍家朱印状 付目録・条目・写し(東京都港区指定有形文化財 古文書)
- 御祭礼番附留(東京都港区指定有形文化財 古記録)
- 石燈籠四基(東京都港区登録有形文化財 歴史資料)
- 旧紀州家 櫓太鼓(東京都港区登録有形文化財 歴史資料)
- 祭礼山車行列額絵(東京都港区指定有形民俗文化財)
- 奉納絵馬七点(東京都港区指定有形民俗文化財)
- 力石(東京都港区登録有形民俗文化財)
- 氷川神社のイチョウ(東京都港区指定天然記念物)
年中行事
氷川神社では一年を通じてさまざまな祭事が執り行われます。
- 1月 - 元旦: 歳日祭、上旬: 初詣巡拝バス、成人祭
- 2月 - 3日: 節分祭、午の日: 初午祭、11日: 紀元祭、17日: 祈年祭
- 4月 - 15日: 四合稲荷祭、下旬: 末廣稲荷祭
- 5月 - 5日: 子供の日の祭り、中旬: 御田植祭、下旬: 西行稲荷祭
- 6月 - 30日: 大祓式(夏越の祓)
- 7月 - 上旬: 型代流し神事
- 9月 - 13日: 清祓式、14日: 前日祭、15日: 例大祭
- 10月 - 上旬土曜: 包丁塚祭、中旬: 抜穂祭
- 11月 - 3日: 文化の日の祭、15日: 七五三祝祭、23日: 新嘗祭
- 12月 - 23日: 天長節、31日: 大祓式(年越の祓)、除夜祭
月次祭
毎月1日と15日に月次祭が行われます。
氏子地域
氷川神社の氏子地域は以下の通りです:
- 港区元赤坂一丁目、赤坂四丁目、赤坂五丁目、赤坂六丁目、赤坂七丁目
- 赤坂九丁目の一部(六本木一丁目の旧字谷町地区)
交通アクセス
- 東京メトロ銀座線・南北線 溜池山王駅から徒歩8分
- 東京メトロ千代田線 赤坂駅から徒歩8分
- 東京メトロ日比谷線 六本木駅から徒歩8分