概要
太田記念美術館は、5代目太田清蔵が収集した浮世絵コレクションを基に設立されました。太田清蔵は、東邦生命保険相互会社の会長を務め、実業界で名を馳せた人物です。彼が生涯をかけて収集した作品は、肉筆浮世絵約500点、浮世絵版画約1万点、浮世絵に関連する版本や骨董品約200点を含みます。また、旧鴻池コレクションからは扇面画約900点が収蔵されており、そのうち約60点は浮世絵派の作品です。さらに、浮世絵研究家である長瀬武郎から寄贈された肉筆画と版画約650点も加わり、総計1万2千点を超える豊富なコレクションを誇っています。これらのコレクションは、毎年新たな収蔵品が追加され、絶えず成長を続けています。
美術館の特色
太田記念美術館は、開館前の1977年(昭和52年)11月から、銀座の東邦生命ビル内に仮設された会場で展示を行ってきました。開館以来、月ごとにテーマを変えた特別展を年に12回開催しており、浮世絵の多様な魅力を広く紹介しています。太田清蔵がボストン美術館で体験した和風の落ち着いた展示環境は、太田記念美術館でも独自に工夫されて採用されており、静かな鑑賞体験を提供します。なお、2014年12月の改修工事により、かつては履物を脱いでスリッパに履き替える必要がありましたが、現在は靴のまま入場できるようになりました。
また、美術館の中央には石庭があり、左手の奥には一段高い畳敷きの座敷も設けられています。座敷に上がった観客は、床の間で鑑賞するように膝を落とし、そこに飾られた肉筆画を見上げる体験を楽しむことができます。
主な収蔵品
錦絵
- 「風流うたひ八景」8枚揃 鈴木春信
- 「出語り図 春駒」鳥居清長
- 「五条大橋の牛若丸と弁慶」勝川春章
- 「北国五色墨・てっぽう」喜多川歌麿
- 「江戸近郊八景之内」8枚揃 歌川広重
- 「木曽海道六拾九次之内・中津川」歌川広重
- 「としよりのよふな若い人だ」歌川国芳
- 「人かたまつて人になる」歌川国芳
- 「喫煙のマドロスと少女」団扇絵 小林清親
- 「三井好 都のにしき5 夏-夜会草の咲く夕べ」水野年方
肉筆浮世絵
- 「不破名護屋敵討絵巻」紙本着色 菱川師宣
- 「美人遊歩図」絹本着色 菱川師房
- 「美人立姿図」絹本着色 宮川長春
- 「吉原格子先之図」紙本着色 葛飾応為
- 「真崎の月見図」絹本着色 鳥居清長
- 「美人読玉章図」絹本着色 喜多川歌麿
- 「桜下遊女の図」絹本着色 鳥文斎栄之
- 「吉原十二時絵巻」絹本着色 鳥文斎栄之
- 「桜下花魁道中図」絹本着色 歌川豊春
- 「春の愁」絹本着色 歌川豊国
- 「雨中の虎図」紙本着色 葛飾北斎
- 「源氏物語図」絹本着色 葛飾北斎
- 「浅妻舟図」絹本着色 蹄斎北馬
- 「日光山霧降ノ滝・日光山華厳ノ滝・日光山裏見ノ滝図」絹本着色 3幅対 歌川広重
- 「女三題図」絹本着色 渓斎英泉
施設概要
所在地
住所: 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前一丁目10番10号
開館時間
時間: 午前10時30分~午後5時30分(入館は午後5時まで)
休館日
定休日: 毎週月曜日(祝日の場合は翌日)、展示替え期間、年末年始(詳細は美術館公式ウェブサイトでご確認ください)
入館料
料金: 展示内容により異なります(詳細は美術館公式ウェブサイトでご確認ください)。また、10名以上の団体は事前予約が必要です。
交通アクセス
太田記念美術館へのアクセスは便利です。JR山手線原宿駅表参道口より徒歩5分、または東京メトロ千代田線および副都心線の明治神宮前駅5番出口から徒歩3分です。ただし、駐車場は併設されていないため、公共交通機関のご利用をお勧めします。