渋谷区立松濤美術館は、東京都渋谷区松濤二丁目に位置する美術館です。1981年に開館し、以降、企画展を中心に様々な展覧会が開催されており、渋谷区に関連する公募展や絵画展だけでなく、音楽会や美術教室なども行われています。
美術館の建物は、著名な建築家である白井晟一研究所が設計を担当し、竹中工務店が施工を担当しました。外壁には紅味を帯びた韓国産の花崗岩(紅雲石)が使用され、ブロンズ製のグリルや化粧垂木、銅板葺きの屋根が組み合わさったデザインが特徴です。建物の中央には噴水を配した外部吹抜があり、その周囲を展示室が円形に囲んでいます。
松濤美術館の外観は、その紅雲石の外壁により、独特の風格を持っています。白井晟一の設計意図に基づき、当初予定していた恵那錆石からより明るい感じのする花崗岩に変更されました。この決定は、美術館の完成度を高めるためのものであり、建築家の「自然の発見」という理念が反映されています。
松濤美術館の建設計画は、昭和48年(1973年)に制定された「渋谷区長期基本計画」の一環として始まりました。この計画では、教育文化の向上を図るために、美術館、音楽室、集会所(文化センター)などの施設が提案されました。その中で、松濤の元土木事務所跡地に美術館の建設が決定され、昭和52年(1977年)の当初予算に美術館建設のための費用が盛り込まれました。
美術館の工事は昭和53年(1978年)に始まり、基本設計および実施設計が白井晟一研究所によって行われました。設計の過程でいくつかの変更が加えられ、例えば展示スペースの増加や来館者の動線改善が図られました。また、外壁に使用される石材も変更され、韓国産の紅雲石が採用されました。
工事は昭和55年(1980年)に竣工し、その後、壁紙や建材から発生する化学物質の影響をなくすため、約1年3か月間の枯らし期間が設けられました。その間に、美術館条例の制定、美術館事業の管理委託のための財団法人渋谷区美術振興財団の設立が行われ、昭和56年(1981年)10月1日に開館の日を迎えました。
以下は、渋谷区立松濤美術館の沿革の主要なポイントです。
松濤美術館の開館時間は以下の通りです。
最終入館は閉館の30分前までとなっています。
休館日は月曜日(祝休日を除く)および祝休日の翌日(土・日曜日を除く)、年末年始、陳列替え期間中です。
渋谷駅から徒歩約15分、神泉駅から徒歩約5分の距離に位置しています。