誕生の背景と設計コンセプト
SHIBUYA SKYは、東急東横線の旧地上駅舎跡地や東急百貨店東横店東館の再開発の一環として建設された「渋谷スクランブルスクエア東棟」の最上部に設けられました。当初、展望施設は計画に含まれていませんでしたが、法改正によってビルの構造計画に余裕が生まれたことで、都市の魅力向上を目的に追加されました。
設計は日建設計、空間演出はライゾマティクスが手がけ、施設全体に「日常から非日常へ、そして再び日常へ戻る」という巡礼的な体験構造が取り入れられています。
SHIBUYA SKYの3つの展望ゾーン
SHIBUYA SKYは、以下の3つの主要ゾーンで構成されています。
- SKY GATE(14階~45階):移行空間
- SKY GALLERY(46階):屋内展望回廊
- SKY STAGE(屋上):屋外展望空間
各ゾーンは単なる通路や空間ではなく、物語性をもって一体的に設計されており、訪れる人に唯一無二の展望体験を提供します。
SKY GATE ― 感性をひらく路
SENSING HALL(予感の部屋)
14階からスタートするこの空間では、床や天井に反射素材が用いられ、視覚を通して日常感覚を歪める演出が施されています。人の動きに応じて音と光が反応するシステムも導入されており、「非日常」への入口としての機能を果たします。
TRANSITION POD(移行する部屋)
分速360メートルの高速エレベーターで14階から45階へと移動します。天井全体がスクリーンとなって映像と音楽が展開され、上昇するにつれて非日常空間へ誘われる没入体験を提供します。
LEADING LINE(導きの光)
45階から46階へのエスカレーター部分では、暗い通路を光で導くことで、トンネルを抜けて開けた空へ出るようなドラマチックな演出がなされています。音響には玉砂利の足音などが取り入れられ、神聖な雰囲気が漂います。
SKY STAGE ― 解き放たれる空の舞台
屋上に広がる国内最大級(約2,500m²)の屋外展望空間。360度の視界が広がり、渋谷や新宿、副都心、富士山までも見渡せます。ここでは以下のようなエリアが設けられています。
SKY EDGE
渋谷スクランブル交差点を真下に見下ろせる絶景スポット。低めのガラス壁により、まるで空中に浮かんでいるかのような感覚が味わえます。床に配されたLEDは交差点の方向を指し示し、空間との一体感を高めます。
CLOUD HAMMOCK
ハンモック型のベンチに寝そべりながら、空を見上げてゆったりと過ごせるスペースです。
GEO COMPASS
世界地図が描かれた床の上に立ち、360度の大パノラマとともに地球を体感する空間。自分が世界のどこにいるかを実感できるユニークな体験が得られます。
CROSSING LIGHT
夜間は18台のサーチライトによる光と音の演出があり、四季折々のテーマに合わせたライティングで空間が彩られます。
SKY GALLERY ― 視点が拡がる展望ギャラリー
46階の屋内展望ゾーンは、天候に左右されずに楽しめるよう設計されており、インタラクティブな展示が体験できます。以下の3つのコンテンツが設けられています。
TIME RIVER(時空の川)
10台の70インチ4Kディスプレイが並び、棒状のタッチスティックで時の流れに自らの痕跡を刻むことができるインタラクティブ展示です。
PARALLEL WINDOWS(視点の窓)
3つの高精細ディスプレイが「時間」「世界」「自分」という異なる視点を表現。朝から夜までの街並みの変化、異国の風景、自身の動きと連動する映像などが体験できます。
DATA SCAPE(データの景色)
全長約40メートルのLEDウォールで、渋谷にまつわる様々なデータがリアルタイムで可視化され、外の眺望と融合するデジタル演出が楽しめます。
そのほかの施設・サービス
46階にはカフェ「パラダイス ラウンジ(Paradise Lounge)」があり、音楽と共にドリンクや軽食を楽しめます。さらに、オリジナルグッズを扱うスーベニアショップや、展望の記念写真が撮れるフォトサービスも用意されています。
また、45階にはセミナーやイベントに使用できる多目的スペースも完備されており、ビジネスユースにも対応しています。
まとめ ― 渋谷の未来を体感する空間
SHIBUYA SKYは、単なる展望台ではなく、渋谷という都市の鼓動を五感で感じることができる体験型施設です。都市、自然、技術、芸術、そして人が交わるこの空間は、未来の都市体験のプロトタイプともいえるでしょう。渋谷に訪れた際は、ぜひ一度、この空中の舞台を訪れてみてください。