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国立科学博物館 附属 自然教育園

(こくりつ かがく はくぶつかん ふぞく しぜん きょういくえん)

国立科学博物館附属自然教育園は、東京都港区白金台五丁目に位置する国立科学博物館附属の自然緑地です。「旧白金御料地」として、園内全域が天然記念物および史跡に指定されています。この自然教育園は、都市の喧騒から離れ、貴重な自然環境を堪能できる場所として広く知られています。

概要

この自然教育園は、渋谷区から港区に向けて東流する古川(渋谷川)の南岸に面した、標高32メートルの武蔵野台地上に位置しています。この地は、江戸時代以前から屋敷地として使用されていましたが、長い間、人の手がほとんど加えられなかったため、かつての東京都区内の自然をそのまま残した貴重な場所となっています。隣接する東京都庭園美術館の手入れの行き届いた庭園とは対照的に、この自然教育園では、日本の古来種である野草や地形、土塁などが保存されています。

歴史

この園内は、「旧白金御料地遺跡」として埋蔵文化財包蔵地に指定されています。園内からは、縄文土器や弥生土器、さらに近世の遺物が発見され、有史以来この地に人が住んでいたことが確認されています。室町時代には、この地には白金長者と呼ばれる豪族が居館を構え、その遺構とされる土塁が現在でも園内に残されています。

江戸時代には、高松藩主松平頼重の下屋敷として使用され、明治時代になると陸海軍の火薬庫として利用されました。その後、1917年(大正6年)に陸軍から宮内省帝室林野局に委譲され、「白金御料地」となりました。しかし、戦時中には田畑として利用されたり、防空壕が掘られるなど、荒廃が進んだ時期もありました。

戦後、この地は文部省に移管され、1949年(昭和24年)に全域が「旧白金御料地」として天然記念物および史跡に指定されました。これに伴い、「国立自然教育園」として一般に公開されることとなりました。その後、1962年(昭和37年)には国立科学博物館附属の施設となり、現在の名称である「国立科学博物館附属自然教育園」となりました。

自然環境と保護

大正時代の文献によると、この地にはかつてモミ、スギ、マツといった針葉樹が林を形成していたことが記録されています。しかし、明治神宮造営のための大規模な移植や、近隣道路からの大気汚染により、針葉樹は激減し、現在では落葉広葉樹が主体の森が広がっています。

園内には、シイ林、マツ林、コナラ林、落葉樹林、草原、湿地など、多様な植生が見られます。また、1473種の植物、約2130種の昆虫、約130種の鳥類が記録されており、都市部では非常に稀な自然環境が維持されています。

研究と教育

2016年から2018年にかけて、国立科学博物館の研究員による生物相の調査が実施され、その調査結果は公開されています。この自然教育園は、自然保護教育のためのカリキュラム作成や、野外観察会のフィールドとしても利用されており、自然の保護と教育の両面で重要な役割を果たしています。

基本情報

自然教育園は、JR山手線目黒駅から徒歩9分、東京メトロ南北線および都営三田線白金台駅から徒歩7分と、アクセスも非常に便利です。敷地面積は約6万坪(約20万平方メートル)で、一般・大学生は320円、高校生以下および65歳以上は無料で入園できます。

園内には、自然教育園の自然を紹介する展示や休憩スペース、ミュージアムショップなどが設けられており、訪れる人々にとって充実した時間を過ごすことができる環境が整っています。

Information

名称
国立科学博物館 附属 自然教育園
(こくりつ かがく はくぶつかん ふぞく しぜん きょういくえん)

目黒・中目黒

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