大鳥神社は、東京都目黒区下目黒にある神社で、目黒区最古の神社として知られています。かつては目黒村(それ以前は下目黒村)の総鎮守として地域の信仰の中心でした。また、11月に行われる酉の市でも有名で、多くの人々が訪れます。
大鳥神社には部下の目の病を治癒したという由緒があり、「盲神(めくらがみ)」と呼ばれました。この「めくら」が次第に「目黒(めぐろ)」と訛っていき、目黒という地名の由来となったと言われています。
大鳥神社の起源は景行天皇(西暦71年~130年)の時代に遡ります。当時、この地には国常立尊を祀った社がありました。日本武尊が東夷平定の折にこの神社に立ち寄り、平定の成功と部下の目の病の治癒を祈願しました。祈願が成就すると、日本武尊は神恩に感謝して剣を奉納しました。その後、日本武尊の霊が白鳥として現れたことから「鳥明神」として祀られ、大同元年(806年)に社殿が完成したと伝えられています。この年が創建年とされ、目黒区最古の神社とされています。
室町時代の長禄の江戸図には「鳥明神」として描かれており、江戸図に記載されている9つの神社の一つであることから、江戸九社の一つとしても知られています。また、『江戸名所図会』では「大鳥大明神社」として描かれています。酉の市は、江戸時代の天保6年(1835年)に始まり、現在でも11月の酉の日には境内で熊手を扱う店が軒を連ね、多くの参拝者で賑わいます。
現在の社殿は昭和37年(1962年)に完成し、平成18年(2006年)には鎮座1200年祭が行われました。隣接する目黒通りと山手通りの交差点には大鳥神社の名前が冠せられており、交通の要所となっています。
日本武尊は景行天皇の皇子で、熊襲を討ち、東国の蝦夷を平定したことで知られています。この東夷平定の折、大鳥神社に立ち寄り、平定と部下の目の病の治癒を祈願しました。祈願が成就し、部下の目の病も治ったことから、尊は感謝の意を込めて当社を「盲神」と称え、所持していた十握剣を奉納しました。この剣は「天武雲剣(あめのたけぐものつるぎ)」と呼ばれ、当社の社宝となっています。
社伝によると、日本武尊の霊が当地に白鳥として現れ、「鳥明神」として祀られることになりました。そのため、社紋には鳳凰の紋が用いられています。また、日本武尊の祈願が成就した由緒から、大鳥神社は目黒の祈願所とも言われています。
酉の市は、毎年11月の酉の日に行われる市で、十二支の「酉」の日にあたります。酉の市は大鳥神社が発祥で、江戸時代に浅草の酉の市と並ぶ古い歴史を持ちます。神事では、「八つ頭の芋」と「熊手」が御神前に奉納されます。
「八つ頭の芋」は、日本武尊が東征の際に八族の各頭目を平定した功績を象徴し、「熊手」は尊が焼津での焼討ちの難を逃れた際に用いた道具として知られます。熊手を使って草を掻き集め、火を防いだことから、熊手は火難除けの縁起物とされ、現在も江戸消防記念会が酉の市に参拝しています。
大鳥神社の「おおとり」という名は「大取」に通じ、宝物を大きく取り込む象徴として、商売繁盛や開運招福の神様として多くの人々の信仰を集めています。
大鳥神社の境内には、目黒稲荷神社が鎮座しており、多くの参拝者が訪れます。
大鳥神社へのアクセスは、山手線・東急目黒線・南北線・三田線の目黒駅から徒歩7分と便利です。目黒通りと山手通りの交差点に位置し、アクセスも良好です。