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永青文庫

(えいせい ぶんこ)

永青文庫は、東京都文京区目白台に位置する日本・東洋の古美術を中心とした美術館です。旧熊本藩主細川家の伝来品や、16代当主である細川護立が蒐集した美術品や歴史資料を所蔵・展示しています。この美術館は、公益財団法人永青文庫によって運営されており、理事長は細川護光氏が務めています。

永青文庫の概要

永青文庫は、細川家の歴史と美術に深く関わる施設として、1950年(昭和25年)に第16代当主細川護立(1883年 - 1970年)によって設立されました。護立は旧侯爵であり、貴族院議員としても知られ、戦前・戦後の日本文化財保護に多大な貢献を果たしました。「美術の殿様」とも称され、彼の美術品収集家としての名声は高く、多くの旧大名家が伝来の名宝を他者に寄贈または売却する中、細川家はその美術品を自ら管理し保存しました。

文庫の設立と所在地

文庫が所在する場所は、かつて細川家の屋敷跡地であり、建物は昭和時代初期に細川家の事務所として建設されたものです。文庫の名称「永青」は、細川家の菩提寺である永源庵(建仁寺塔頭、現・正伝永源院)の「永」と、細川藤孝の居城であった青龍寺城の「青」から取られています。

一般公開と細川護貞

永青文庫が一般公開されたのは、1972年(昭和47年)、第17代当主細川護貞(もりさだ)の時代からです。文庫には国文学の貴重な古書籍も所蔵されており、その一部は汲古書院より影印本として出版されています。

収蔵品の紹介

永青文庫の収蔵品は、歴代当主が使用した甲冑や茶道具、書画、古文書などの細川家伝来品と、16代当主細川護立によって蒐集された美術品で構成されています。護立が蒐集した作品には、中国美術(陶磁器、仏像、考古資料など)や白隠、仙厓などの禅画、禅林墨跡、近代日本絵画、刀剣などが含まれています。護立は横山大観、下村観山、菱田春草など多くの画家たちを支援し、これにより近代日本絵画のコレクションが形成されました。

指定文化財とその価値

永青文庫には、国宝や重要文化財として指定された数々の美術品が所蔵されています。これには、太刀 銘豊後国行平作(古今伝授の太刀)、短刀 無銘正宗(名物庖丁正宗)、細川澄元像 狩野元信筆、黒き猫 菱田春草筆などが含まれます。これらの美術品は、細川家の歴史や文化的背景を理解するための貴重な資料であり、日本美術の発展においても重要な役割を果たしています。

熊本県立美術館との連携

熊本市の熊本城二の丸にある熊本県立美術館には、永青文庫展示室が設けられており、永青文庫所蔵品の一部が定期的に入れ替え展示されています。また、東京国際空港第2旅客ターミナル内にかつて存在していた「ディスカバリーミュージアム」でも、永青文庫の所蔵品が企画展示されていました。

永青文庫の公益事業

永青文庫は公益財団法人として、以下の4つの事業を主に展開しています。

永青文庫の文化財

永青文庫には、国宝や重要文化財、県指定文化財を含む貴重な文化財が数多く所蔵されています。これらの文化財は、日本の歴史や文化を理解する上で非常に重要な資料となっています。以下では、永青文庫に所蔵されている主な文化財について紹介します。

国宝

重要文化財

絵画
彫刻
陶磁
刀剣武具
書跡
古文書
考古資料
歴史資料

その他の文化財

永青文庫は「細川家舟屋形」も所有しています。これは熊本藩の御座船の御座所で、「建造物」として重要文化財に指定されています。舟屋形は熊本城天守内に保管されていましたが、2018年に熊本市立熊本博物館に移されました。

県指定文化財

永青文庫には県指定の文化財も数多くあります。その中には、江戸中期の寛政5年(1793年)頃に描かれた「領内名勝図巻」があります。この絵巻物は、肥後細川藩を中心に九州地方の名勝を描いたもので、当時の地方状況を示す貴重な史料です。現在は、財団法人永青文庫が所蔵し、熊本県立美術館に寄託されています。

Information

名称
永青文庫
(えいせい ぶんこ)

池袋

東京都