沿革
鳩山会館の起源は、鳩山一郎の父である鳩山和夫が1891年(明治24年)に牛込区東五軒町から小石川区音羽に転居したことに始まります。以来、鳩山家は音羽に住まいを構えました。
現在残る建物は、関東大震災直後の1924年に鳩山一郎の私邸として建設されたもので、当時の代表的建築家である岡田信一郎によって設計されました。岡田は高等師範学校附属中学校(現・筑波大学附属中学校・高等学校)時代からの友人であり、その建築技術が発揮されています。
館内の見どころ
サンルームと応接室
鳩山会館の内部には、サンルームや応接室などがあります。応接室には、1956年に自民党幹部が集まり、政治的な議論が交わされた歴史があります。また、サンルームは建物の南端に位置し、庭に出ることができます。
自由党の会合の場
1950年3月、民主自由党と民主党の大合同によって自由党(現在の自由民主党)が発足しました。このとき、鳩山一郎は中心的な役割を果たし、彼の私邸は自由党の会合の場として利用されました。また、一郎が首相に就任した後も、ソ連との国交回復に向けた打ち合わせがここで行われました。
記念館としての再生
鳩山邸は太平洋戦争中の空襲で屋根に損害を受け、また一郎の没後には後継者の威一郎によって書斎の増築などの改造が行われました。老朽化が進んだため、1995年に大規模な修復工事が実施され、竣工当時の姿に復元されました。1996年6月1日に記念館としてオープンしました。
施設概要
建物の特徴
鳩山会館は当時として珍しい鉄筋コンクリート造の洋館で、各所にハトやミミズクなどの鳥をモチーフにした装飾が施されています。設計者岡田信一郎は様式建築を得意とし、アダム・スタイルの応接間などイギリスの邸宅を思わせるデザインが特徴です。1階部分では、日本家屋のような開放的な空間が作られています。
1階の見どころ
- サンルーム:建物の南端に位置し、庭に出ることができます。
- 応接室:3つの応接室が並び、当初は応接間、居間、食堂として使用されていました。
2階の見どころ
- 大広間:もとは寝室3部屋であったが、修復時に間仕切りを撤去して大広間に改造されました。窓からは庭園が一望できます。
- 鳩山一郎記念室:かつての書斎で、一郎の書簡や軍服、文具などが展示されています。
- 鳩山威一郎記念室:一郎の長男で、大蔵事務次官や外務大臣を務めた威一郎の遺品が展示されています。
- 鳩山薫記念室:一郎の妻で、共立女子学園理事長を務めた鳩山薫の記念室です。
その他の施設
- ステンドグラス:玄関上部や応接間、居間などに多用されています。工芸家小川三知の作品が見られます。
- 庭園:イギリス風の中庭が広がり、色とりどりの花が楽しめます。
- 鳩山和夫・春子像:庭園内に1931年に建立された像で、鳩山和夫と妻春子が描かれています。彫刻家朝倉文夫の作品です。
行事と利用
鳩山会館では毎年4月に観桜会が開催され、多くの報道機関が注目しています。2001年4月3日の観桜会では、鳩山由紀夫の主唱で、多くの政治家が出席しました。
ロケ地としての利用
鳩山会館は多くのテレビドラマやアニメのロケ地としても利用されています。代表的な作品には以下があります:
- 「花より男子」(2005年、TBS)
- 「ハゲタカ」(2007年、NHK)
- 「リッチマン、プアウーマン」(2012年、フジテレビ)
- 「花子とアン」(2014年、NHK)
- 「THE IDOLM@STER」(2011年、TBS)
- 「少年メイド」(2016年、TBS)
- 「ラブライブ!スーパースター!!」(2021年、NHK)
所有者と評価
2013年に所有者であった鳩山安子が死去した後、現在は鳩山由紀夫が相続し、所有しています。土地だけの評価額は50億円とも言われていますが、施設の維持費には年間約1億円がかかります。
岡山県勝山との関係
鳩山家の祖先は17世紀から三浦氏の家臣で、1764年に三河国西尾から岡山県勝山へ移住しました。鳩山会館で流れているビデオでは、鳩山家の先祖が作州勝山藩の江戸留守居役をしていたことが紹介されています。
アクセス
住所:〒112-0013 東京都文京区音羽1丁目7番1号
東京メトロ有楽町線:
- 江戸川橋駅 1a出口から音羽通りを北へ(徒歩7分)
- 護国寺駅 5番出口から音羽通りを南へ(徒歩8分)
都営バス:(上野松坂屋 - 早稲田車庫)音羽一丁目バス停