古川親水公園は、東京都江戸川区江戸川6丁目に位置する江戸川区立の親水公園です。この公園は日本初の親水公園として知られ、幅2.5〜3メートルの川沿いに約1.2キロメートルにわたり整備されています。
古川親水公園は、もともと江戸時代に行徳塩田から江戸へ塩を運ぶために掘られた船堀川が起源です。その後、水運ルートが南側に変更され、新しい運河が「新川」と呼ばれるようになり、旧船堀川は「古川」と呼ばれるようになりました。
古川は江戸川や利根川から物資を江戸に運ぶための重要な水運路として利用されましたが、陸上交通網の発展に伴い、その役割は次第に終わりを迎えました。戦後、江戸川区域の人口増加とともに、古川には生活排水や工場排水が流れ込み、悪臭漂うドブ川となってしまいました。
1964年、江戸川区は古川を埋め立てて土地を売却する計画を立てましたが、地元住民の「古川を残してほしい」という要望を受け、計画は取りやめとなりました。その結果、「水に親しむ」親水公園として再生されることになり、1973年7月にその一部が完成し、翌1974年に全体が完成しました。
公園の完成とともに、周辺の10町会や子供会による「古川を愛する会」が発足し、清掃活動や美化運動が21世紀まで続いています。1974年には全日本建設技術協会の全建賞を受賞し、1982年にはナイロビで開催された国連人間環境会議で紹介され、国内外で高く評価されました。
全長約1,200メートル、面積は9,434平方メートルに及ぶ細長い公園です。水は旧江戸川から引き込み、途中で環七通りをくぐり、新川の新川橋まで流れます。公園内の岸辺には桜やアジサイが植えられ、藤棚やベンチも設置されており、住民の散策路として親しまれています。
公園には、子供たちが遊べる「じゃぶじゃぶ池」などの水遊び場があり、途中2か所に人工の湧水設備が設けられています。2019年からは、夏場の「じゃぶじゃぶ池」エリアを除き、浄水処理しない自然な水が流されるようになりました。2021年の調査では、ハゼやエビ、シジミ、ヤゴといった水生動物も確認されています。
公園の上流側には都営地下鉄新宿線一之江駅から徒歩約10分でアクセスできます。下流側からは、東京メトロ東西線葛西駅、都営新宿線船堀駅、総武線錦糸町駅から都営バス錦25系統、総武線平井駅から平23系統を利用し、三角停留所および新川橋停留所で下車します。
環七通りには「古川親水公園」停留所があり、京葉線葛西臨海公園駅からの都営バス臨海28系統や、小岩駅と亀有駅からの京成バスシャトルセブン(環07・08系統)も停車します。
公園には専用の駐車場がありませんが、開園時間は常時開園されており、入園は無料で楽しむことができます。
古川親水公園は、歴史的な背景を持ちながらも地域住民の声によって再生された美しい親水公園です。春には桜、梅雨にはアジサイが彩りを添え、水辺の自然と触れ合うことができるこの公園は、家族連れや散歩を楽しむ人々にとって、日常の癒しの場となっています。