東京都江戸川区にある「地下鉄博物館」は、地下鉄に関する専門的な展示を行う博物館です。この博物館は、東京メトロ東西線葛西駅の高架下に位置し、東京地下鉄株式会社(東京メトロ)の関連公益法人である公益財団法人メトロ文化財団によって運営されています。愛称は「ちかはく」として親しまれています。
地下鉄博物館は、地下鉄に関する歴史的資料や展示物を豊富に取り揃えており、地下鉄の発展や技術に触れることができる場所です。1983年(昭和58年)から地下鉄博物館の建設が検討され、1985年(昭和60年)に着工し、22億5,000万円の建設費を投入して1986年(昭和61年)7月12日に開館しました。
開館当初、短期間ではありますが、千代田区神田須田町の交通博物館付近に資料展示施設を設置していましたが、現在は江戸川区の葛西駅に移転し、運営を続けています。
地下鉄博物館の歴史は、地下鉄互助会による公益事業活動の一環として始まりました。1986年の開館以来、多くの来館者に地下鉄の魅力を伝えてきました。また、2002年(平成14年)には、阪神・淡路大震災後に実施された耐震補強工事のため、一時閉館しました。この際、展示品の一新を行い、2003年(平成15年)6月1日にリニューアルオープンしました。
地下鉄博物館の館内には、実際に地下鉄で使用された車両の展示があります。例えば、銀座線の旧車両や丸ノ内線の一号車(300形)、さらには地下トンネル点検車なども展示されています。また、銀座線開通時の上野駅ホームを再現したエリアもあり、訪れる人々に当時の雰囲気を伝えます。
さらに、地下鉄運転シミュレーターでは、実際の運転士研修で使用される機器を体験することができます。特に人気のあるシミュレーターは千代田線用で、6000系の実物大カットモデルを使用し、床下に揺動装置を組み込んで車両の揺れを再現しています。これにより、来館者はリアルな運転体験を楽しむことができます。
地下鉄博物館には、歴史的に貴重な車両が数多く保存されています。例えば、東京高速鉄道100形電車や東京地下鉄道1000形電車が展示されており、その中でも1001号車は2017年に重要文化財に指定されました。他にも、営団300形電車301号車や営団01系電車のカットボディなど、様々な車両が展示されています。
博物館内には図書室があり、鉄道に関する専門書や一般書、絵本などが揃っています。特に『東京地下鉄道史』や各路線の建設史など、他では見られない貴重な資料が保管されています。この図書室は、土・日・祝日のみ開放されており、資料の貸し出しやコピーはできません。
博物館への入館は、実際に営団地下鉄および東京メトロで使用されていた自動改札機を通過する形で行われます。入館券は自動券売機で購入し、記念として持ち帰ることができます。なお、2011年の東日本大震災以降、節電対策として土・日・祝日には有人改札が実施されていましたが、2020年以降は新型コロナウイルス感染症対策のため再び自動改札が使用されています。
地下鉄博物館には併設されたホールがあり、ここでは「メトロコンサート」と題してクラシック音楽を中心としたコンサートが頻繁に開催されます。また、鉄道映画や地下鉄建設に関する記録映画などの上映会も定期的に行われ、来館者に地下鉄に関する知識や文化を深めてもらうためのイベントが多数開催されています。
地下鉄博物館は、10:00から17:00まで開館しており、入館は16:30までとなっています。
毎週月曜日(月曜日が祝日・振替休日の場合は翌日)および年末年始(12月30日から1月3日まで)は休館日となっています。
入館料は、大人220円、小児(満4歳以上中学生まで)100円です。また、障害者手帳を提示すると入館料が半額になります。
地下鉄博物館は、東京都江戸川区にあり、東京メトロ東西線葛西駅からすぐの場所に位置しています。アクセスも便利で、都内からの交通手段が豊富にあります。
地下鉄博物館は、地下鉄の歴史や技術に触れられる貴重な場所であり、鉄道ファンや家族連れにとっても魅力的なスポットです。展示物やシミュレーターを通じて、地下鉄の魅力を存分に楽しむことができます。ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。