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佃煮

(つくだに)

江戸時代から続く保存食の知恵

佃煮は、小魚や貝、海藻などを醤油・砂糖・みりんなどで 甘辛く煮詰めた保存食です。魚介類のほか、肉や野菜などでも作られ、幅広い食材が使われます。

江戸時代、東京湾(旧・江戸湾)に面した佃島で、漁民たちが売り物にならない小魚を保存食として 調理したことが起源とされています。当時は冷蔵庫が存在せず、特に夏場でも日持ちする 惣菜として重宝されていました。

佃島と佃煮の誕生

江戸幕府の創設者・徳川家康は、摂津国(現在の大阪市)佃村から漁師たちを呼び寄せ、 隅田川河口の干潟を埋め立てて彼らを住まわせたことで「佃島」と名付けられました。

彼らは天候不良時や出漁時の保存食として、小魚や貝を塩や醤油で煮詰めた常備菜を作っており、 それが佃煮の原型となりました。保存性が高く、江戸庶民に人気を博し、 武士の土産品として全国に広まったとされています。

佃煮の食べ方と利用

日常に根付く佃煮文化

佃煮は一年を通して食べられる常備菜であり、白飯との相性が抜群です。 特にお茶漬けやおにぎりの具材として親しまれています。

旬の素材

使用される食材には旬があります。例えば、白魚は春、アサリ・ハマグリ・シジミも春が旬です。 濃い味付けのため主菜になることは少ないですが、料理の引き締め役として活躍します。

調理方法の基本

佃煮は、使用する食材と調味料(醤油、みりん、砂糖、水飴など)を汁気がなくなるまで煮詰めて 作ります。例えば、のりの佃煮を作る際には、水でふやかし、固まりにならないように注意することが 美味しく仕上げるコツです。

佃煮の歴史と発展

諸説ある起源

一般的な説では、佃島の漁民が小魚を保存食として煮詰めていたものが「佃煮」の始まりとされています。

しかし、以下のような異説も存在します:

佃煮の日

全国調理食品工業協同組合では、佃島に住吉神社が祀られた日(1646年6月29日)と、 数字の語呂合わせ(2=ツー、9=く)にちなんで6月29日を「佃煮の日」と定めています。

近代における普及

明治時代には西南戦争や日清戦争の際、佃煮が軍用食として大量に生産されました。 戦後、兵士たちが家庭でも佃煮を食べるようになり、全国的に日常食として定着しました。

佃煮の種類

使用素材による分類

佃煮は大きく分けて以下の3種類に分類されます。

地域独自の佃煮

海から離れた長野県伊那谷や群馬県では、イナゴやざざむし、蜂の子などの昆虫が佃煮として食されてきました。

現代の佃煮事情

現在では牛肉の佃煮(しぐれ煮)や、複数の原料を組み合わせた混合佃煮など、 多様な形状・味付けの製品が販売されています。代表的な昆布佃煮だけでも 「塩昆布」「しそ昆布」「角切昆布」など多種に分かれます。

佃煮の代表的な派生品

佃煮に使われる主な材料

魚介類

穴子、白魚、ゴリ、ちりめんじゃこ、イカナゴ、ウナギ、コイ、フナ、モロコ、ヤツメウナギ、カツオ、マグロ、エビ、オキアミ、ハゼ、アミ

貝類

アサリ、ハマグリ、シジミ、赤貝、カキ

海藻類

昆布、海苔、ヒジキ

植物・農産物

ふき、山椒、しいたけ、まつたけ、つくし、唐辛子

昆虫類

イナゴ、蜂の子、ざざむし、カイコ(さなぎ)

その他の材料

牛肉、湯葉、麩、くるみ

Information

名称
佃煮
(つくだに)

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