神社は非常に現代的なデザインで、一階部分は全天候型の駐車場となっており、神社らしい雰囲気は控えめです。社殿は白木造りで、コンクリートの土台の上に高く建てられています。社殿の前には厳かなデザインの六階建てビルがあり、中央の階段を上がると二階の境内に入ることができます。階段の両脇には提灯が掲げられており、境内全体が現代的な都市型神社として整備されています。
祭神
水天宮の祭神は、天御中主神、安徳天皇、高倉平中宮(建礼門院、平徳子)、二位の尼(平時子)です。
神徳・御利益・信仰
江戸時代から、水天宮は安産や子授けの神「おすいてんぐさま」として広く信仰されてきました。妊婦や子供を授かりたい夫婦、また無事出産できた夫婦などが安産や子授かりを祈願し、あるいはお礼参りに訪れ、境内には常に参拝者が絶えません。
歴史
水天宮は、文政元年(1818年)9月、久留米藩の第9代藩主、有馬頼徳によって、江戸の三田にある久留米藩上屋敷内に分霊が勧請されたのが始まりです。当初は藩邸内にあったため、一般人の参拝が難しかったものの、その後、毎月5日に一般参拝が許可され、江戸市中でも広く信仰を集めました。「情け有馬の水天宮」と称されるほど、人気の神社となり、賽銭や奉納物の売上は、久留米藩にとって貴重な財源となりました。
明治4年(1871年)に有馬家が赤坂に移転する際、水天宮も遷座しましたが、翌年、現在の日本橋蛎殻町二丁目に移転し、現在の姿となりました。
平成の御造替
江戸鎮座200年記念事業として、社殿の建て替えが行われました。これに伴い、平成25年(2013年)から平成28年(2016年)4月7日までの間、日本橋浜町に仮宮が設けられました。この仮宮設置は昭和40年代初期以来、約半世紀ぶりの遷座でした。
平成28年(2016年)4月8日、新しい社殿が完成し、参拝者の受け入れが再開されました。この新社殿には最新の設備が導入され、社務所や待合室も現代的な造りとなっています。また、境内全体に免震構造が採用されており、参道や回廊も安心して参拝できるように設計されています。
この御造替事業は、2016年度のグッドデザイン賞や2020年の日本建設業連合会主催の第61回BCS賞に選ばれるなど、その設計と建設技術が高く評価されています。
なお、水天宮の宮司である有馬頼央氏は、有馬家の第17代当主であり、有馬家との深い縁が今でも続いています。
境内外社
水天宮の境内には、以下の外社が鎮座しています。
寳生辨財天(市杵島姫神社)
この神社は、品川にあった有馬家の下屋敷に祀られていた辨財天像を安置しており、学芸や芸事の神として信仰されています。
火風神社
火風を司る神社です。
秋葉神社
秋葉神社は火難除けの神社です。
高尾神社
高尾神社も境内にあり、それぞれの神社が独自の御利益を持っています。
安産子育河童
水天宮のシンボル的存在で、安産や子育ての神として信仰を集めています。
祭事
水天宮では、年間を通じて様々な祭事が行われています。以下に主な祭事を紹介します。
主要な祭事
- 1月5日 - 初水天宮
- 1月6日 - 火風神社祭
- 2月節分の日 - 節分祭
- 2月11日 - 紀元祭
- 2月17日 - 祈年祭
- 3月4日 - 高尾神社祭
- 5月1日(隔年) - 献茶祭
- 5月5日 - 例大祭
- 5月第2の巳の日 - 中央辧財天例祭
- 6月30日 - 大祓
- 11月18日 - 秋葉神社祭
- 11月23日 - 新嘗祭
- 12月31日 - 大祓
例大祭と縁日
水天宮の例大祭は5月5日で、毎月5日が縁日となっています。この5日が縁日であることから例大祭が5月5日となったとのことですが、総本宮である久留米水天宮では逆に、例大祭が5月5日であることから毎月の5日が縁日となったと伝えられています。
所在地・交通アクセス
所在地
東京都中央区日本橋蛎殻町2-4-1
交通アクセス
鉄道
- 東京地下鉄半蔵門線 Z 水天宮前駅(5番出口) 徒歩1分
- 東京地下鉄日比谷線 H 人形町駅(A1出口) 徒歩6分
- 都営地下鉄浅草線 A 人形町駅(A3出口) 徒歩8分
路線バス
- 中央区コミュニティバス(江戸バス)北循環「水天宮前駅」
- 都営バス秋26系統(秋葉原駅行き)・錦11系統「水天宮前」
- メトロリンク日本橋Eライン「地下鉄水天宮前駅」
開門時間
午前7時から午後6時まで(祈願受付は午前8時から午後3時、戌の日は午後3時半まで)