創建と歴史
湯島天満宮は、雄略天皇2年(458年)に勅命により創建されたと伝えられています。当初の祭神は天之手力雄命(あめのたぢからをのみこと)でしたが、南北朝時代の正平10年(1355年)2月に菅原道真が郷民により勧請され、現在ではこの二柱が祀られています。
江戸時代には徳川幕府の崇敬を受け、天神信仰の中心地となりました。菅原道真が学問の神様として広く知られていることから、特に受験シーズンには多くの受験生が合格祈願に訪れ、日常的にも学問成就を願う学生や修学旅行生で賑わいます。
梅の名所としての湯島天満宮
湯島天満宮は江戸時代から梅の花見の名所として知られており、現在でも2月から3月にかけて「梅まつり」が開催されます。2024年時点で境内には約200本の梅があり、白梅が中心となっています。しかし、戦後植樹された梅の老化が進んでおり、木の数や花の量が減少しています。これを受けて、湯島天満宮では植え替えや土の入れ替えを通じて庭園化を進める再生プロジェクトが進行中です。
また、湯島天満宮の梅を歌った『婦系図』の「湯島の白梅」(1942年、藤原亮子・小畑実による歌唱)は、戦時中に大ヒットした歌として知られています。
主祭神
湯島天満宮の主祭神は以下の二柱です:
- 天之手力雄命 (あめのたぢからをのみこと)
- 菅原道真公 (すがわらのみちざねこう)
境内の施設と文化財
湯島天満宮の境内には多くの歴史的な建物や文化財が存在します。
本殿と社殿
本殿は明治18年に再建されましたが、老朽化により平成7年(1995年)に再び再建されました。また、寛文7年(1667年)に創建された拝殿は東京都指定文化財に指定されています。
鳥居
表鳥居は昭和45年8月3日に東京都指定文化財に指定されました。
摂末社
境内には以下の摂末社があります:
- 摂社: 戸隠神社(とがくしじんじゃ) - 祭神は天之手力雄命。例祭は10月10日。
- 末社: 笹塚稲荷神社(ささづかいなりじんじゃ) - 祭神は宇迦之御魂神。例祭は3月旧二の午の日。
祭事
湯島天満宮では年間を通じて多くの祭事が行われています。以下はその主な祭事です:
- 元旦祭(1月1日)
- 成人祭(1月15日)
- 初天神祭(1月25日) - 鷽替え神事を含む
- 節分祭(2月3日) - 豆撒き
- 梅まつり(2月上旬 - 3月上旬)
- 例大祭(5月25日)
- 夏越し大祓式(6月30日) - 茅の輪くぐり神事
- 菊まつり(11月1日 - 11月23日)
- 七五三祝祭(11月15日)
- 納天神祭(12月25日)
- 歳の市(12月26日)
- 師走大祓式・除夜祭(12月31日)
文化財
湯島天満宮には多くの文化財が指定されています。
東京都指定文化財
- 表鳥居(建造物) - 昭和45年8月3日指定
文京区指定文化財
- 板絵着色 野見宿禰と当麻蹶速図額装(1面、絵画) - 昭和57年11月1日指定
- 板絵着色 入船図額装(1面、絵画) - 昭和57年11月1日指定
- 紙本墨画 龍・虎図(2面、附 鷹・山水図2面)(絵画) - 昭和57年11月1日指定
- 天神面(1面、彫刻) - 平成6年11月1日指定
- 湯島天神門前総図(古文書) - 昭和50年11月1日指定
- 奇縁氷人石(有形民俗文化財) - 昭和60年11月1日指定
湯島天満宮を舞台とする作品
湯島天満宮は、文学や落語など多くの作品で舞台として描かれています。
- 泉鏡花『婦系図』
- 重松清『流星ワゴン』
- 荒俣宏『帝都物語』
- 『宿屋の富』(落語)
現地情報
湯島天満宮へのアクセス情報は以下の通りです:
- 東京メトロ千代田線 湯島駅 3番出口 徒歩3分
- 都営地下鉄大江戸線 上野御徒町駅 A4出口 徒歩6分
- 東京メトロ銀座線 上野広小路駅 A4出口 徒歩6分
- JR山手線 御徒町駅 北口 徒歩8分
- 東京メトロ丸ノ内線 本郷三丁目駅 5番出口 徒歩8分
周辺の名所
湯島天満宮の周辺には、以下のような名所があります:
- 不忍池
- 湯島聖堂