東京都 » 上野・御徒町 » 東京都内(23区)

国際子ども図書館

(こくさい こども としょかん)

国際子ども図書館は、児童書を専門に扱う図書館サービスを提供する国立国会図書館の支部図書館です。2000年、日本で初めての児童書専門の国立図書館として設立されました。

概要

国際子ども図書館は、日本国内外の児童書および児童書に関わる文献の収集、保存、提供を行うだけでなく、児童書に関する図書館サービスの中枢として機能しています。また、国際的な児童書の拠点でもあります。施設は東京都台東区上野公園に位置し、1906年に建てられた旧帝国図書館の建物を利用しています。

施設の歴史と役割

国際子ども図書館の歴史は、1897年に創立された帝国図書館にまで遡ります。この帝国図書館は、1906年に上野公園内に建設されました。その後、1949年に国立国会図書館と組織上統合され、「国立国会図書館支部上野図書館」となり、引き続き上野公園で図書館サービスを提供してきました。

国立国会図書館支部上野図書館の変遷

旧帝国図書館の蔵書の多くは、1961年に新築された永田町の国立国会図書館東京本館に移されましたが、上野図書館は上野公園で参考図書や特別コレクションの一部を提供する分館として運営され続けました。

1980年代には東京本館の施設の限界を受け、国立国会図書館関西館の設立が構想されました。1990年代にその建設が決定し、上野図書館の役割の見直しが検討されました。同時期には、子供の読書離れが深刻な問題となり、国立の児童書専門図書館設立を求める声が高まっていました。

この結果、上野図書館の施設は児童書のナショナルセンターとして再活用されることになり、1996年に「国際子ども図書館基本計画」が策定されました。そして、1999年に国立国会図書館法が改正され、国際子ども図書館の設置が法的に定められました。

開館とその後の発展

施設は上野図書館を改修し、2000年に部分開館しました。その後、2002年に全面開館し、児童書の保存、閲覧、児童書関連の研究文献の提供や展示会などのサービスを行うようになりました。2015年には中庭側に「アーチ棟」が新設され、従来の建物は「レンガ棟」と呼ばれるようになりました。

新型コロナウイルス感染症による影響

2020年3月5日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を受け、国際子ども図書館は臨時休館しました。当初は同年3月16日までの予定でしたが、休館期間が延長され、6月11日に児童書研究資料室が再開、7月1日には全面再開となりました。

施設について

国際子ども図書館の「レンガ棟」は、旧帝国図書館を前身としています。この建物は、ルネサンス様式を取り入れた明治期の洋風建築の代表作であり、久留正道によって設計されました。1906年竣工の第一期工事と、1929年竣工の第二期工事により建設されました。1999年には、東京都選定歴史的建造物に選ばれています。

建物の改修と保存

国際子ども図書館への転用に際して、安藤忠雄建築研究所と日建設計が設計を担当し、鴻池組によって改修が行われました。2002年に改修が完成し、全面開館しました。改修においては、歴史的建造物の保存と再生、現代の施設としての活用が重視され、外装、内装共に旧態を保ちながらも、徹底的な補修と復元が施されました。

この改修は高く評価され、第45回BCS賞(建築業協会賞、2004年)および第15回BELCA賞(建築・設備維持保全推進協会賞、2006年)を受賞しています。また、建物の特徴や由来を説明する見学ツアーも定期的に行われています。

施設内部の工夫

歴史的建造物の保全と現代の施設機能を両立させるため、公道とは反対側の西側壁面にガラスのカーテンウォールを設置し、旧建物外壁の外側に箱型の建造物を増築しました。この増築部分には、ラウンジやエレベーター、空調設備などが設けられ、歴史的建造物を傷つけることなく機能を充実させています。

サービスと利用案内

国際子ども図書館は、年齢制限なく誰でも入館可能です。レンガ棟1階には、旧貴賓室を改修した「子どものへや」、「おはなしのへや」、「世界を知るへや」が設けられ、来館者は自由に児童書を楽しむことができます。最も豪奢な内装を持つ旧貴賓室を子どもたちに提供するのは、この図書館が「子どものための図書館」であることを象徴しています。

また、レンガ棟3階には「本のミュージアム」があり、定期的に世界の児童書に関する展示会が開催されています。さらに、大ホールではシンポジウムや講演会、演奏会などのイベントも行われています。

児童書研究資料室

中庭側に設置されたアーチ棟2階には「児童書研究資料室」があり、日本や海外の児童書、絵本、児童文学関連資料、雑誌などが開架されています。ここでは、国立国会図書館デジタルコレクションの閲覧も可能ですが、研究目的での利用に限られ、基本的に18歳以上に限定されています。

非来館型サービス

国際子ども図書館では、児童書の図書館間貸出や、学校図書館向けに主題別資料セットの貸出を行っています。また、他の図書館との連携により、児童書の総合目録データベースも作成されています。

さらに、電子図書館サービスとして、大正時代に発行された児童雑誌『コドモノクニ』の挿絵などを公開しており、これらの資料は国際子ども図書館のホームページから閲覧できます。

Information

名称
国際子ども図書館
(こくさい こども としょかん)

東京都内(23区)

東京都