東京都 » 伊豆七島・小笠原

地鉈温泉

(じなた おんせん)

地鉈温泉は、東京都の式根島に位置する自然の野湯です。この温泉は、海岸の岩場に湧き出しており、その独特な景観と効能で訪れる人々を魅了しています。また、野口冬人が選定した露天風呂番付では、東の張出横綱に番付けされていることでも知られています。

地鉈温泉の泉質と効能

泉質の特徴

地鉈温泉の泉質は硫化鉄泉であり、源泉温度は80度に達します。この温泉は「内科の湯」とも呼ばれ、神経痛や冷え性、関節症、婦人病などに効能があるとされています。温泉成分に含まれる鉄分の影響で、湯の色は赤色を帯びており、視覚的にも独特な印象を与えます。

引湯と他の温泉との関係

この温泉の源泉は、足付港横にある「松が下雅湯」へも引湯されています。地鉈温泉の高温の源泉を利用し、他の温泉施設でもその効能を楽しむことができます。

温泉地としての特徴

自然と一体化した温泉地

地鉈温泉の特徴は、何と言ってもその自然との調和です。源泉自体は非常に高温ですが、温泉地には段差のついた複数の湯船が設けられており、潮の満ち引きに応じて海水と混じり合った適温の湯船を選んで入ることができます。また、この温泉地の背後には、大きな鉈で裂いたようなV字型の谷が広がっており、この地形にちなみ「地鉈温泉」という名前が付けられました。

入浴の形式と設備

地鉈温泉は混浴であり、水着の着用が推奨されています。さらに、入浴料は無料で、気軽に訪れることができます。しかし、かつて存在した脱衣所は、1996年の台風による高潮で倒壊してしまい、現在はありません。また、温泉地へ向かう途中には「湯加減の穴」と呼ばれるスポットがあり、ここに手を入れることで温泉の湯加減を確認することができるとされています。

地鉈温泉へのアクセス

地鉈温泉へは、式根島の野伏港から徒歩で約25分の距離にあります。訪れる際には、周囲の自然を楽しみながらの散策が楽しめるでしょう。

地鉈温泉の歴史と逸話

歴史的な背景

地鉈温泉には、長い歴史があります。明治時代以前、この温泉にアクセスするには海側から船で来るしか方法がなく、陸路は存在していませんでした。しかし、明治42年(1909年)に泊浦の工事で式根島に滞在していた静岡県江尻の石工3名が、島内有志と協力して温泉へ下る道を整備しました。彼らは仕事の合間にこの道を作り、島民はその尽力に感謝して、西側の岩壁に「彰功誌」を刻んだとされています。

温泉にまつわる逸話

このようにして作られた地鉈温泉への道は、今でも多くの訪問者によって利用されています。温泉の歴史やそれにまつわる逸話を知ることで、地鉈温泉の訪問がより深いものになるでしょう。

まとめ

地鉈温泉は、自然の力を感じさせる独特の温泉地であり、その泉質や効能、歴史的背景からも多くの魅力を持っています。式根島を訪れる際には、ぜひこの温泉で体を癒し、歴史と自然の融合を感じてみてください。

Information

名称
地鉈温泉
(じなた おんせん)

伊豆七島・小笠原

東京都