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天上山

(てんじょうさん)

天上山は、東京都神津島村に位置する神津島の最高峰であり、その美しい自然環境と火山の歴史で知られています。標高571.8メートルを誇り、島全体の象徴的な存在となっています。この山は、豊かな植生やユニークな地形を持ち、訪れる人々に忘れられない体験を提供します。

天上山の形成と歴史

天上山は838年7月29日(承和5年7月5日)に始まった噴火によって形成されました。この噴火では火砕流や火砕サージが噴出し、その後、火砕丘が形成され、最終的に溶岩ドームが完成しました。古記録によると、この噴火は関東、中部、近畿地方にまで影響を及ぼし、840年10月(承和7年9月)になっても噴出物が高温であったとされています。

山頂部の特徴

天上山の山頂部は比較的平坦で、いくつかの池が点在しています。代表的な池としては、ババ池、不動池、千代池(せんだいいけ)などがあり、訪れる者に静寂と美しい景観を提供しています。また、山頂部の南西部には「表砂漠」と「裏砂漠」と呼ばれる砂の堆積地帯が広がっています。

地形と登山道

天上山の最高地点は571.8メートルですが、他にも529メートル、524メートルのピークがあります。また、東尾根上には503メートルの櫛ヶ峰が位置しています。山頂付近から西南西に向かって神津沢の谷がえぐられており、これによって西斜面は黒島(南)と白島(北)の2つに大きく分かれています。これらの斜面には、それぞれ登山道が整備されており、登山者に多様な選択肢を提供します。

展望と絶景

天上山の山頂部には2つの展望地があり、いずれも素晴らしい景色を楽しむことができます。東京都によって「新東京百景」に選定された展望地からは、伊豆大島、利島、新島、式根島、三宅島、御蔵島などの伊豆諸島を一望できます。また、別の場所からは、伊豆半島の美しい海岸線も見ることができます。

天上山の自然環境

天上山はその自然環境の豊かさでも知られており、「花の百名山」および「新日本百名山」にも選ばれています。この山にはラン科や高山植物など、多様な植生が見られ、本州の2,000メートル級の高山に生育する植物も多く見られます。さらに、天上山はナミエヤマガラ、ミクラミヤマクワガタ、「コウヅエビネ」、イワチドリなどの絶滅危惧種や固有種が生息する貴重な生物多様性を有しています。

生態系の保護

天上山の生態系は保護されており、多くの絶滅危惧種がこの地域で確認されています。これらの種は、この独特の環境と相まって、天上山を自然愛好者や研究者にとって貴重な場所としています。訪れる際には、自然環境への配慮を忘れずに、静かに観察することが求められます。

訪れる際の注意点

天上山はその自然美と豊かな生態系を保護するため、訪問者に対していくつかのルールが設けられています。登山道は整備されていますが、山頂部の砂漠地帯などは風が強い日には砂が舞い上がりやすく、注意が必要です。また、ゴミの持ち帰りや指定された場所での行動を守ることが求められています。

まとめ

天上山は、神津島の象徴的な山であり、その歴史的な背景と豊かな自然環境が魅力です。訪れる人々に多様な体験を提供し、美しい景観と共に、絶滅危惧種や固有種の保護活動にも貢献しています。東京都内でありながら、ここにしかない特別な自然を楽しむことができる場所として、天上山は一度は訪れてみたい場所の一つです。

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名称
天上山
(てんじょうさん)

伊豆七島・小笠原

東京都