東京都 » 伊豆七島・小笠原

神津島

(こうづしま)

神津島は、日本の伊豆諸島に位置する有人島の一つであり、東京都神津島村に属しています。島の形はひょうたん型をしており、北部には天上山(標高572メートル)が、南部には秩父山がそびえています。

雄大な自然環境と豊かな歴史を持ち、訪れる観光客を魅了する場所です。神津島は都会の喧騒を離れ、自然の中で心を癒すのに最適な場所で、訪れる人々に特別な体験を提供しています。

地理と地形

神津島は、伊豆諸島の有人島の中で最も西に位置しています。周辺には数十個の流紋岩質単成火山があり、これらが「神津島火山群」を形成しています。島のシンボルである天上山は、9世紀の噴火で形成された溶岩ドームで、山頂には「表砂漠」や「裏砂漠」と呼ばれる砂地が広がっています。

自然環境と観光資源

神津島はその自然環境の美しさで知られており、特に他の島々と比較して手つかずの自然が多く残されています。人口が少ないことや開発の影響が比較的少ないことから、島の自然は大きく破壊されることなく、豊かな生態系が守られています。地下水も豊富で、これに由来する湧水は「東京の名湧水」の一つに数えられ、島の植物を潤しています。

星空保護区の指定

神津島は空気汚染が少なく、2020年には国内で2番目となる「星空保護区」に認定されました。これは、澄んだ空気と夜空を守るための特別な保護区で、訪れる観光客は美しい星空を楽しむことができます。都会ではなかなか見ることができない満天の星空は、まさに自然の贈り物です。

天上山の魅力

神津島のシンボル的存在である天上山(標高572メートル)は、自然愛好家にとって魅力的なスポットです。この山は「花の百名山」および「新日本百名山」にも選ばれており、山頂部ではラン科など多様な植物が見られます。また、本州では2,000メートル級の高山に生育するような高山植物もこの山で見ることができ、独特の自然環境が広がっています。

海とエコツーリズム

神津島はその海の美しさでも知られています。伊豆諸島の他の島々が断崖絶壁に囲まれている中、神津島は比較的平坦で美しい砂浜が広がっています。特に、黒潮が流れる近海では豊富な魚介類やウミガメ、海藻類が生息しており、ダイビングやシュノーケリングを楽しむ観光客にとって理想的な場所です。島の海はエコツーリズムの拠点となっており、自然との触れ合いを求める人々に大人気です。

多様な海洋生物

神津島周辺の海では、さまざまな海洋生物が見られます。カンムリウミスズメをはじめとする多くの鳥類や、ザトウクジラやマッコウクジラなどの鯨類が回遊する姿を観察できることもあります。これに関連して、神津島のゆるキャラである「かんむりん」と「かんむりーな」は、カンムリウミスズメにちなんでデザインされています。これらのキャラクターは、島の自然や生態系を表現したもので、観光客にも親しまれています。

絶滅危惧種の保護

神津島には、絶滅危惧種も多く生息しています。例えば、ナミエヤマガラやミクラミヤマクワガタ、神津島の固有種であるラン科植物「コウヅエビネ」、さらには絶滅危惧種のイワチドリなど、貴重な生物が確認されています。これらの生物たちを守りながら、持続可能な観光を推進する取り組みも行われており、自然との共生を大切にしています。

観光名所とアクティビティ

神津島には、自然の中で楽しむことができる多くの観光スポットやアクティビティが存在します。特に、天上山のハイキングコースは人気で、初心者から山歩きのベテランまで楽しめるルートが整備されています。山頂からは島全体を見渡すことができ、晴れた日には遠く富士山まで望むことができます。

漁業とグルメ

神津島は漁業が盛んな島でもあり、特に伊豆諸島で1位の漁獲高を誇ります。漁業が観光とも密接に結びついており、島内の民宿や旅館では、地元で獲れた新鮮な魚介類を堪能することができます。特に金目鯛は、島の名物として知られており、訪れた観光客に人気の料理です。新鮮な海の幸を楽しむことができるのも、神津島ならではの魅力です。

ビーチと海水浴

神津島は美しい砂浜が広がるビーチが多く、夏の観光シーズンには海水浴客で賑わいます。特に前浜海岸は、白い砂浜と透き通った海が特徴で、家族連れやカップルに大人気です。ビーチではシュノーケリングやサーフィンなどのアクティビティも楽しめ、海とふれあいながらリラックスした時間を過ごすことができます。

マリンレジャー

神津島は、伊豆諸島の中でも特に砂浜が多く、周辺海域には黒潮が流れているため、多様な魚介類やウミガメ、海藻類が豊富です。このため、ダイビングやシュノーケリングなどのマリンレジャーが盛んで、美しい海を満喫できます。特にダイビングスポットとしては、初心者から上級者まで楽しめるポイントが多くあります。

ハイキングと自然観察

神津島では、天上山を中心としたハイキングコースが充実しており、登山を楽しむことができます。山頂からは島全体を一望でき、その美しい景観は訪れる人々に感動を与えます。また、天上山では多様な植生が見られるため、自然観察にも適しています。

歴史と文化

神津島はその自然だけでなく、歴史や文化も豊かです。島の名前の由来は、伊豆の島々を作るために神々が集まった場所であることから「神集島」とされ、後に「神津島」と転じました。この神話的な背景が、島に神聖なイメージを与えています。また、島内には、古代からの人々が生活していた証拠となる遺跡も多数存在し、その歴史を感じることができます。

黒曜石と旧石器時代の遺跡

神津島は黒曜石の産地としても知られており、後期旧石器時代から縄文時代にかけて、島内で産出された黒曜石が本州に広く輸送されていました。この黒曜石は、石器の材料として使用されており、その流布範囲は東京都や静岡県西部、山梨県北杜市にまで及んでいました。これにより、旧石器時代の人々が船を使っていたことが間接的に示されています。

キリシタン伝説とジュリアおたあ

江戸時代初期には、キリシタンの朝鮮人女性ジュリアおたあが流罪となり、神津島で没したという伝説があります。ジュリアおたあは、島内で信仰され続けており、彼女の墓所とされる場所が観光名所として知られています。また、毎年行われる「ジュリア祭」は、彼女の霊を慰めるために開催されており、島の文化行事として根付いています。

アクセスと観光の楽しみ方

神津島は東京都心から南へ約180kmに位置し、アクセスも比較的容易です。東京竹芝桟橋や静岡県下田からの航路があり、調布飛行場からは飛行機で訪れることもできます。島の周囲は約22km、面積は18.58平方kmで、1日で島内を一周することができるほどの大きさです。観光客は、自然散策や歴史探訪、マリンスポーツなど、さまざまな楽しみ方で島を満喫できます。

Information

名称
神津島
(こうづしま)

伊豆七島・小笠原

東京都