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新島

(にいじま)

新島は、東京都の伊豆諸島に位置する美しい島で、観光や自然環境の豊かさで知られています。首都圏からわずか160km南に位置し、静岡県下田市からは南東に36kmの距離にあります。島は自然の美しさと清浄な空気、そして豊かな歴史と文化を誇り、サーフィンや海水浴を楽しむ観光客を惹きつけています。

この島は、かつて「ナンパの島」として若者たちの間で知られていましたが、現在では家族連れやサーファーに人気の観光地として賑わっています。新島では美しい海水浴場やサーフィン、釣りなどのアクティビティを楽しむことができます。

海水浴とサーフィン

羽伏浦海岸

新島の代表的なビーチである羽伏浦海岸は、世界的に有名なサーフスポットとして知られています。世界プロサーフィン連盟 (ASP) の大会が開催される場所であり、トッププロサーファーたちも訪れています。特に、ジェリー・ロペスやアンディ・アイアンズ、ケリー・スレーターといった名だたるサーファーたちがこの海を滑りました。

ビーチは自然の力で波の地形が変わるため、サーフィンに適した波が形成されることが多いです。初心者でも楽しめる一方で、波が大きな時には注意が必要です。また、羽伏浦海岸では釣りも楽しめ、ヒラメやマダイなどが釣れます。

淡井浦海岸

羽伏浦海岸に隣接する淡井浦海岸もサーフィンに適した波が立ちます。村内から少し離れているため、観光客が少なく、静かな環境で海水浴を楽しむことができます。こちらにも無料のシャワーが完備されているため、海水浴後も快適です。

前浜海岸

前浜海岸は、テトラポッドや桟橋に囲まれているため波が穏やかで、水の透明度が非常に高いビーチです。家族連れに最適な場所であり、浅瀬では多くの魚を見ることができます。桟橋からは釣りを楽しむことができ、アジやサバ、カンパチなどの魚を釣ることができます。季節によってはアカイカが大量に釣れることもあります。

若郷前浜海岸

若郷前浜海岸は、黒砂のビーチが特徴です。この海岸へはトンネルを通ってアクセスすることができますが、自転車や歩行者の通行は禁止されていますので注意が必要です。

間々下海岸

間々下海岸からは式根島が見渡せ、シュノーケリングや海水浴に適したスポットです。岩が多いエリアでは、サーフィンも楽しめますが、波が大きくなるときには注意が必要です。

新島の観光スポット

新島特有のオリーブ色のガラス

新島ではオリーブ色のガラスが特産品となっています。このガラスは抗火石から作られ、独特の美しい色合いを持っています。ガラスアートセンターでは、製作体験やガラス製品の購入が可能で、新島の美しい自然を感じながら特別な体験ができるでしょう。

歴史的・自然的な見所

新島には、伊豆七島で最大規模を誇る十三社神社や、全長2878mの平成新島トンネル、白ママ断崖など、多くの観光スポットがあります。特に夕日が美しいエビネ公園や、眺望が素晴らしい富士見峠、向山展望台は、新島の自然を満喫するのに最適です。

温泉スポット
間々下温泉

新島には複数の温泉があります。間々下温泉はナトリウム-塩化物泉で、79.8℃の高温泉です。湯の浜露天温泉は、新島特産のコーガ石を使用したパルテノン神殿風の建物が特徴で、無料で24時間利用可能です。海を見渡しながら、絶景の夕日を楽しむことができます。

新島村温泉ロッジ

新島で唯一の温泉宿泊施設である新島村温泉ロッジは、内風呂のみの温泉宿で、静かな滞在を楽しむことができます。島の自然を感じながら、ゆっくりとした時間を過ごすには最適の場所です。

新島の文化と名物

モヤイ像

新島の象徴とも言える「モヤイ像」は、島内の至る所に設置されています。抗火石を使用して彫られたこれらの像は、島のアーティストや一般の人々によって制作され、多くの観光客に愛されています。渋谷駅に設置されているモヤイ像も、新島から寄贈されたもので、新島の文化を象徴しています。

新島村博物館とガラスアートセンター

新島村博物館では、島の歴史やサーフィン文化についての展示が行われています。また、新島ガラスアートセンターでは、抗火石を使ったガラス製品の製作体験が可能で、美しいガラス製品を購入することもできます。

羽伏浦キャンプ場

羽伏浦海岸に隣接する羽伏浦キャンプ場は、200張のテントが設営可能な広大な無料キャンプ場です。トイレ、シャワー、炊事棟が完備されており、キャンプ初心者でも快適に過ごせます。キャンプをしながら、自然に囲まれた環境でのんびりとした時間を楽しむことができます。

新島の特産品

くさや

新島の特産品として有名なくさやは、トビウオやムロアジを使用した干物で、その強烈な香りが特徴です。くさや液は数百年もの歴史があり、各店舗ごとに異なる風味を楽しむことができます。

アシタバと白いも

アシタバ(明日葉)は、健康食品としても人気で、天ぷらなどにして食されます。また、白いも(あめりか芋)も新島特産であり、島内で収穫された芋を使用した焼酎「嶋自慢」が有名です。

抗火石と新島ガラス

新島特有の抗火石は、軽くて加工しやすい石であり、島内にはモヤイ像をはじめとする多くの抗火石製オブジェが見られます。また、この石から作られる新島ガラスはオリーブ色で、独特の美しさを持っています。

新島周辺の生物相

新島周辺の海域は、黒潮に乗って多くの海洋生物が集まる場所です。イルカやウミガメ、クジラなどの大型海洋生物も見られることがあり、自然愛好家にはたまらないスポットです。特に、セミクジラやコククジラなどの絶滅危惧種が確認されていることから、新島の海洋環境は非常に貴重であると言えます。

新島の産業

漁業

新島の漁業は、黒潮に支えられ、多種多様な魚介類が獲れることで有名です。サバやアカイカ、イセエビなどが漁獲され、これらの新鮮な海の幸は、島内の飲食店や土産物店で楽しむことができます。

観光業

新島の経済を支えるもう一つの大きな柱は観光業です。特に夏場には、東京や周辺地域からの観光客が訪れ、サーフィンやキャンプ、温泉を楽しんでいます。新島の美しい自然や豊かな文化を感じることができる観光スポットが多数存在し、多くの人々に癒しと楽しみを提供しています。

地理と自然環境

新島は火山島であり、約1.7万年前の噴火によって形成されました。島の最高地点は標高432mの宮塚山で、島全体は流紋岩が多く、白く美しい砂や地面が特徴です。火山島ならではの地質が作り出す風景は、訪れる人々を魅了します。

気候と生物多様性

新島の気候は年間を通じて温暖で、東京よりもやや暖かいです。冬は「西ん風」と呼ばれる強い西風が吹くことが多く、外洋に面しているため風が強い日が続きます。黒潮に面した新島周辺には、多くの海洋生物が集まり、ウミガメやイルカ、クジラなどが観察できることがあります。特に、1989年にキタゾウアザラシが初めて確認されたことは大きな話題となりました。

歴史と文化

新島には縄文時代から人々が暮らしていた痕跡があり、島独特の方言や文化が今なお残っています。平安時代には、838年に神津島の火山噴火が記録され、新島がその報告を朝廷に行ったことが『続日本後紀』に記されています。886年には新島自体が噴火し、島民が全滅したとも言われています。

流刑地としての歴史

江戸時代、新島は流刑地として利用され、政治犯や罪人が多く送られてきました。特に、島内には「流人墓地」が存在し、そこには独特な墓石や白砂が敷き詰められています。流人たちが最後を迎えた刑場跡には、柳の木が立ち、「見返り柳」として供養されています。

民話と伝説

新島には数多くの民話や伝説が残されています。中でも「海難法師」の話は有名で、悪代官の亡霊が島に災いをもたらすという言い伝えがあります。1月24日には「かんなんぼーし」と呼ばれる日があり、この日は漁業を控え、夜は静かに過ごすなど、今でも伝統が守られています。

アクセス

海路でのアクセス

東海汽船が東京(竹芝桟橋)から新島へ大型客船やジェット船を運航しており、所要時間はジェット船で約2時間半です。また、神新汽船も下田から新島への船便を提供しています。村営連絡船「にしき」も新島と式根島を結び、1日3往復運航しています。

航空路でのアクセス

新中央航空が新島空港と調布飛行場を結ぶ便を運航しており、所要時間は約30分です。座席数は19席の小型機が使用されており、夏の繁忙期には便数が増加することがあります。

新島を訪れる際の注意点

新島は美しい自然環境を維持しているため、観光客には自然保護の意識が求められます。また、天候や海況によっては船便が変更されることがあるため、事前の確認が重要です。島内では風が強い日が多いため、防風対策も忘れずに行いましょう。

新島は都会の喧騒から離れた自然の中で、心身をリフレッシュさせるのに最適な場所です。ぜひ一度、その美しさと歴史を体感してみてください。

Information

名称
新島
(にいじま)

伊豆七島・小笠原

東京都