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南島(東京都)

(みなみじま)

南島は、東京都に属する小笠原諸島の父島列島にある無人島です。この島は、その独特な自然環境と保護された生態系で知られています。

概要

南島は父島の南西に位置し、典型的な第三紀由来の沈水カルスト地形が見られる無人島です。かつては常緑低木が生い茂っていましたが、ヤギによる食害で植生が減少し、一部の地面が露出した姿になっています。昭和40年代には植生回復を目指してヤギが駆除されました。その後、2003年(平成15年)からは自然保護のため観光客の入島に厳しいルールが設定されました。

沈水カルスト地形

南島の沈水カルスト地形は、氷期の海水面が低かった時代に形成されたカルスト地形が、後の海水面の上昇により冠水したものです。この地形は、2008年3月28日に「小笠原南島の沈水カルスト地形」として国の天然記念物に指定されました。日本国内では、他に沖縄県宮古諸島の下地島にある通り池などが同様の地形として知られています。

扇池と洞門

南島には「扇池」と呼ばれる小さな入り江があり、その内部には美しい洞門が形成されています。この洞門は観光客にとって人気のスポットですが、保護の観点から厳しい管理が行われています。

入島方法

南島には港や桟橋は存在しません。上陸するためには、船で島の南側にある大きな入り江(鮫池)に乗り入れて船の舳先から降り立つか、西側の扇池からカヤックまたは泳いで上陸する方法があります。

個人での入島は制限されており、東京都が認可した自然ガイドが同行するツアーに参加する必要があります。入島時には、陸貝を食害するプラナリアの卵などの外来動植物が持ち込まれないよう、靴を海水で洗うなどの対策が求められます。また、定められたルート以外の立ち入りは禁止されており、1日あたりの入島人数は100人まで、滞在時間は2時間以内に制限されています。さらに、11月から翌年2月の間は植生保護のため、上陸が禁止されています(年末年始を除く)。島の物を持ち出すことも禁止されています。

動植物

ヒロベソカタマイマイ

ヒロベソカタマイマイは約1000年前に絶滅した陸貝で、現在では南島内に多数の半化石が残されています。これらの化石は貴重な遺産として保護されており、法律で持ち出しが禁止されています。

アオウミガメ

南島はアオウミガメの重要な産卵地の一つでもあります。このため、アオウミガメの保護も島の重要な活動の一環とされています。

保護活動と規制

南島では、その豊かな自然環境と生態系を保護するため、様々な規制と保護活動が行われています。観光客の入島には厳しい制限が設けられており、ガイド同行のもとでのみ上陸が許可されます。また、島内での植生回復や動物の保護活動も続けられています。

アクセスと注意点

南島へのアクセスは制限が多く、特に自然ガイドの同行が義務付けられています。観光の際には、事前に入島規制や注意事項を十分に確認し、自然環境の保護に配慮した行動が求められます。

南島は、その独特の自然と歴史的価値から、日本国内外の多くの自然愛好家や研究者に注目されていますが、同時にその保護の重要性も増しています。訪れる際には、この特別な環境を未来に残すための努力に参加する意識が求められます。

Information

名称
南島(東京都)
(みなみじま)

伊豆七島・小笠原

東京都