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利島

(としま)

利島は、東京都に属する伊豆諸島の有人島です。豊かな自然と独自の歴史を持ち、島の美しい風景とともに、古代からの定住の痕跡が見られます。この記事では、利島の地理的特徴や自然環境、歴史などについて詳しくご紹介します。

利島の地理

利島は、伊豆諸島に位置する火山島であり、行政区画は東京都利島村に属します。島の位置は、東京から約144km南にあり、伊豆大島からは南に27kmの距離にあります。この島は伊豆七島の中でも最も小さく、面積は約4.12平方キロメートル、外周は約7.7キロメートルです。島全体は円錐形をしており、最高峰は宮塚山(標高507.5メートル)です。

火山島としての特徴

利島は複成火山として形成された島であり、周囲は200メートルの海食崖に囲まれています。これは長い年月をかけて海による侵食で作られたもので、島の自然美を象徴する景観の一つです。しかし、良質な港に恵まれなかったため、定期船が天候の悪化時に島を通過することも少なくありませんでした。現在でも、昭和56年(1981年)に100メートル級の桟橋が完成するまで、島へのアクセスは非常に困難でした。

利島の歴史

利島には古くから人々が住んでいたとされており、その証拠として大石山遺跡やケッサイ山遺跡などの古代集落の跡が確認されています。これらの遺跡からは、当時の人々がどのようにしてこの小さな島で生活していたのかを垣間見ることができます。

農業の発展と問題

昭和初期には、島内でノネズミによる農業被害が発生し、イタチを放獣してこれを退治するという記録が残っています。利島に放たれたニホンイタチは、伊豆大島に自然分布する在来種としても知られていますが、伊豆諸島全体では珍しい存在です。

利島の自然環境

利島は自然豊かな島であり、特に椿の木が島の約8割を占めています。この椿から採取される椿油は、島の特産品として非常に有名です。また、島ではサクユリの栽培も盛んで、利島に由来する「サクユリシントシマ」という品種も存在します。

生物の多様性

利島周辺の海域には、イルカやクジラ、アオウミガメなどの海洋生物が生息しています。特にミナミハンドウイルカが定着しており、イルカウォッチングやダイビングを楽しむ観光客も多く訪れます。イルカやアオウミガメとの遭遇率が高いため、これらのツアーは島の人気アクティビティの一つです。また、海食崖の南斜面にはオオミズナギドリが生息しており、鳥類の観察も楽しめます。

海洋生物との共存

利島周辺にはクジラが生息していることでも知られていますが、船舶との衝突の危険性があるため、この海域は航行上の注意が必要とされています。このように、島の周囲にはさまざまな海洋生物が共存しており、自然との共生が重要な課題となっています。

利島の観光とアクティビティ

利島は自然環境に恵まれており、観光客に人気のあるアクティビティが数多く存在します。特にイルカウォッチングやダイビング、鳥類の観察などが人気で、豊かな自然を間近で感じることができるのが魅力です。また、島内では椿油やサクユリの特産品も購入することができ、自然と文化が融合した観光が楽しめます。

利島の将来

利島は、小さな島でありながら豊かな自然と歴史を持つ貴重な場所です。しかし、自然との共存や観光資源の保護、アクセスの向上など、今後も解決すべき課題は少なくありません。これからも島の魅力を守りながら、訪れる人々に豊かな体験を提供し続けることが期待されています。

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利島
(としま)

伊豆七島・小笠原

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