劇場の概要
新国立劇場では、オペラ、バレエ、現代舞踊、演劇の主催公演が行われており、これらの公演のための施設も貸し出しています。また、劇場には付属の研修所があり、オペラ学校、演劇学校、バレエ学校としての機能を持っています。
劇場の歴史
設立の背景
1950年代半ば、伝統芸能のための国立劇場設置案が公表されたことを契機に、現代的な芸能のための劇場建設を求める声が高まりました。これにより、伝統芸能のための国立劇場と同時に、現代芸能のための劇場建設が求められるようになりましたが、敷地の問題などで計画はなかなか進みませんでした。
建設への道のり
1971年(昭和46年)、第二国立劇場(仮称)の調査費が計上され、翌年には設立準備協議会が設置されました。その後、1975年(昭和50年)には設立準備費が計上され、1976年(昭和51年)には基本構想案が承認されました。1989年(昭和64年/平成元年)、国立劇場法の一部改正により、第二国立劇場の設置が正式に決定されました。
開館までの紆余曲折
劇場の建設に至るまでには「二国問題」と呼ばれる諸問題がありました。1984年には著名な作曲家や関係者が要望書を提出し、これを機にバレエ、演劇、オペラそれぞれの部門で論争が巻き起こり、工期が約1年遅れる事態となりました。
敷地と客席数の問題
建設地の選定や駅からのアクセスの問題が論点となりましたが、これらは周辺の開発や駅の出口増設により解消されました。また、当初計画されていた1600席の客席数に対して、2000席以上の拡大が要請され、最終的には折衷案として1800席に決定しました。
劇場の開館
1997年10月10日、新国立劇場はオペラ「建・TAKERU」(團伊玖磨作曲、星出豊指揮)で開館しました。このこけら落としには、当時の明仁天皇・皇后美智子、内閣総理大臣橋本龍太郎などが臨席しました。
施設概要
オペラ劇場 (OPERA PALACE Tokyo)
座席数:1,814席。主としてオペラやバレエの公演に利用されます。オーケストラピットは最大120人が入る規模で、深さの調整が可能です。4面舞台を持つプロセニアム形式で、入れ替え公演が頻繁に行われます。
中劇場 (Playhouse)
座席数:1,038席(プロセニアム形式)または1,010席(オープン形式)。演劇や現代舞踊の公演が主に行われますが、オペラやバレエの公演も可能です。
小劇場 (The Pit)
座席数:340 - 468席。可動式の舞台と座席を持ち、現代舞台公演に利用されます。
その他の施設
新国立劇場には、5階に情報センター、地下2階にリハーサル室や研修室、5階には屋上庭園などがあり、さまざまな活動を支援する施設が整っています。
交通アクセス
新国立劇場は、京王電鉄京王新線の初台駅中央口から直結しており、徒歩1分でアクセス可能です。また、渋谷駅からは京王バスや都営バスの路線が利用でき、首都高速4号新宿線の新宿出口からも近いです。さらに、劇場には地下有料駐車場があり、観劇割引も提供されています。
公演内容
オペラ
新国立劇場合唱団が専属団体として活躍しており、過去には「小劇場オペラシリーズ」が開催されるなど、若手演出家の育成も行われています。また、高校生や子どもを対象としたオペラ鑑賞教室も開催され、次代の観客育成にも取り組んでいます。
バレエ・現代舞踊
新国立劇場バレエ団が専属団体として活動しており、東フィルや東響などが演奏を担当しています。多くの公演では生演奏が行われ、特別な録音テープを使用することもありますが、主に外国人指揮者を招聘して上演されています。
演劇
新国立劇場では、さまざまな演劇作品が上演されており、若手からベテランまで幅広い俳優が出演しています。また、芸術監督のリーダーシップのもと、質の高い演劇が提供されています。
その他のイベント
2004年(平成16年)からは、日本作曲家協会主催の日本レコード大賞最終審査会が毎年12月30日に中劇場で開催され、その模様はテレビ放映もされています。