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早稲田大学 坪内博士記念 演劇博物館

(わせだ だいがく つぼうち はかせ きねん えんげき はくぶつかん)

早稲田大学坪内博士記念演劇博物館は、東京都新宿区の早稲田大学構内に位置する博物館です。通称「エンパク(enpaku)」として知られ、「演劇博物館」や「演博(えんぱく)」とも呼ばれています。

概要

この博物館は、アジアで唯一、演劇を専門的に取り扱う施設として広く知られています。早稲田大学と演劇の歴史を語る上で欠かせない場所であり、その設立には英文学者である坪内逍遥の貢献が深く関わっています。

坪内逍遥の功績と博物館の設立

早稲田大学坪内博士記念演劇博物館は、雑誌『早稲田文学』の創刊に寄与した坪内逍遥の古稀を祝うため、さらに彼が1909年(明治42年)から19年間の歳月をかけて完成させた『シェークスピヤ全集』全40巻の翻訳事業を記念して、1928年(昭和3年)10月に設立されました。以来、国内外の演劇・映像に関する貴重な資料が多数収蔵されており、そのコレクションは100万点を超えるとされています。

膨大なコレクション

演劇博物館のコレクションには、錦絵4万8000枚、舞台写真40万枚、図書27万冊、演劇上演資料8万点、そして衣装・人形・書簡・原稿などの博物資料15万9000点が含まれます。その他にも、貴重書や視聴覚資料など、多岐にわたる演劇関連の資料が収蔵されています。

博物館の進化と貢献

かつては、所蔵資料のコピーは禁止されていましたが、1990年代、鳥越文蔵館長時代にこの規制が緩和され、現在ではコピーが可能となっています。また、『演芸画報』『テアトロ』『歌劇』などの演劇雑誌が閲覧室で開架され、来館者に提供されています。

演劇研究の拠点として

1978年、開館50周年を記念して、建物正面で劇団四季が『ヴェニスの商人』の「法廷の場」を上演しました。この博物館の建物は、今井兼次によって設計され、16世紀のイギリスに存在した劇場「フォーチュン座」を模して作られました。1987年(昭和62年)には新宿区の有形文化財にも指定されています。

現代における博物館の役割

21世紀に入り、早稲田大学坪内博士記念演劇博物館は、演劇研究の国際的な拠点としても注目を集めています。2002年より21世紀COEプログラム、グローバルCOEプログラムに選ばれ、さらに2009年(平成21年)度からは共同利用・共同研究拠点として指定されています。

研究活動と発表

演劇博物館は、研究成果を発表する媒体として1965年より『演劇研究』(演劇博物館紀要)を刊行しています。これにより、国内外の演劇に関する研究が広く共有され、博物館が果たす学術的な役割は年々増しています。

坪内逍遥像と受験生の間での言い伝え

博物館の正面横には、「講義中の逍遙」と題された長谷川栄作作の坪内逍遥の銅像があります。この銅像は受験生の間で特別な意味を持ち、右手と握手をすると「早稲田大学に合格する」「語学の成績が上がる」と言われています。受験シーズンには多くの受験生がこの言い伝えを信じ、列を作る光景が見られます。

Information

名称
早稲田大学 坪内博士記念 演劇博物館
(わせだ だいがく つぼうち はかせ きねん えんげき はくぶつかん)

新宿

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