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SOMPO美術館

(Sompo Museum of Art)

SOMPO美術館は、東京都新宿区に位置する美術館で、主に東郷青児の作品を中心に展示しています。公益財団法人SOMPO美術財団によって運営されており、長い歴史を持つ美術館です。

美術館の概要

この美術館は、安田火災海上保険(現:損害保険ジャパン)の前身である会社の時代から、東郷青児との深い縁がありました。彼の協力の下、1976年6月に西新宿の安田火災海上本社ビル(現:損保ジャパン本社ビル)の42階に「東郷青児美術館」として開館しました。美術館の開館に際して、東郷青児は自らの作品200点を提供し、財団法人安田火災美術財団(現:公益財団法人SOMPO美術財団)も設立されました。

2020年7月には、損保ジャパン本社ビル敷地内に新たに建設された地上6階・地下1階の新美術館に移転し、「SOMPO美術館」として新たにオープンしました。

展示内容と収蔵作品

SOMPO美術館のコレクションは、東郷青児をはじめとする日本の現代洋画家の作品が中心です。しかし、企画展ではポップアートなど幅広いジャンルの作品も取り上げられています。また、若手画家の展覧会や表彰企画を通じて、美術家の育成にも力を入れています。

特に注目されるのは、1987年に約53億円で落札されたフィンセント・ファン・ゴッホの『ひまわり』です。この作品は、当時世界的な注目を集め、美術界でも多くの議論を巻き起こしました。その後、ゴッホ美術館の学芸員によって、真作であることが確認されています。

『ひまわり』に関する歴史と論争

『ひまわり』はもともとドイツ系ユダヤ人の銀行家、パウル・フォン・メンデルスゾーン=バルトルディが所有していた作品でした。しかし、ナチス・ドイツによる略奪を避けるため、1930年代に手放されました。その後、2022年12月にメンデルスゾーン=バルトルディの相続人が、SOMPOホールディングスに対して所有権の返還や賠償を求めてアメリカ合衆国イリノイ州の連邦裁判所に提訴しましたが、SOMPO側はこの訴訟に対して争う姿勢を見せています。

美術館の移転と新施設

旧館があった損保ジャパン本社ビル内の施設(延床面積約1900平方メートル)は、全ての所蔵作品を常設展示するにはスペースが不十分でした。また、ビル内の設備上の問題もあり、新美術館の建設が計画されました。

2017年2月には、ビル敷地内に新たな美術館施設(延床面積約4000平方メートル)を建設することが発表されました。この準備のため、2019年9月30日から長期休館し、2020年2月15日に「FACE展 2020」が開催されました。しかし、COVID-19の拡散防止のため、3月3日から臨時休館となりました。

新美術館の開館は当初、2020年5月28日に予定されていましたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、7月10日に開館が延期されました。新しい施設は、1 - 2階にカフェやミュージアムショップ、3 - 5階に展示スペース、6階に事務所や応接室を備えています。設計は大成建設一級建築事務所、施工は大成・清水建設・鴻池組が担当しました。

美術館の建築デザイン

新しい美術館の建築デザインは、建物自体を一つのアートと捉え、新宿の文化・芸術のランドマークとなるような意図で設計されました。東郷青児の作品にヒントを得て、外観や内装には柔らかな曲線が採用されています。また、正面玄関前にはゴッホの『ひまわり』を複製した陶板が設置されています。

沿革

主な収蔵作品

SOMPO美術館には、東郷青児の『望郷』(1959年)をはじめ、フィンセント・ファン・ゴッホの『ひまわり』(1888年)、ポール・ゴーギャンの『アリスカンの並木路、アルル』(1888年)、ポール・セザンヌの『りんごとナプキン』(1879~1880年)、ピエール=オーギュスト・ルノワールの『帽子の娘』(1910年)、グランマ・モーゼスの『古い格子縞の家』(1944年)など、約630点の作品が所蔵されています。

映画への登場

ゴッホの『ひまわり』は、映画『名探偵コナン 業火の向日葵』に登場しています。この映画では、怪盗キッドが『ひまわり』を盗むと予告した場所としてSOMPO美術館が描かれています。美術館および経営会社も協力しており、館長の原口秀夫は実名で登場しています。

Information

名称
SOMPO美術館
(Sompo Museum of Art)

新宿

東京都