氷川神社は、東京都杉並区高円寺南にある神社で、通称は高円寺氷川神社です。境内には全国唯一とされる気象神社もあります。以下、氷川神社の由緒や社殿、気象神社についてご紹介します。
社伝によれば、氷川神社は源頼朝が文治5年(1189年)に奥州征伐の際に当地に立ち寄り、安達藤九郎盛長に命じて建立されたとされています。また、別の説では、随伴していた村田兵部が帰農し、大宮高鼻から勧請して社殿を建てたとも言われています。さらに、天文年間(1531年~1544年)に宿鳳山高円寺と同時期に開かれ、高円寺が当社の別当寺となったとの口伝もありますが、資料が火災により焼失し、詳細は明らかではありません。
江戸時代には、高円寺村小名原郷の鎮守として『新編武蔵国風土記稿』にも記録されています。明治時代には村社に昇格しましたが、第二次世界大戦で社殿が焼失し、現在の社殿は昭和46年(1971年)に再建されました。
例大祭は当初9月18日に行われていましたが、台風などによる悪天候が多かったため、1958年(昭和32年)に8月27日・28日に変更されました。
気象神社の祭神は八意思兼命(やごころおもいかねのみこと)であり、元は馬橋4丁目(現在の高円寺北4丁目)にあった陸軍気象部内に造営されました。1943年(昭和18年)に陸軍気象部長の命により建立されましたが、1945年の空襲で焼失。その後、田村剛らにより再建されたものの終戦を迎えました。
戦後、GHQの神道指令の調査漏れにより残存し、1948年(昭和23年)の例大祭に合わせて現在の氷川神社の本殿西側に遷座されました。当初、馬橋稲荷神社に引き取られる予定でしたが、高円寺の氷川神社に移設され、正式に払い下げとなりました。遷座55周年記念として2003年(平成15年)6月に再建され、現在に至ります。
気象神社は日本で唯一の気象(天気)の神様を祀る神社として、気象予報士を目指す受験生などが合格祈願や快晴祈願で参拝しています。気象神社では毎年6月1日の気象記念日に例大祭が行われ、御祭神の八意思兼命に対する神恩感謝の神事が斎行されます。
八意思兼命は、高天原の最高司令官である高皇産霊命の子で、「様々な立場から考える」「兼任」を意味する名前の通り、多くの人間の知恵を一同に集結させることができる「知恵の神様」とされています。神話では、天照大御神が天の岩戸に隠れた際、岩戸を開けて天照大御神を外界に戻す知恵を考え出し、再び世界に太陽を取り戻し世の中を救ったとされています。このことから「気象の神様」として祀られるようになりました。
拝観は無料ですが、夜間は閉門しており、境内に入ることはできません。