鷺宮八幡神社は、東京都中野区鷺宮にある神社(八幡宮)で、旧称は鷺宮大明神です。この神社は、上鷺ノ宮村と下鷺ノ宮村の氏社であり、また練馬区高松にある高松八幡神社とは鎌倉街道を挟んで対に建てられた由緒があります。鷺宮の地名の由来ともなっているこの神社について、その歴史や文化財、現地情報をご紹介します。
鷺宮八幡神社は、応神天皇を主祭神とする神社です。古くから地域住民の信仰を集めており、鷺宮の地名の由来ともなっています。
応神天皇
社伝によれば、1064年(康平7年)、源頼義が前九年の役での勝利を感謝し、国家と源氏の安寧を願ってこの神社を建立したのが始まりとされています。同様に建立された高松八幡神社も同じ由緒を持ち、鎌倉街道を挟んで南北に位置します。鷺宮が先に建立され、そのため高松の方は若宮八幡宮と呼ばれるようになりました。
1884年に編纂された『新編武蔵風土記稿』によると、「古ハ大木数多アリテ多クノ鷺ヤドリシユヘ、土人、鷺ノ森或ハ鷺ノ宮ナドイヘリ」と記され、境内に老樹が林立し、多くの鷺が棲息していたことから「鷺宮大明神」と称され、この神社が地名の由来とされています。
1645年(正保2年)、領主であった今川直房によって八幡神社と改称され、1649年(慶安2年)以降は江戸幕府より御朱印7石余を寄進されました。中野区内で朱印を付与された唯一の神社となっています。また、『新編武蔵風土記稿』によれば、本地仏として十一面観音を祀っていたと記され、明治以前には社伝が失われていたことや別当寺として隣接する福蔵院が就いていたことも記されています。
戦後、宗教法人法により発足し、1950年(昭和25年)に国有地となっていた境内地1049坪(3462平方メートル)の譲与を受けました。その後、1955年(昭和30年)に社殿、幣殿、拝殿が改築され、1981年(昭和56年)と1988年(昭和63年)にも改築が行われました。1967年(昭和42年)と1968年(昭和43年)には、近隣にあった稲荷神社と御嶽神社を当社に移築しています。
2011年の東日本大震災で破損した1780年に建てられた石製の鳥居は、現在では鉄合金製のものに改築されています。
境内には「六社さま」として以下の6社が合祀されています。
毎年8月の後半の土日に行われる例大祭では、境内神楽殿での奉納神楽のほか、各町内の神輿が町を練り歩きます。この際に演奏されるお囃子は「鷺宮囃子」と呼ばれ、1982年4月に中野区の登録無形民俗文化財に登録されました。
かつて鷺宮八幡神社の本地仏であったと思われる十一面観音菩薩立像は、福蔵院に祀られています。この像は1995年9月に中野区の指定有形文化財に指定されました。
東京都中野区白鷺1-31-10