明治の森高尾国定公園は、東京都八王子市にある高尾山および町田市の一部とその周辺を指定地域とする国定公園です。この公園は、明治100年記念事業の一環として、1967年（昭和42年）12月11日に大阪府の明治の森箕面国定公園と同時に国定公園に指定されました。
明治の森高尾国定公園は、面積770ヘクタールと、国内で最も小さな国定公園です。その全域が第2種特別地域に指定されており、年間217万人もの利用者が訪れています。一部のエリアは高尾陣馬都立自然公園と重複しています。
高尾山は、古くから殺生を厳しく戒めてきた高尾山薬王院の寺域であり、そのためモミ、カシ、アカマツ、ブナなどの自然林が保護されています。公園内は、東海自然歩道および関東ふれあいの道の始点でもあり、豊かな自然が残されています。
明治の森高尾国定公園内には、多くの植物が指定植物として保護されています。中には高尾山が原標本の生育地となっているものもあります。
高尾山は、東京都西部に位置する標高599メートルの山で、冷温帯と暖温帯の境界に位置しているため、様々な気候区の動植物が生息しています。古くから保護されてきたことで、東京近郊でありながらも豊かな自然が保たれています。
高尾山は天狗信仰の霊山としても知られ、薬王院には鼻の高い大天狗と、烏のくちばしを持った烏天狗の小天狗の像が立っています。天狗は、御本尊を守る随身として開運や魔除けのご利益があるとされています。修験道の道場である高尾山では、天狗の姿が山中至る所で見られます。
アオバトは全身が黄緑色で、くちばしが水色の美しいハトです。森林に暮らし、クヌギ、カエデ、ミズナラなどの広葉樹林の中で群れを成して生活しています。オスとメスは似た色ですが、オスの翼には紫色の羽根があるため見分けることができます。「アオーアオー」という鳴き声が特徴で、6月頃には小枝やつるで巣を作り、一度に約2個の卵を産みます。
ヤマガラはシジュウカラ科の鳥で、特徴的な鳴き声を持ち、ドングリなどを食べます。足でえさを器用に押さえ、樹皮の隙間に貯えることもあります。4～5月の繁殖期には、樹洞や巣箱にコケや樹皮、獣毛を使って巣を作り、ヒナを育てます。冬にはシジュウカラやエナガ、メジロ、コゲラなどと混群を作ることもあります。
アサギマダラは、タテハチョウ科マダラチョウ亜科に属する長距離飛翔の蝶です。ほぼ日本全国に分布しており、高尾山周辺でも観察できます。成虫は春から夏に南から北へ移動し、秋には南へ戻ります。高尾山では、5～10月に最もよく見られます。
タゴガエルは、山地の森林や渓谷などに生息するカエルです。黄土色から赤褐色まで多様な体色を持ち、昆虫やクモ、貝類などを食べます。繁殖期は3～4月で、川や沢の岩の間から低い鳴き声が聞こえます。田子勝弥氏にちなんで名付けられたこのカエルは、大きめの卵を産み、ふ化したオタマジャクシは陸へと成長します。
ムササビは飛膜を広げて滑空するリス科の夜行性動物で、主に樹上で生活します。全長34～48センチメートル、体重は約1.2キログラムの大型のリスで、自然豊かな公園に多く生息しています。観察の際は、赤色のライトを使用してムササビを驚かさないようにしましょう。
「スミレの聖地」とも呼ばれる高尾山には、国定公園内で18種類以上のスミレが生息しています。中でも、ヒカゲスミレの変種である「タカオスミレ」は、高尾山で発見されたスミレで、葉の表面がこげ茶色である点が特徴です。4月中旬から下旬にかけて開花します。
ヤマユリは、日本特産のユリで、山地や丘陵の林のふちに生える多年草です。高さ1～1.5メートルに達し、大きな芳香のある花を咲かせます。高尾山では7月上旬から咲き始め、中旬が見頃です。
イヌブナは、高尾山を代表する落葉高木で、ブナと共に広葉樹林を形成しています。幹の太さは50～70センチメートルに達し、4～5月には雄花が枝の下に垂れ、雌花が枝の上部に咲きます。秋には三角形の実をつけます。
シモバシラは、シソ科の多年草で、冬には茎が凍って氷の花を咲かせたような姿になります。この現象は「シモバシラ」と呼ばれ、12月中旬から2月に見られます。
明治の森高尾国定公園へは、電車やバスでのアクセスが便利です。高尾山口駅からは、ケーブルカーやリフトで登山道の入り口までアクセス可能です。また、徒歩でも登山道を楽しむことができます。