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尾根緑道

(おね りょくどう)

尾根緑道は、東京都町田市内に位置する全長およそ8kmの緑道です。この緑道は、多摩丘陵と相模原台地の境にある尾根を辿って東西に延びています。毎年春には、桜の開花に合わせて「町田さくらまつり」が開催され、多くの人々が訪れる桜の名所としても知られています。

四季折々の自然美

尾根緑道には、開花期が少しずつ異なる18種類の桜が植えられており、春には美しい桜並木が楽しめます。また、秋には紅葉が見事で、多種多様な樹木が緑道沿いに植えられており、四季を通じて訪れる人々の憩いの場となっています。南方には相模平野や丹沢山塊、さらには富士山まで一望できる素晴らしい景観が広がり、散策を楽しむ人々にとって格別の場所です。

歴史的背景

戦車道路の誕生

尾根緑道の始まりは、第二次世界大戦中の1943年(昭和18年)に遡ります。当時、大日本帝国陸軍は「戦車類運行試験場」として、未舗装の戦車用テストコースをこの地に築造しました。この道路計画は、総延長約30kmを予定していましたが、実際に開通したのは約8kmの一部区間のみで、残りの区間は工事未着手のまま終戦を迎えました。

戦後の再整備と緑道への変貌

戦後、防衛庁がこの道路を再整備し、「車両試験道路」として1965年頃まで装甲車などの走行試験に使用していました。その後、町田市がこの土地を国から借り受け、緑道として整備を進めました。整備は1984年(昭和59年)に始まり、最初の約1.5km区間が供用されました。それ以降、町田市によって段階的に整備が進められ、現在の尾根緑道として市民に開放されています。

尾根緑道の現在

桜美林大学から都立小山内裏公園まで

現在、尾根緑道として整備・開放されている区間は、桜美林大学の北方に位置する町田市下小山田町の尾根緑道入口停留所付近から、町田市小山ヶ丘にある都立小山内裏公園内まで続いています。この区間は、自然豊かな環境に囲まれた歩行者専用の緑道として、地域住民や観光客に親しまれています。

緑道の見どころと受賞歴

尾根緑道はその美しい自然環境と整備された歩道が評価され、1988年には「手づくり郷土賞(やすらぎとうるおいのある歩道)」を受賞しました。この受賞は、地域住民や行政による環境保全と緑道の活用が評価されたものです。

尾根緑道のトンネル群

尾根緑道の下には、6つのトンネルが貫通しています。これらのトンネルは、戦車道路の名残を感じさせる重要な遺構です。

主要なトンネル

これらのトンネルの一部では、以前、放置車両が問題となっていましたが、防犯カメラの設置により現在ではその問題も解決されています。

尾根緑道の重要性

尾根緑道は、単なる散策路としてだけでなく、地域の歴史と自然を感じられる貴重な空間です。戦時中の歴史的背景を持ちつつも、現在では地域住民の憩いの場として愛されています。今後もこの美しい緑道が末永く保全され、多くの人々に親しまれる場所であり続けることを願っています。

Information

名称
尾根緑道
(おね りょくどう)

八王子・高尾山・町田

東京都