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浅草 花やしき

(あさくさ はなやしき)

浅草花やしきは、東京都台東区浅草の浅草寺の西側に位置する、日本で最も古い遊園地です。1853年(嘉永6年)に開園し、その長い歴史とともに、さまざまな変遷を遂げてきました。敷地面積は約5,800m²で、日本で現存する最古のローラーコースターを有しています。現在はバンダイナムコアミューズメントの子会社である株式会社花やしきが運営を行っています。

創業と初期の歴史

「花屋敷」としての始まり

浅草花やしきの歴史は、1853年(嘉永6年)に千駄木の植木商、森田六三郎によって開かれた植物園「花屋敷」から始まります。当初は牡丹や菊細工を主とした植物園で、江戸時代の茶人や俳人たちの集会の場、大奥の女中たちの憩いの場として利用されました。当時の敷地面積は約8万m²もあり、唯一の遊具はブランコのみでした。

明治期の発展と転換

明治時代に入ると、浅草寺一帯が浅草公園地として整備され、花屋敷も第五区に指定されました。しかし、敷地は縮小され、1885年(明治18年)には木場の材木商である山本徳治郎とその長男・松之助が経営を引き継ぎました。翌年には、勝海舟の書「花鳥得時」が入口看板として掲示されました。

この時期には上流階級の人々が主な利用者であり、園内は和洋折衷の自然庭園の雰囲気を持っていました。しかし、徐々に庶民にも親しまれるようになり、トラやクマなどの動物展示や、五階建ての楼閣「奥山閣」を移築し、さまざまな展示物が展示されるようになりました。浅草が流行の地となるにつれて、動物や見世物(活人形、マリオネット、ヤマガラの芸など)の展示、遊戯機器の設置が進みました。

大正・昭和初期の発展

動物園としての成功

大正から昭和初期にかけて、浅草花やしきは全国有数の動物園として知られるようになりました。トラの五つ子誕生や、日本初のライオンの赤ちゃん誕生など、多くの話題を提供しました。しかし、1923年(大正12年)の関東大震災では罹災民が集まったため、多くの動物を薬殺せざるを得ませんでした。震災後、浅草花やしきは子供向けの娯楽施設へと変貌し、鬼退治や木馬、豆汽車などが人気を博しました。

閉園と再開

しかし、昭和初期には経営難に陥り、1935年(昭和10年)に仙台市立動物園に動物を売却、翌年には事実上閉園しました。1939年(昭和14年)、須田町食堂(「聚楽」)に買収され、「食堂遊園地浅草楽天地」として再出発しました。

戦後、敷地は不法占拠されていましたが、1946年8月に東京都から借地権の回復が認められ、1947年(昭和22年)春に遊園地「浅草花屋敷」として再開園しました。その後、東洋娯楽機に経営が委ねられ、「浅草花やしき」と改名されました。

昭和後期から現代まで

アトラクションの充実

1953年(昭和28年)、国産初のローラーコースターが登場し、現在も人気のアトラクションのひとつとなっています。また、天野鉄男が関わる中映が園内に植物園を設置し、多くの人々が訪れるようになりました。しかし、近隣の場外馬券場から流れてくる労務者が園内の風紀を乱すことが問題となり、1985年(昭和60年)の風営法改正を機に、回数券制度を廃止し、入園料の徴収を開始しました。これにより、園内の風紀は改善されました。

バンダイグループとの提携

1996年(平成8年)3月には、日本初のタワー型垂直打ち上げ式アトラクション「スペースショット」がオープンしました。しかし、2004年(平成16年)にトーゴ(旧・東洋娯楽機)が会社更生手続きの開始を申し立てたことにより、地元浅草の企業であるバンダイグループが支援に乗り出し、バンプレストの子会社である株式会社花やしきがその事業を承継しました。

新たな施設の追加と変化

2005年(平成17年)には、芸能スクール「花やしきアクターズスタジオ」が開設されました。また、2007年(平成19年)3月10日には、10年ぶりの大型アトラクション「DISK-O」がオープンしました。2008年(平成20年)には、多目的ホール「花やしき座」が開館し、同年3月には花やしき通り沿いに「大江戸ステージ」がオープンしました。このように、浅草花やしきは時代とともに変化し続けています。

「Beeタワー」の引退とその後

2016年(平成28年)には、1960年(昭和35年)から長年にわたりシンボルとなっていた「Beeタワー」が引退し、解体されました。その跡地には、2019年(平成31年)4月に「浅草花劇場」がオープンしました。また、1996年に設置された「スペースショット」は、老朽化のため2022年2月2日に営業を終了しましたが、タワー自体はシンボルとして残されています。

近年の展開と新たなアトラクション

2021年9月16日には、西側の旧入園口に「ガシャポンのデパート」がオープンし、入園しなくても利用できるようになりました。2023年5月7日には「お化け屋敷 ~桜の怨霊~」と「ゴーストの館」が終了し、同年7月20日には新たなお化け屋敷「お化け屋敷~江戸の肝試し~」がオープンしました。

園内には、昔ながらの雰囲気を持つアトラクションが多数存在し、家族連れやカップル、友人同士など幅広い年齢層に楽しんでもらえる場所となっています。近年では、レトロな雰囲気を残しつつ、新しいアトラクションも導入されており、訪れるたびに新たな魅力を発見できる遊園地です。

主なアトラクション

浅草花やしきには、幅広いジャンルのアトラクションが揃っており、子供から大人まで楽しむことができます。以下に、代表的なアトラクションをいくつかご紹介します。

ローラーコースター(旧ロケットコースター)

浅草花やしきの象徴ともいえるローラーコースターは、1953年に設置された日本最古の現存するジェットコースターです。急カーブや急降下が楽しめるこのアトラクションは、多くの来園者にスリルと興奮を提供しています。

ぴょんぴょん(子供向けフリーフォール)

小さな子供向けのフリーフォールアトラクションで、子供たちが安心して楽しめるよう設計されています。可愛らしいキャラクターデザインが施されており、親子で楽しむことができます。

スワン(回転ボート)

池の上をゆっくりと回転しながら進むスワン型のボートは、リラックスしたい方に最適なアトラクションです。カップルや家族でのんびりとしたひとときを過ごせます。

3Dシアター立体キネマ館

最新の3D技術を駆使したシアターで、迫力のある映像体験を楽しむことができます。子供から大人まで楽しめるプログラムが用意されています。

メリーゴーランド

浅草花やしきの象徴的なアトラクションの一つであるメリーゴーランドは、華やかな装飾が施され、幻想的な雰囲気を醸し出しています。子供たちはもちろん、大人にとっても懐かしい気持ちになるアトラクションです。

パンダカー

園内をパンダ型の車でゆったりと巡ることができるパンダカーは、特に小さな子供たちに大人気です。写真撮影にもぴったりな可愛らしいデザインが特徴です。

ディスク・オー

円盤型のアトラクションで、激しい回転と上下動が楽しめます。スリルを求める方にはぴったりのアトラクションです。

スカイシップ(ゴンドラリフト)

浅草花やしきの全景を一望できるスカイシップは、空中からの眺めを楽しめるゴンドラリフトです。園内の風景を楽しみながら、ゆっくりと移動することができます。

ヘリコプター(サイクルモノレール)

ペダルを漕いで進むモノレールタイプのアトラクションで、空中を散歩する感覚が楽しめます。子供から大人まで一緒に楽しむことができるアトラクションです。

ビックリハウス

浅草花やしきの定番アトラクションであるビックリハウスは、内部が不思議な仕掛けで満たされた建物です。足元が不安定になったり、視覚が錯覚を起こしたりと、来園者を驚かせる仕掛けが多数あります。

お化け屋敷~江戸の肝試し~

浅草花やしきならではの、お化け屋敷です。江戸時代をテーマにした演出が施されており、リアルなお化けや幽霊が登場します。恐怖を楽しみたい方におすすめのアトラクションです。

リトルスター(小型回転アトラクション)

小さな子供向けの回転アトラクションで、可愛らしいデザインが特徴です。子供たちが安心して楽しめるよう、ゆっくりとした動きになっています。

カーニバル(小型旋回アトラクション)

カーニバルをテーマにした色鮮やかなアトラクションで、ゆったりとした旋回を楽しむことができます。家族連れで楽しむのに最適です。

スリラーカー(ライド型お化け屋敷)

ライドに乗り込みながら進んでいくタイプのお化け屋敷で、スリル満点の体験が楽しめます。突然現れるお化けや不気味な音響が、来園者を恐怖の世界へと誘います。

ちびっ子タクシー(ミニ鉄道)

小さな子供向けのミニ鉄道アトラクションで、園内をゆっくりと巡ります。家族で一緒に楽しむことができ、子供たちにとっては初めての「運転体験」を楽しめるかもしれません。

シラサギ

白鷺をテーマにしたアトラクションで、静かな旋回と浮遊感が楽しめます。優雅なデザインと動きが、訪れる人々を癒しの空間へと誘います。

花やしきでのイベントと団体

浅草花やしきでは、アトラクションだけでなく、さまざまなイベントも開催されています。特にプロレス興行が人気で、多くの観客を集めています。以下に、主な団体とイベントについて紹介します。

ハナヤシキプロレスリング

花やしきで定期的に開催されるプロレスイベントで、迫力ある試合が楽しめます。観客との距離が近く、臨場感溢れるプロレスを間近で体験することができます。

JWP女子プロレス

月に1回、花やしき座で興行を行っている女子プロレス団体です。所属選手の中森華子は、花やしき大会限定で「花屋敷花子」というリングネームを使用しており、特別感のある大会となっています。

交通アクセス

浅草花やしきは、東京都内の主要な交通機関を利用して簡単にアクセスすることができます。以下に、主要な交通手段を紹介します。

鉄道

おわりに

浅草花やしきは、日本最古の遊園地として長い歴史と多彩なエンターテインメントを提供し続けてきました。これからも、古き良き時代の趣を残しながら、新たな挑戦を続けていくことでしょう。浅草に訪れる際は、ぜひ足を運んで、その魅力を体感してみてください。

Information

名称
浅草 花やしき
(あさくさ はなやしき)

浅草・スカイツリー

東京都