すみだ郷土文化資料館は、東京都墨田区の歴史や文化を次世代に伝えるための博物館です。地域の歴史や民俗資料を収集し、保存し、活用することを目的としています。これにより、地域文化の発展や文化的な創造力を育む拠点として重要な役割を担っています。この資料館は1998年(平成10年)に開館し、以来、多くの来館者に墨田区の魅力を伝えています。
1階展示室では、墨田区の歴史を古代から現代まで紹介しています。特に、墨田区北部の向島と南部の本所の歴史を詳しく解説しています。向島は、弥生時代以後に陸地化が進み、古墳時代から人々が住み始めた地域です。一方、本所は江戸時代初期に開拓された地域で、都市としての発展が特徴です。この展示室では、文献や絵画、考古学的な発掘物などを通じて、各時代の墨田区の特徴を学ぶことができます。また、1階には地域の歴史を調べるための図書コーナーも併設されています。
2階展示室では、隅田川に焦点を当て、地域の文化や民俗に関する展示が行われています。展示室B「近代すみだと隅田川」では、隅田川レガッタの歴史や、東京空襲に関する資料が展示されています。また、ジオラマ「墨堤のにぎわい」では、明治末年の花見で賑わう墨堤を再現し、照明と音響による臨場感あふれる演出が施されています。特に、隅田川に関連する歴史や文化を学ぶには最適な展示です。
3階展示室は、年間を通じて企画展示や特別展を行うスペースです。企画展示では、地域の歴史や文化をさまざまな角度から見直し、より深く理解することができます。また、「すみだ粋の世界」というテーマで、墨田区無形登録文化財保持者の作品を展示しており、江戸から続く職人技の素晴らしさを紹介しています。これにより、現代に生きる伝統文化とその価値を再確認することができます。
すみだ郷土文化資料館では、毎年3月と8月に東京大空襲に関連する展示やイベントを開催しています。この展示では、空襲を体験した人々が描いた体験画が紹介され、当時の悲劇的な状況が生々しく伝えられています。昭和20年(1945年)の東京大空襲では、墨田区も甚大な被害を受け、多くの命が失われました。体験画は、空襲時の写真がほとんど存在しないため、当時の実情を知る貴重な資料として評価されています。
隅田川のレガッタは、明治時代に始まり、各大学が対抗して競技を行ったことで、多くの人々を熱狂させました。2階展示室Bでは、隅田川レガッタの歴史を紹介するとともに、当時の艇庫やレースで使用されたオール、記念品なども展示されています。隅田川の歴史とその文化を知る上で、この展示は欠かせないものです。
すみだ郷土文化資料館は、地域の歴史や文化を深く学べる場所であり、多くの展示を無料で楽しむことができます。特に、東京大空襲や隅田川の歴史に興味がある方には必見の施設です。