本龍院は、東京都台東区浅草にある聖観音宗の寺院で、浅草寺の子院のひとつです。山号は待乳山であり、本尊は歓喜天(聖天)と十一面観音です。そのため「待乳山聖天」とも称されます。この寺には、浅草名所七福神のうち毘沙門天が祀られています。
本龍院は、隅田川のべりにある小高い丘、待乳山に位置しています。この丘はかつて周囲を一望できる場所であり、多くの文人墨客が訪れた歴史を持ちます。待乳山の名の由来については諸説ありますが、「真土(まつち)」とも書かれ、この地が泥海であった時代に唯一「真の土」であったことに由来するという説があります。
待乳山は、595年(推古天皇3年)9月に出現したと伝えられており、龍がこの山を守護したとされています。これが浅草寺の山号である「金龍山」の由来ともなっています。601年(推古天皇9年)には、この地域が旱魃に見舞われた際、歓喜天と十一面観音が安置されたと伝えられています。
本龍院は、例年1月に行われる「大根まつり」で特に知られています。この祭りでは多くの参拝者が訪れ、供え物として大根が用いられる風景が見られます。
本龍院には、台東区指定文化財である銅造宝篋印塔があります。これらの文化財は寺院の歴史とともに重要な遺産として保存されています。
本龍院の所在地は、東京都台東区浅草7-4-1です。標高10mと、東京都で一番低い山に位置しています。参拝者の利便性を考慮して、スロープカー「さくらレール」が設置されており、浅草駅から徒歩約10分で訪れることができます。
待乳山聖天の入口には、「池波正太郎生誕の地」と刻まれた碑が立っています。また、待乳山聖天の境内には出世観音や歓喜地蔵尊が祀られており、訪れる人々の目を引きます。
境内には「猫の間」と呼ばれるサンルームがあり、朝倉文夫が愛した猫をモチーフにした作品が展示されています。また、温室として使用されていたこの部屋は、珍しい東洋ランなどが育てられていた場所でもあります。
本堂のほかにも、参拝者にはお供え用の大根を提供している「お下がり大根」や、さくらレール(スロープカー)の乗降場が見どころです。また、さくらレールを利用すれば、上部乗降場まで快適に移動できます。
最寄りの交通手段として、浅草駅から徒歩約10分の距離にあり、周辺には見どころも多く、散策にも適しています。