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旧安田庭園

(きゅう やすだ ていえん)

旧安田庭園は、東京都墨田区横網一丁目に所在する大名庭園で、潮入り回遊式庭園として整備されています。小島が浮かぶ心字池を老樹と散策路が囲む美しい構成で、雪見灯篭が配され、池には鯉や亀が遊ぶ姿が見られます。この庭園では、人工的に水位の干満が再現され、季節ごとの変化を楽しむことができます。

歴史

江戸時代の起源

旧安田庭園は、江戸時代に本庄松平氏(常陸笠間藩、のち丹後宮津藩)の下屋敷として使用されました。元禄年間に本庄宗資によって大名庭園として築かれ、安政年間には隅田川の水を引き込んだ潮入回遊庭園として整備されました。その後、明治時代に入り旧岡山藩主池田章政の邸宅となりました。

安田善次郎の買収と東京市への寄贈

1879年(明治12年)、安田財閥の創設者である安田善次郎が本所横網町の旧田安邸を購入し、1884年には本邸を建設しました。1886年には南北の隣接地も購入し、さらに1891年には池田邸も買収して、横網町2丁目7から11番地が安田善次郎の所有となりました。旧安田庭園以外の土地は、現在の同愛記念病院と安田学園、横網町公園となっています。

関東大震災と復元

1922年(大正11年)、安田善次郎の遺志により東京市に寄贈されましたが、翌1923年(大正12年)の関東大震災によって旧態のほとんどを失いました。東京市は残った地割や石組をもとに復元を行い、1927年(昭和2年)7月に市民の庭園として開園しました。

墨田区への移管と改修

1967年(昭和42年)4月に東京都から墨田区に移管され、現在は墨田区が管理しています。その後、植栽整備や泉水の循環装置の導入などの全面改修を行い、1971年(昭和46年)5月に再開しました。2018年(平成30年)1月には、敷地内の両国公会堂跡地に代々木から移転してきた刀剣博物館が開館しました。

構造

かつて旧安田庭園の池の水は隅田川の水を取り入れており、東京湾の潮の満ち引きを利用して池の水位を変化させ、眺めの変化を楽しむことができました。このような潮入の池を持つ庭園としては、他に浜離宮恩賜庭園や旧芝離宮恩賜庭園があります。

しかし、高度経済成長期に隅田川の水質が悪化したため、隅田川からの取水は中止されました。現在では、庭園の北側に設置された地下貯水槽(貯水量約800トン)を利用した循環浄化装置(ポンプ)により、人工的に潮入の風景が再現されています。

史跡・文化財

施設情報

舞台となった作品

旧安田庭園は、1989年のテレビドラマ『夢に見た日々』で、千葉真一が演じる主人公が経営する喫茶店の近くの公園として登場しています。

Information

名称
旧安田庭園
(きゅう やすだ ていえん)

浅草・スカイツリー

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