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板橋区立 熱帯環境植物館

(いたばし くりつ ねったい かんきょう しょくぶつかん)

板橋区立熱帯環境植物館は、東京都板橋区に位置する室内植物園です。通称「グリーンドームねったいかん」とも呼ばれ、熱帯植物と海洋生物の展示を通じて、自然環境の魅力を伝える施設です。

歴史と背景

板橋区立熱帯環境植物館は、板橋清掃工場の余熱を活用している施設で、もともと存在していた温室植物園を改修し、1994年(平成6年)9月に開館しました。開館と同時に、板橋区はマレーシアのペナン州政府と「友好提携に関する共同声明」に調印し、国際的な交流と協力の象徴としての役割も果たしています。

その後、2005年からは指定管理者制度が導入され、西武造園、横浜八景島、西武緑化管理の共同企業体が管理を受託しています。さらに、2020年9月から改修工事を行い、2021年4月に工事が完了。2021年4月20日にリニューアルオープンを迎えました。

館内の概要

館内では、深海魚や珊瑚礁の魚類などを展示する水槽から始まり、東南アジアの熱帯魚を集めた大型水槽など、海洋生物の展示が充実しています。中でも、国内唯一の展示として知られる世界最大の淡水エイであるヒマンチュラ・チャオプラヤなどが見どころです。

植物に関しては、ニッパヤシマングローブ林をはじめ、フタバガキ科、ラン、シャクナゲなど、300種類以上の東南アジアの植物を展示しています。また、館内の喫茶室「クレア」では、土日・祝日のみの営業で、マレーシアカレーやナシゴレンなどのアジア料理を楽しめます。平日は休憩所として開放されています。

展示エリアの構成

館内の展示エリアは、東南アジアの熱帯雨林を再現しており、4つのゾーンに分かれています。各ゾーンでは、異なる環境を体験しながら熱帯の自然に触れることができます。

潮間帯ゾーン

潮間帯ゾーンは、海に見立てた水族館から始まります。ここでは、マングローブやニッパヤシが生い茂り、海水や汽水に生息する生物たちを観察できます。約700種2000本の植物が展示されており、熱帯の生態系を学ぶことができます。

熱帯低地林ゾーン

次に続くのが熱帯低地林ゾーンです。ここでは、フタバガキ科の植物や、「絞め殺しの木」と呼ばれるアコウなど、大木が生い茂る様子が再現されています。東南アジアの熱帯雨林特有の密林を歩くような感覚を味わうことができます。

集落景観ゾーン

集落景観ゾーンでは、ニッパヤシの葉で屋根を葺いたマレーハウスなど、東南アジアの集落景観が再現されています。ここでは、熱帯の果物や芋類といった、世界の有用植物も展示されています。

雲霧林ゾーン(冷室)

雲霧林ゾーンは、熱帯の高山植物を展示する冷室です。夏は涼しく、訪れる人に人気のコーナーとなっています。ここでは、シャクナゲやラン、ウツボカズラの仲間など、熱帯の高山帯に見られる植物を楽しむことができます。

各階の詳細

地下1階(B1F)

ミニ水族館

地下1階にはミニ水族館があり、東南アジアを中心とした海水・汽水・淡水の魚や生物が約150種、2500匹展示されています。海洋生物の多様性を学びながら観察できるスポットです。

ホール

地下1階にはホールもあり、ここでは各種講座やイベントが開催されています。館内の様々な活動を通じて、熱帯環境や植物の魅力を深く理解することができます。

1階(1F)

潮間帯植生

1階には潮間帯植生エリアがあり、マングローブやニッパヤシが茂る様子を間近で見ることができます。東南アジアの自然環境を感じながら、植物の多様性を楽しむことができます。

熱帯低地林

熱帯低地林エリアでは、潮間帯植生に続き、熱帯低地林の再現がされています。ラワン材となるフタバガキ科の植物や、「絞め殺しの木」と呼ばれるアコウが育つ環境を観察できます。

集落景観

集落景観エリアでは、ニッパヤシの葉で屋根を葺いた伝統的なマレーハウスが再現されており、熱帯地域の生活文化にも触れることができます。

2階(2F)

雲霧林(冷室)

2階の雲霧林(冷室)では、熱帯の高山植物を涼しい環境で展示しています。ここでは、シャクナゲやラン、ウツボカズラの仲間を間近で観察できるため、特に夏場の訪問におすすめです。

企画展示室

企画展示室では、熱帯環境や植物、生き物について楽しく学べる企画展示が年間を通じて開催されています。詳細は館内のイベント情報をご確認ください。

常設展示コーナー

常設展示コーナーでは、熱帯雨林の生態系や人々の生活、熱帯雨林の破壊と修復の現状について紹介しています。東南アジアの昆虫標本のジオラマ展示もあり、学びの場として充実した内容です。

図書コーナー

図書コーナーでは、熱帯雨林、植物、園芸、東南アジアに関する書籍などを閲覧できます。温室を一望できる場所にあり、植物に囲まれながら学習することができます。

イベントとサービス

おはなしバナナの会

毎月第1土曜日には、絵本の読み聞かせイベント「おはなしバナナの会」が開催されています。ただし、5月と1月は休会となっています。子どもたちに人気のイベントで、親子で楽しめる内容となっています。

アクセス

板橋区立熱帯環境植物館へのアクセスは、都営三田線「高島平駅」から徒歩7分、または国際興業バス「高島平操車場」バス停から徒歩3分となっています。車での来館も可能ですが、公共交通機関の利用が推奨されています。

利用案内

開館時間は午前10時から午後6時まで(最終入館は午後5時30分まで)で、休館日は月曜日(祝日の場合は翌日)および年末年始(12月29日から1月3日まで)です。入館料は大人260円、小中学生130円、65歳以上130円となっています。また、土曜日は小中学生の入館が無料です。

まとめ

板橋区立熱帯環境植物館は、東南アジアの熱帯植物と海洋生物の魅力を体験できる施設です。温室内での多様な展示やイベントを通じて、熱帯環境の保全や生物多様性の重要性を学ぶことができます。自然と触れ合いながら、地球環境について考える機会を提供する貴重なスポットです。

Information

名称
板橋区立 熱帯環境植物館
(いたばし くりつ ねったい かんきょう しょくぶつかん)

練馬・板橋

東京都