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岩淵水門

(いわぶち すいもん)

岩淵水門は、東京都北区志茂に位置する、現在の荒川と隅田川を仕切る重要な水門です。この水門には、新旧2つの水門があり、旧水門は国の重要文化財に指定されています。旧水門は通称「赤水門」、新水門は通称「青水門」と呼ばれており、それぞれ異なる時代に建設され、異なる役割を果たしています。

岩淵水門の役割

岩淵水門は、荒川上流からの流量が増えた際に、隅田川への洪水を防ぐために設置されています。通常時には水門を開けて、荒川と新河岸川、隅田川をつないでおり、潮の満ち引きによって水の流れが変わります。引き潮の際には荒川から隅田川へ、上げ潮の際には隅田川から荒川へと水が流れる仕組みになっています。

旧水門「赤水門」

「赤水門」として知られる旧水門は、1924年(大正13年)に完成しました。この水門は、RC造(一部S造)で、9メートル幅のゲートが5門並んでいます。しかし、地盤沈下や不等沈下の影響で、旧水門はその役割を終え、新水門に役割を引き継ぐことになりました。

その後、赤水門は土木建築物としての価値が再評価され、1995年には産業考古学会によって推薦産業遺産に選ばれ、1999年には東京都選定歴史的建造物に指定されました。さらに、2024年には国の重要文化財にも指定されています。

赤水門の現在の役割

現在、赤水門は歩行者や自転車専用の橋としても利用されており、川に囲まれた中之島(水門公園)に渡ることができます。この橋を渡りながら、歴史的な建造物を感じることができ、地域住民や観光客にとって貴重な場所となっています。

草刈の碑

水門公園には、「草刈の碑」と呼ばれる大きな石碑があり、これは1938年から1944年にかけて行われた「全日本草刈選手権大会」を記念して建てられたものです。碑には「農民魂は先づ草刈から」という力強い言葉が刻まれ、当時の農業と地域社会のつながりを象徴しています。

新水門「青水門」

「青水門」として知られる新水門は、旧水門の老朽化や地盤沈下対策、洪水調整能力の向上を目的に建設されました。1974年に着工し、1982年に完成したこの水門は、300m下流に位置し、より高度な治水機能を持っています。新水門は10m幅のゲートが3門あり、1枚あたりの重さは214トンで、1500トンもの水圧に耐えられる設計です。

増水時には水門を閉じ、荒川上流と隅田川の水流を遮断します。通常の閉鎖には約45分を要しますが、非常時には自家発電装置や自重での門扉降下装置が設置されており、大地震などの災害時にも対応できる構造となっています。

ガンブッチ - 国交省のマスコットキャラクター

「ガンブッチ」は、国土交通省荒川下流河川事務所のマスコットキャラクターで、「岩淵」をもじった名前です。このキャラクターは、新岩淵水門をモデルにしており、顔の両側に特徴的な水門の形が描かれています。ガンブッチは、岩淵水門と荒川流域に関する情報発信の役割を担っています。

荒川知水資料館アモア

荒川知水資料館(アモア)は、荒川の歴史や自然について学べる施設で、荒川流域の全体像や治水対策について展示が行われています。館内には、水槽や航空写真、昆虫の標本、鳥の彫刻などが展示されており、地域の自然や生き物に親しむことができます。

荒川の水害と放水路の誕生

荒川の歴史を振り返り、洪水被害とその対策として作られた放水路の誕生について詳しく学ぶことができます。さらに、荒川と都市の共存や、都市化に伴う新たな問題についても紹介されています。

治水対策・防災力向上支援策コーナー

荒川下流部の治水対策や防災に関する展示が行われており、堤防や水門の役割についても詳しく学ぶことができます。これにより、荒川流域での洪水リスクや防災対策の重要性を理解することができます。

青山 士(あおやま あきら)コーナー

荒川放水路や旧岩淵水門の建設に尽力した青山士についての展示があり、彼の功績や当時の技術的挑戦を映像や遺品を通じて知ることができます。

テラス

資料館のテラスからは、荒川と岩淵水門を一望でき、雄大な景色を楽しむことができます。訪れた際には、屋外の開放感とともに、荒川の治水の歴史を感じることができる貴重な体験をお楽しみください。

Information

名称
岩淵水門
(いわぶち すいもん)

練馬・板橋

東京都