紙の博物館は、東京都北区の飛鳥山公園内に位置する、紙に関する専門的な博物館です。運営は公益財団法人紙の博物館によって行われており、紙の歴史や製紙技術、紙の文化に関するさまざまな展示が行われています。
紙の博物館は、4階建ての建物で構成されており、各階に多彩な展示や施設が設けられています。
入り口が2階にあり、ここから館内に入ることができます。2階には第1展示室があり、「現代の製紙産業」をテーマに、紙パルプの原料や製造工程を紹介する展示が行われています。展示パネルや製造機械の実物、模型などを通じて、現代の紙作りのプロセスを学ぶことができます。
3階には第2展示室が設けられており、「紙の教室」として、紙の性質や特徴を体験できるコーナーや、古紙のリサイクルに関する展示が行われています。訪れる人々は、紙の多様性や再利用の重要性について理解を深めることができます。
4階には第3展示室と第4展示室があります。第3展示室では「紙の歴史・製紙産業の歩み」と題し、紙が誕生する前の時代から始まり、紙の発明、世界への広がり、そして現代に至るまでの歴史が展示されています。第4展示室では、企画展示や特別展示が行われ、訪れるたびに新しい発見があります。
1階には講習会や講演会が行われる講堂や図書室があり、紙に関する学びの場として機能しています。また、京都府葛野郡梅津村にあったパピールファブリックの門扉や高札、中井商店の看板などが展示されている記念碑コーナーも設けられています。
紙の博物館は、1950年(昭和25年)に北区堀船の王子製紙王子工場跡地に「製紙記念館」として設立されました。その後、1953年(昭和28年)に博物館法の施行に伴い「製紙博物館」に改称され、さらに1965年(昭和40年)に現在の「紙の博物館」に名称が変更されました。
1995年(平成7年)には、首都高速中央環状線の建設に伴い、現在の飛鳥山公園内に移転することが決まり、新館の建設工事が開始されました。この新館は1997年に完成し、1998年(平成10年)に隣接する北区飛鳥山博物館、渋沢史料館とともに「飛鳥山3つの博物館」として新たに開館しました。
2007年(平成19年)には、所蔵する王子製紙(抄紙会社)創業当時の図面が「産業考古学会推薦産業遺産」に指定され、同年11月には所蔵物全体が経済産業省から「近代化産業遺産」に認定されるなど、歴史的価値が高く評価されています。
紙の博物館では、さまざまな紙に関する展示が行われています。特に「金唐革紙」という手製の高級壁紙は、当館の収蔵品として旧来品と復元品の両方が展示されており、紙の工芸技術の高さを感じることができます。
紙の博物館は、毎日10:00から17:00まで開館しており、入館は16:30までとなっています。
休館日は月曜日で、祝日の場合は開館しますが、祝日直後の平日は休館となります。また、年末年始や臨時休館日もありますので、公式サイトで確認してください。
紙の博物館は、東京都北区王子1-1-3に位置しており、最寄り駅は王子駅です。詳しいアクセス方法や施設案内については、公式ウェブサイトを参照してください。
紙の博物館は、紙の歴史や製造技術、文化に関する貴重な資料を展示しており、訪れる人々に紙の魅力を伝えています。紙の博物館を訪れることで、日常生活であまり意識しない「紙」の奥深さを再発見できることでしょう。