小林家住宅は、東京都西多摩郡檜原村藤原に所在する古民家で、1978年(昭和53年)に国の重要文化財に指定されています。檜原村の歴史と伝統を感じることができるこの建物は、多くの観光客を魅了しています。
小林家住宅は18世紀前半に建てられた入母屋造りの民家で、標高約750メートルの尾根上に位置しています。当時の檜原村では、危険な沢筋を避けて尾根筋を利用することが一般的であり、小林家住宅は3つの尾根が交わる地点に建てられていました。これにより、周辺地域への移動が容易であったと考えられています。
建物の外観は典型的な入母屋造りで、伝統的な日本の民家の特徴を備えています。内部は当時の生活様式を色濃く反映しており、農作業や養蚕など、地域の産業を支えた生活の様子が伺えます。
小林家住宅は2008年(平成20年)まで一般住居として使用されていましたが、その後の調査により、明治期から戦後にかけて現金収入を得るための養蚕を行うため、幕末期に大規模な改装が行われたことが判明しました。文化財として保護するため、建設当時の状態に復元することが決定され、2011年(平成23年)から4年間の修復工事が実施されました。この工事では兜造り・トタン葺きの屋根が茅葺きに復元され、建造当時の姿が再現されました。
修復工事では、茅葺き屋根の復元をはじめ、建物の骨組みの強化や壁面の修繕などが行われました。伝統的な技術を駆使し、当時の建築様式を忠実に再現することに重点が置かれました。
小林家住宅は檜原村エコツーリズム構想の一環として観光地として整備されています。山腹に位置するため交通機関でのアクセスに難がありましたが、観光用のモノレールが整備され、アクセスが改善されました。このモノレールは定員6名の小型の産業用モノレールで、予約すれば誰でも乗車可能です。傾斜角が43度のスリリングな乗り心地が特徴で、テレビ朝日『東京サイト』(2018年8月24日放送)などのメディアでも取り上げられています。
母屋裏の斜面はつつじ公園として整備されており、4月にはつつじ祭りが開催されます。この祭りでは、地域に伝わる獅子舞の上演などのイベントも行われ、観光客に好評を博しています。
最寄り駅はJR武蔵五日市駅で、西東京バス「藤倉」行きに乗車し、終点で下車後、徒歩約50分で到着します。
武蔵五日市駅前から車で約40分、小林家専用駐車場から徒歩25分、モノレールで約15分の道のりです。