奥多摩水と緑のふれあい館は、東京都西多摩郡奥多摩町に位置し、東京都水道局が運営するPR施設です。この施設は、東京都民に水道の歴史や水源の大切さを伝えるための施設として設立されました。施設は1998年(平成10年)11月27日に開館し、東京近代水道100周年および小河内ダム竣工40周年を記念して奥多摩町と共同で建設されたものです。
奥多摩水と緑のふれあい館は、主に2階建ての施設で、それぞれに異なるテーマを持っています。
1階では、奥多摩の歴史や民俗、水源林に関する展示が行われており、小河内ダムの資料も豊富に揃っています。訪れることで、奥多摩地域の豊かな自然とその歴史を学ぶことができます。
2階には、奥多摩の名産品が販売されているショップや、郷土料理を楽しめるレストランがあります。ここでは、奥多摩の味覚を通じて地域の文化に触れることができます。
施設のマスコットキャラクター「くりんちゃん」は、子どもたちにも人気があり、館内外でのイベントや案内役として活躍しています。
奥多摩水と緑のふれあい館へのアクセスは、JR青梅線奥多摩駅南口から2番乗り場の西東京バスに乗車するのが便利です。鴨沢西行(奥09系統)、丹波行(奥10系統)、留浦行(奥11系統)、小菅行(奥12系統)、峰谷行(奥14系統)、奥多摩湖行(奥15系統)のいずれかに乗り、約15分で奥多摩湖停留所に到着します。
奥多摩湖は、東京都西多摩郡奥多摩町と山梨県北都留郡丹波山村・小菅村にまたがる人造湖で、正式には小河内貯水池(おごうちちょすいち)と呼ばれます。1957年(昭和32年)に完成し、東京都水道局が管理する小河内ダムによって多摩川上流を堰き止めてできた湖です。
また、近隣には休止駅である水根駅(奥多摩工業水根貨物線)があります。遺構が残るのみですが、鉄道ファンにとっては興味深い場所です。
奥多摩湖の貯水容量は約1億9000万立方メートルで、竣工当時は上水道専用貯水池として世界最大規模を誇りました。現在も日本最大級の水道専用貯水池として、東京都の水源の一つとして重要な役割を担っています。渇水時には貴重な水瓶として利用され、水質は取水口近くや水質観測船「みやま丸」により定期的に調査されています。
奥多摩湖には東京都交通局の水力発電施設である多摩川第一発電所が併設されており、発電された電力は東京電力に売却されて地域に供給されています。これにより、奥多摩町や青梅市などの東京多摩地域の電力供給にも貢献しています。
奥多摩湖の建設計画は昭和初期に遡りますが、ダム建設予定地である旧小河内村での用地買収の難航や、神奈川県との水利権を巡る紛争、太平洋戦争の影響による工事中断などにより、竣工までには19年の歳月がかかりました。最終的に1957年(昭和32年)にダムが完成し、以降東京都の重要な水源となっています。
奥多摩湖にはコイ、ヤマメ、ニジマス、ウナギ、ブラックバスなど多様な魚類が生息しています。これらの魚類は、湖および流入河川で確認されており、豊かな生態系が形成されています。さらに、奥多摩駅下流から多摩川上流にかけての奥多摩山域と奥秩父山塊の山麓の森林は「東京水道水源林」として水源の森百選に指定されています。これらの森林は奥多摩湖の水質保全においても重要な役割を果たしています。
東京都水道局は、奥多摩水と緑のふれあい館のほかにも水道に関する施設を運営しています。代表的なものとして、東京都文京区本郷にある「東京都水道歴史館」や、東京都江東区有明にある「東京都水の科学館」があります。これらの施設も、都民に水道の大切さを伝えるための重要な役割を担っています。
奥多摩水と緑のふれあい館を訪れる際には、交通機関の運行状況を確認し、自然環境の保護にもご協力いただければと思います。特に、観光シーズンには多くの人々が訪れるため、混雑が予想されます。事前に施設のウェブサイトで情報を確認し、快適な訪問計画を立ててください。