鹿野大仏(鹿野大佛)は、東京都西多摩郡日の出町平井に位置する塩澤山 寶光寺(えんたくざん ほうこうじ)の境内にある大仏です。この大仏は、鹿野山に建立された銅造釈迦如来坐像で、2018年(平成30年)4月に完成しました。総高18メートル、像高約12メートルの壮大な大仏であり、多くの参拝者を惹きつけています。
塩澤山寶光寺は、鎌倉時代に源頼朝とゆかりのある菩提院として創建されました。しかし、戦国時代に曹洞宗の僧、以船文済(いせん ぶんさい)がこの菩提院を曹洞宗に改宗し、寶光寺を開山しました。以来、曹洞宗の寺院として続いてきましたが、観音菩薩を本尊とする独自の特徴を持っています。
寶光寺の32世住職であった八坂昭道住職は、寺の再興とともに仏教の発信地として西多摩を位置づけようと、大仏造立を誓願しました。しかし、1995年に急逝し、その遺志は33世住職である長男・良秀に引き継がれました。良秀は、東日本大震災で友人を失ったことをきっかけに、経済的に厳しい状況にもかかわらず大仏の造立を進める決意をしました。
2013年に大仏造立事業が正式に開始され、設計・施工は東京の翠雲堂が担当しました。仏像は鋳造方式で造られ、組み立てられる形式が採用されました。2015年には、10分の1の塑像が完成し、その後実寸大の原型が石膏で仕上げられました。各部品は山形県の鋳造業者により鋳造され、寶光寺に搬入されて2017年秋から組み立てが始まりました。
鹿野大仏は2018年2月に完成しました。当初の予定よりも早く完成したため、同年4月に特別事前公開が行われました。鹿野大仏は青銅で造られ、時が経つにつれて緑青を帯びることが予想されます。台座と仏像を合わせた総高は18メートルに及び、総工費は約4億円にのぼります。
大仏が建立された場所は「鹿野山」と名付けられました。この山の名前は、2つの由来があります。1つは、かつて寺の敷地内にあった「鹿湯(しかのゆ)」という薬湯の跡地に由来します。もう1つは、釈迦が悟りを開いた地として有名な「鹿野苑」にちなんだものです。
鹿野大仏は、銅造釈迦如来坐像で、像高約12メートル、横幅約11メートルという国内でも有数の大きさを誇ります。耳の長さは約2メートルあり、坐仏としては東大寺の大仏に次ぐ規模を持っています。台座は二層構造で、上層の蓮華座と下層の八角台座で構成され、全体で高さ約18メートル、幅約15メートルを持つ壮大な造りです。
鹿野大仏の拝観料金は、大人(中学生以上)300円、小人(小学生)100円で、駐車場は無料です。参拝時間は午前9時から午後4時30分までで、ペットの入山は禁止されています。公共交通機関を利用する場合、JR青梅線の福生駅やJR五日市線の武蔵五日市駅から路線バスでアクセス可能です。
鹿野大仏は、西多摩地域における仏教のシンボルとして、また地域の文化と歴史を伝える重要な存在です。大仏周辺の整備も今後進められる予定で、さらなる発展が期待されています。