三頭山は、東京都と山梨県にまたがる標高1,531メートルの山です。この山は、西多摩郡奥多摩町、檜原村、山梨県上野原市、北都留郡小菅村にまたがっており、日本三百名山および山梨百名山に選ばれています。また、古くは「鹿妻山(かづまやま)」と呼ばれ、山の神々が集まる神聖な場所とされていました。
三頭山は、その名の通り、三つの頂上を持つ山です。西峰(標高1,527メートル)、中央峰(標高1,531メートル)、東峰(標高1,528メートル)という3つの峰があり、三角点は東峰に設置されています。この山は、奥高尾縦走路や笹尾根の北端に位置し、奥多摩三山の中でも最も高い山です。さらに、秋川の源流でもあり、多摩川の支流の中で最大の川です。
三頭山は、約800万年前に地下から溶岩が噴き出し、その過程で形成されました。標高およそ8合目までの部分は石英閃緑岩で構成されており、この閃緑岩は「数馬御影石」として知られています。この地質的な特徴から、山は地域の自然史や地質学においても重要な位置を占めています。
三頭山周辺は檜原村都民の森水源林として保護されており、山頂付近には美しいブナ林が広がっています。このブナ林は、訪れる価値がある自然の宝庫で、特に山頂からは素晴らしい景観が楽しめます。富士山、雲取山、奥秩父山塊、丹沢山地などを一望でき、四季折々の美しい景色が広がります。
また、山の東側一帯は「檜原都民の森」として整備されており、自然観察路や遊歩道が整備されています。都民の森は、東京都民や観光客に自然との触れ合いの場を提供しており、特に家族連れや初心者の登山者に人気です。
三頭山への登山ルートは多数ありますが、特に檜原村側にある「都民の森」を経由するルートが最も一般的です。その他にも、北側の奥多摩湖側からヌカザス山や入小沢ノ峰を経由するルートや、西側の小菅村から向山・鶴峠を経由するルート、南東側の槇寄山方面から笹尾根をたどるルートなど、バラエティに富んだ登山道が整備されています。
最も利用されるルートは都民の森コースです。このルートは、武蔵五日市駅から「数馬」行きのバスに乗り、「数馬バス停」で下車後、さらに無料のバスで「都民の森」バス停まで進むことができます(冬季は運休)。このルートでは、「三頭大滝」を経由しながら、ブナの林を抜けて山頂へと向かいます。都民の森駐車場からは、森林館や木材工芸センター、鞘口峠(さやぐちとうげ)、見晴小屋、展望台、そして三頭山の各頂へと続く道が整備されています。
もう一つの人気のルートは笹尾根ルートです。武蔵五日市駅から「数馬」行きのバスで数馬バス停または仲の平バス停で下車し、そこから槇寄山を経由して山頂へ向かいます。このルートは、登り3時間50分、下り2時間30分と少し時間がかかりますが、比較的穏やかな道のりです。
奥多摩駅から小河内神社バス停までバスで移動し、ヌカザス山やイヨ山を経由するヌカザス尾根コースもあります。登りは3時間35分、下りは2時間40分です。その他、奥多摩駅から出発するルートには、「山のふるさと村コース」や「ムロクボ尾根コース」があり、それぞれ魅力的な自然の中を進むことができます。
三頭山は、東京都と山梨県にまたがる自然豊かな山で、歴史や地質、自然の魅力が詰まった場所です。多彩な登山ルートや、檜原都民の森をはじめとする整備された施設があり、初心者から上級者まで楽しめる登山スポットとして人気があります。ぜひ訪れて、四季折々の美しい風景や、ブナ林の静寂に包まれた時間を楽しんでください。