阿蘇神社は、東京都羽村市に鎮座する歴史ある神社で、「武蔵阿蘇神社」とも呼ばれています。創建は推古天皇9年(601年)と伝えられ、長い歴史の中で武門や領主の崇敬を受けてきました。特に平将門や藤原秀郷、徳川家康などの歴史的人物が神社の造営や修復に関与しています。
阿蘇神社の祭神は、阿蘇十二神として知られています。以下の神々が祀られています。
阿蘇神社の創建は、推古天皇9年(601年)に遡り、神託によって当地に建てられました。初めは「阿蘇大明神」や「竜水山阿蘇宮」とも呼ばれ、長い歴史を誇る古社です。933年には平将門が社殿を造営し、その後も藤原秀郷が将門の霊を鎮めるために修復を行いました。
さらに、1536年には将門の子孫を称する三田氏が社殿を修復し、1598年には徳川家康が参詣したと伝えられています。江戸時代には家光公も崇敬を寄せ、十三石の神領を寄進し、代々の家例としました。明治2年には現在の「阿蘇神社」と改称され、今日に至ります。
小田原北条氏も阿蘇神社に対して崇敬を寄せており、永二十貫文の神領を寄進しています。さらに、徳川家康は二丁四方の馬場を寄進し、そこに神馬を放ったと言われています。徳川家の崇敬は家光公にも引き継がれ、十三石の朱印地を神社に寄せました。これにより、阿蘇神社は長く地域の守護神として大切にされてきました。
慶応4年(1866年)、阿蘇神社は朱印領を返上し、神領を上知しました。明治政府からは逓減録金として五十円が下賜され、その後「阿蘇神社」と改称されました。古い記録によると、当社は「和漢三才図絵」、「国華萬葉記」、「武蔵国全図」などに名所として記載されています。
阿蘇神社の本殿は、東京都指定有形文化財に指定されています。建築年代が明確な江戸時代初期の神社建築として非常に貴重であり、現在も覆屋の中に本殿が鎮座しています。この本殿は昭和41年3月31日に指定され、その後、昭和51年7月1日に種別名が変更されました。
阿蘇神社の御神木とされる椎の木は、樹齢が1000年を超えると言われ、都指定天然記念物に指定されています。この大木は、天慶3年(940年)に藤原秀郷が社殿を造営した際に手植えされたと伝えられています。目通り6.06メートル、樹高18.18メートルという壮大な姿で、訪れる人々を圧倒しています。
阿蘇神社の神輿は、羽村市指定有形文化財に指定されています。江戸時代末期(文政年間)に、宮大工小林藤馬によって制作されたもので、本格的な堂宮技法が用いられ、中世の特色が色濃く反映されています。装飾も非常に優れており、優美な神輿として知られています。
宮司宮川家住宅は、国登録有形文化財として登録されています。木造平屋建ての茅葺(鉄板仮葺)の建物で、近世から続く社家の住宅として大変貴重なものであり、羽村市内最古の民家とも言われています。現在も住宅として使用されているため、内部の一般公開は行われていません。
阿蘇神社には他にも、多くの文化財が存在します。例えば、羽村市指定文化財である「木彫狛犬」や「中世瓦」、さらに「神輿」などがその例です。これらの文化財は、阿蘇神社の歴史的な価値を示す重要な証拠であり、多くの人々に愛されています。
阿蘇神社の周辺には、都天然記念物の椎の大木をはじめ、桜、樫、楢、欅の木々が茂り、四季折々の美しい風景が楽しめます。特に春には桜が咲き誇り、秋には紅葉が訪れる人々を魅了します。また、彼岸花やカンゾウ、ヤブラン、黄菖蒲などの群落も広がり、散策を楽しむ人々が絶えません。
阿蘇神社は、自転車のお守りの頒布でも有名です。神社の南門の鳥居前は、多摩川サイクリングコースの上流側起点(終点)となっており、サイクリングを楽しむ人々が訪れるスポットとしても注目されています。
阿蘇神社へのアクセスは、JR東日本青梅線の羽村駅または小作駅から徒歩20分です。歴史あるこの神社を訪れる際には、ぜひ時間をかけて散策を楽しみながらお参りいただければと思います。