日原鍾乳洞は、東京都西多摩郡奥多摩町日原に位置する大規模な鍾乳洞で、関東地方の中でも特に有名な観光スポットの一つです。洞内の総延長は1270メートルに及び、高低差は134メートルと、埼玉県秩父市の瀧谷洞と並び関東地方最大級の規模を誇ります。東京都の指定天然記念物にも認定されており、訪れる人々に自然の神秘と壮大さを感じさせます。
日原鍾乳洞は、日原川の支流である「小川谷」沿いに広がる石灰岩の地層が長年にわたって削られ、形成されたものです。この地域は急峻な渓谷が特徴で、かつては山岳信仰の場として栄えました。現在では年間を通じて一般公開されており、訪れる人々に四季折々の自然の美しさと洞内の神秘的な風景を提供しています。ただし、年末年始の12月30日から1月3日は休業となります。
日原鍾乳洞は日原観光のメインスポットとして賑わいを見せ、年間を通じて11℃の一定した洞内温度が特徴です。夏は涼しく、冬は暖かいため、季節を問わず快適に見学できます。洞内は高低差が多く、立体迷路のようなコースが広がり、見学時間は約40分です。この壮大なスケールは関東随一とも言われ、多くの観光客が訪れています。
洞内には神秘的な光景が広がっており、特に荘厳な雰囲気を漂わせる「白衣観音」や巨大なカエルのような形をした「ガマ岩」、果てしなく続くかのように見える「天井知らず」など、幻想的な景観が随所に見られます。また、新洞部分にはみごとに成長した石筍や石柱が乱立しており、鍾乳石がつらら状に垂れ下がる様子や、成長に何百年もかかる大自然の神秘を間近で観察できます。
日原鍾乳洞の新洞部分は特に見ごたえがあり、石筍や石柱が立ち並ぶ風景はまるで別世界です。つらら状に垂れ下がる鍾乳石は、3センチ伸びるのに200年、上に向かって成長する石筍は400年の年月を費やします。また、平成8年8月には大宮殿に相応しい自然の音を奏でる「水琴窟」が設置され、厳かな鍾乳洞の雰囲気の中で優雅な音を楽しむことができます。
日原鍾乳洞の入口付近には一石山神社があり、参拝や散策が楽しめます。また、日原集落には奥多摩町営の森林館があり、地域の樹木や自然に関する資料が展示されています。さらに、近隣には日原ふるさと美術館や「倉沢のヒノキ」などの観光名所も点在しており、鍾乳洞を訪れた際にはこれらのスポットにも足を運んでみるのがおすすめです。
豊かな木々の緑に囲まれた日原川には、渓流釣りを楽しめる「日原川渓流釣場」があります。上流のおがま・めがまの滝から下流の小川谷出会いまでの間には、急流や淵瀬が連なり、変化に富んだ川の流れが魅力です。この釣場では、マスを中心にヤマメやイワナなどが放流されており、東京にありながら本格的な渓流釣りを満喫できるスポットとして、多くの釣り人たちに親しまれています。自然の中で心地よい時間を過ごしながら、釣りの醍醐味を味わうことができるでしょう。
日原鍾乳洞とその周辺には、歴史と自然が織りなす多彩な観光スポットがあり、訪れる人々を魅了し続けています。洞内の見どころや周辺の観光地を巡りながら、奥多摩の豊かな自然を心ゆくまで楽しんでください。
2023年(令和5年)現在、日原鍾乳洞は日原保勝会によって管理されており、以下の入場料が設定されています。なお、25人以上の団体で訪問する場合、1人あたり100円の割引が適用されます。
日原鍾乳洞の営業時間は以下の通りです。
JR青梅線奥多摩駅から路線バスで約30分の「日原鍾乳洞」停留所で下車するのが一般的なアクセス方法です。ただし、休日にはバスが手前の東日原(ひがしにっぱら)で止まるため、その場合は東日原バス停から徒歩で約20分かかります。
日原鍾乳洞へのアクセスには都道204号線を利用しますが、道幅が狭く、落石などの危険もあるため十分な注意が必要です。また、休日には駐車場が満車になることが多いので、公共交通機関の利用がおすすめです。
2014年(平成26年)5月には洞入口付近でがけ崩れが発生し、入口より先の大型駐車場が使用できなくなっていました。このため、2キロメートル下流の臨時駐車場が代替として用意されていました。しかし、2018年(平成30年)10月1日に通行止めが解除され、2014年以前と同様に洞入口至近の駐車場が再び使用可能となっています。